【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 パナソニック・マニュファクチャリング・マレーシアは、1—3月期(同社第4四半期)の売り上げが9.3%減となったものの、為替差益が膨らんだ影響で純利益が34.9%の大幅増となったと発表した。
新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大抑制のために発令された行動制限令(MCO)によりグループ工場の操業が一時ストップしたため売り上げが2億465万リンギにとどまったが、為替差益が840万リンギに上ったほか、前年同期で120万リンギだった関連会社の評価益が400万リンギに増加したことから、純利益は3,030万リンギに拡大した。
パナソニックはブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明の中で、「販促およびマーケティング費用の減少により、関連会社が増益をとなった」と分析した。
■通年も10.6%の増益■
一方、通年(2019年4月—2020年3月期)の売り上げは前年度比6.7%減の10億5,198万リンギとなったが、純利益は同10.6%増の1億1,699万リンギとなった。
パナソニックは、国内販売が低迷したものの原材料コストが安く、為替差益が増加したことが高収益につながったと分析した。
今後の見通しについては、新型コロナ対策として主要経済国で行なわれているロックダウンと社会的距離をとるための措置によって第2四半期は世界経済がさらに減速すると予想。「MCOが徐々に回復に向かって緩和されてきたものの、国内需要は移動制限と必須サービス以外の活動停止により弱まると予想される」としている。
第3四半期の景況感はやや改善=D&Bマレーシア
【クアラルンプール】 米系大手信用調査会社、ダン&ブラッドストリート(D&B)マレーシアが発表した最新の企業楽観度指数(BOI)調査によると、今年第3四半期のBOIは-13.33ポイントとなり前期の-21.86ポイントから改善したが、前年同期の+7.22ポイントからは悪化した。
BOI調査は▽売上高▽純利益▽販売価格▽在庫量▽従業員数▽新規注文——の6部門における楽観度を指数化したもの。前月比では6部門のうち5部門で指数が改善した。売上高は-27.84ポイントから-19.20ポイント、純利益は-40.20ポイントから-22.40ポイント、販売価格は-10.31ポイントから-7.20ポイント、新規注文が-26.80ポイントから-12.0ポイント、在庫量も-20.62ポイントから-8.80ポイントにそれぞれ改善した。しかし従業員数は-5.21ポイントから-10.40ポイントに下がった。前年同月比では6部門すべてで悪化した。
オードリー・チア最高経営責任者(CEO)は、経済活動の再開や州間旅行規制が緩和されたことで、今後数カ月の景況感は改善するとの予想を示した。政府による財政、金融刺激策は、経済成長を促進させるとし、今年下半期は経済の回復が見込めると言明。サービス業や卸売業、製造業の成長はマイナスになっており、主要産業の多くの成長率は弱い状況が続くとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月30日、エッジ、6月29日)
5月の輸出高、25.5%減の627億リンギ=統計局
【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 統計局の発表(速報値)によると、5月の輸出高は626億8,600万リンギで、前年同月比で25.5%、前月比で3.2%それぞれ減少した。2009年5月以来もっとも低い水準となった。
輸入高は522億7,200万リンギとなり、前年同月比30.4%、前月比23.6%のそれぞれマイナスとなった。貿易高は1,149億5,800万リンギで、前年同期比27.8%、前月比13.7%それぞれ減った。貿易収支は前年同月比14.7%増の104億1,400万リンギとなった。
5月の輸出先の国・地域トップは中国で、2ー5位はシンガポール、米国、欧州連合(EU)、日本の順だった。日本への輸出額は40億1,100万リンギで前年同月比で33.0%減少した。トップだった中国向け輸出は前年同月比で4.5%のプラスとなったが、2位のシンガポールと3位の香港は21.9%、9.3%のそれぞれマイナスとなった。品目別では、電気・電子(E&E)が235億100万リンギでトップ。これに精油製品、化学製品が続いた。
輸入先も中国がトップで、これにシンガポール、米国、韓国、EUが続いた。日本は39億6,300万リンギで、前年同月から16.9%減少し6位と順位を下げた。品目別では、E&Eが192億800万リンギでトップ。これに化学製品と精油製品が続いた。
1ー5月の輸出高は3,661億5,700万リンギで、前年同期比で9.7%減。輸入は3,224億1,000万リンギで、同7.5%のマイナスとなった。貿易収支は437億4,700万リンギの黒字で、同23%減少した。
5月の貿易支出について、アズミン・アリ上級相(兼通産相)は、2008年5月以来の高水準だったと言明。新型コロナウイルス の影響で製造品の輸出額が23.5%減少したにも関わらず、ゴム手袋の需要が増加した影響で、ゴム製品が2カ月連続で2ケタ成長を記録し、5月は前年同月比20.5%増の271億に上ったと述べた。
解散・総選挙実施論が浮上、ムヒディン首相の判断は?
