「トラベルバブル」の設定を検討、グリーンゾーン対象に

【クアラルンプール】 ナンシー・シュクリ観光芸術文化相は、新型コロナウイルス「Covid-19」によってダメージを受けた経済の復活に向けて、相互に行き来を認める国際的なエリアを設定する「トラベル・バブル」の実現に向けて検討する考えを示した。
ナンシー氏は一つの国が新型コロナ撲滅宣言を行なうのを待つのではなく、一部のグリーンゾーンを対象に考えていると言明。国全体ではなくマレーシアであればランカウイ、インドネシアであればバリのような特定エリアを念頭に置いていることを明らかにした。
ナンシー氏は「トラベル・バブル」設定で協力できるグリーンゾーンの特定に向けて外務省と話し合いを行なう考えを表明。マレーシア政府の交渉先としては、日本、豪州、ニュージーランド、中国、韓国、シンガポール、タイ、カンボジア、ベトナムを候補に上げた。
また「トラベル・バブル」実施にあたっては二国間協議の対象となるとし、保健衛生、移民、データ追跡、関係国機関による継続的な監視が重要なポイントになると指摘した。
(エッジ、7月25日)

当面は州跨ぎの移動は禁止せず=サブリ上級相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は、31日の「ハリラヤ・ハジ」(犠牲祭)に関連して、当面は州を跨いだ移動を禁じる考えのないことを明らかにした。

  27日に発表された「ハリラヤ・ハジ」のガイドラインによると、州を跨いだ帰省は自由だが標準的運用手順(SOP)に従うことが条件。私邸などで行なう私的な祝賀の集まりは20人を上限とすること、一カ所で実施する犠牲動物の頭数を10頭以下とすることなどが守られない場合は摘発するという。

  新型コロナウイルス「Covid-19」新規感染者が増加傾向にあることを受けてサブリ氏は25日、復興のための行動制限令(RMCO)よって緩和されたSOPについて再び厳格化することを閣議決定したと発表。翌26日には、新規感染者数が三桁になった場合には再び行動制限令(MCO)を再度発令する可能性があると警告していた。

 ■サラワク州の独自規制は容認■

  サブリ氏はまた、感染者が増加傾向にあるサラワク州が8月1—14日の期間限定で導入する独自規制について容認する考えを表明した。

  同州はゾーン1(イエローとレッド)とゾーン2(グリーン)間の無許可の移動を禁止する方針で、また半島部やサバ州、ラブアンからの航空便も減便するとしている。

新規コロナ感染者は7人、うち3人がサバ州で感染

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は27日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から7人増えて8,904人になったと発表した。

   新規感染者のうち4人は海外で感染した帰国者(パキスタン、ロシア、豪州、インドネシア)で、3人がサバ州で感染したマレーシア人だった。また新たに1人が退院し回復者数は8,601人に増加した。死者数はゼロで、124人を維持した。

  保健省のノール・ヒシャム事務次官によるとサラワク州クチンは25日、感染者数が41人に達しレッドゾーンに指定されたたものの、26日に1人が治癒し累計数が40に減少したため再びイエローゾーンに引き戻された。クチンのセントーサ病院のクラスタでは感染者数が21人り、25日までに677人が検査を受けた。同病院は全従業員を検疫下に置き、閉鎖措置を取っている。

  また25日にノール事務次官は、2つのクラスタについてのレポートを発表。一つ目のクラスタはジョホール州ブキティラムにある宗教センターで、外国人従業員2人が感染したと言明。もうひとつは、11日に検出されたクチンの建設会社クラスタで、関係者55人の検査から新たに1人の感染を確認したと明らかにした。

災害管理局がガイドライン、出国前のPCR検査不要など

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 国家災害管理局(Nadma)は24日、海外から入国者に対する最新の入国手続き及び隔離要領に関するガイドラインを発表。指定隔離センターにおける14日間の強制隔離の義務づけに伴い同日付けで出発前のPCR検査は不要とする一方で、在外マレーシア大使館から事前の承認状取得を義務づける内容などが盛り込まれた。
同意書のフォームをダウンロードし、必要事項を記入した上で出発日の少なくとも3日前に在外マレーシア大使館に電子メールで送付する必要がある。承認状は電子メールで返送され、これを搭乗手続き時やマレーシア到着時に提示する必要がある。
出発前のPCR検査は不要となるが、マレーシア到着時に当局の指示に従って感染検査を受け、その後指定された隔離施設に移動する。PCR検査の場合は検査費用は250リンギ。移動手段は政府が手配するが、自家用車の移動も可能。これまでPCR検査なしでの搭乗を認めていなかったマレーシア航空(MAS)も、「マレーシアBIZナビ」の取材に対し、検査なしでも搭乗を認めると回答した。
隔離施設は政府関連宿舎やホテルとなるが、自分で隔離先を選ぶことはできない。隔離費用は1日あたり最大150リンギ。3食の食事が配給される。基本は1人1室だが、希望すれば家族での同室も可能。外出や外部の者との面会は不可。
海外からの入国者に対する規制強化は、自宅隔離者が無断外出したり、義務づけられている毎日の自己アセスメントを行なっていないケースが多数発覚したことを受けたもの。隔離13日目に実施しなければならない抗体検査を受けていない者が2,897人にも上っており、イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)が「直ちに検査を受けないと摘発する」と警告していた。

シンガポールとの通勤・業務往来、8月17日に再開

【ジョホールバル】 ヒシャムディン・フセイン外相は26日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染拡大抑制ために途絶えているマレーシア・シンガポール間の通勤、業務・公用を目的とした往来について、早ければ8月17日に再開することで合意したと発表した。
ヒシャムディン大臣とシンガポールのビビアン・バラクリシュナン外