マハティール・モハマド前首相やアンワル・イブラヒム人民正義党(PKR)党首ら野党勢力がムヒディン・ヤシン政権打倒にむけて気勢を上げる中、与党・国民連盟(PN)構成党内からは解散・総選挙に打って出るべきとの声が高まりをみせている。
気勢を挙げているとはいえ、本来なら合力すべきマハティール氏とアンワル氏は野党統一の首相候補の人選で対立しており、野党側の内部対立は簡単に解決しそうもない。
一方で草の根ネットワークを国の隅々まで張り巡らしているPN構成党の統一マレー国民組織(UMNO)や汎マレーシア・イスラム党(PAS)は、国会における現有議席こそ少ないものの、一枚岩になりきれない野党側の状況をみて、いま直ちに総選挙を行なえば準備不足の野党に勝てると考えている。
UMNOのモハマド・ハサン副総裁は先ごろ、政治的不安定な状況を解消するためとして総選挙の実施を主張した。実際UMNOとPASは6月初めにはすでに総選挙の準備にむけた会合を行ったとされ、両党の間で議席配分に関する交渉がかなり進んでいるという。
では解散権をもつムヒディン首相本人の意向はどうかといえば、多くの政治アナリストはムヒディン首相が早期の解散・総選挙の要請に応じないと予想している。
理由の一つはムヒディン首相率いる統一プリブミ党(PPBM)の内部対立だ。党内では草の根レベルで党会長職を追われたマハティール氏を支持する勢力が根強い。党内では一応ムヒディン氏支持で一致しているがマハティール氏はいまだに返り咲きを狙っており、ムヒディン体制は決して盤石ではない。
マレーシア工科大学(UKM)のアズミ・ハッサン教授は、ただでさえ弱小勢力であるPPBMの内部対立が解消するまでは総選挙を回避するのではないかとみている。著名政治学者のウォン・チンフアット氏も同意見で、草の根組織、選挙組織が脆弱なPPBMにとって内部分裂している状況での総選挙実施は賢明ではないと指摘している。
もう一つの問題は、PN政権の構造そのものにある。PPBMはPN構成党内で唯一、PH政権の生き残りであり、選挙の洗礼を受けていない現政権の正統性を示す存在でもある。だからこそ巨大勢力のUMNOやPASが弱小勢力であるムヒディン氏=PPBMを支えているわけだ。政治アナリストらは、ムヒディン内閣が解散・総選挙に追い込まれることになる、すなわち用なしになれば容赦なく牙を剥くと予想している。
前出のウォン氏は、総選挙になった場合、PN構成党内で議席配分を行なう際にはPPBMはUMNOとPASに主導権を奪われることになり、前回総選挙のように50選挙区で候補を立てることは許されない立場に追い込まれるだろうと予想。たとえPNが選挙に勝ってもムヒディン首相の続投が認められないことになるだろうと述べている。
ウォン氏は、選挙に勝っても先の見えないムヒディン氏にとっての最善の策が、議会改革を実施してPHの要求を受け入れPHとの停戦を模索することだと指摘。その方が「UMNOとPASに抹殺されるよりマシ」だとし、そうした穏健なやり方は政治的混乱を嫌う経済界や一般国民からも支持を集めるだろうと述べている。
ウォン氏はさらに、UMNOとPASだけで過半数の議席を押さえることができないことにこそPPBMの活路があると指摘する。サバ・サラワク州の政党は、「最高落札額を提示した方になびく」傾向がありいつも日和見だ。真のPNの同盟者としてキャスティングボートの役割を担うことこそがムヒディン氏=PPBMの生き残る術だというわけだ。
この記事を書いた人
新型コロナ感染者が新たに2人、うち1人が国内感染者
【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は6月30日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から2人増えて8,639人になったと発表した。
新規感染者のうち1人は海外から帰国しクアラルンプール国際空港で感染が確認されたマレーシア人。もう1人はサバ州で感染したマレーシア人だった。また新たに20人が退院し回復者数は8,354人に増加した。死者数は17日連続でゼロだった。
サバ州サンダカンのセントラルマーケットに勤務する従業員が新型コロナに感染したことを受け、サンダカン市議会のウォン・フーティン会長は29日、14ー28日間において同マーケットを訪れた人々に対し、「ケント公爵夫人病院」またはサンダカンの医療クリニックにて検査を受けるよう呼び掛けた。サンダカンは2カ月間、感染者数ゼロのグリーンゾーンに指定されていた。
PCR検査不要の日本人、入国時の抗原検査は120リンギ
【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省は、マレーシア入国時に実施される新型コロナウイルス「Covid-19」感染検査の検査料に関する新たな規則を発表した。6月29日付けで検査内容によってマレーシア国民は30—150リンギ、外国人は60—250リンギとなる。
6月26日に発表した新規則では、感染検査は入国審査の前に行なわれるが、どの検査を受けなければならないかは保健省事務次官が決定するとしている。
検査料は、クイック抗体検査の場合は30リンギ、クイック抗原検査の場合は60リンギ、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査の場合は150リンギ。外国人の場合はそれぞれ60リンギ、120リンギ、250リンギとなっている。
在マレーシア日本大使館は、入国資格のある日本人駐在員および家族のマレーシア入国に際しては、日本国籍者について出国3日前のPCR検査受診及び陰性結果の提示が不要であることを保健省から確認をとったとしている。
大使館によると、PCR検査を受けていない日本国籍者は「PCR検査陰性結果がない者」として扱われ、マレーシア到着時に抗原検査受診が求められる。抗原検査陰性だった場合は14日間の自宅隔離となるが、陽性だった場合は病院に直行することになる。陰性だった者は、リストバンドを装着して生活し、13日目に改めて抗体検査を受け、陰性だった場合は結果を通知した上でリストバンドを除去し隔離が終了する。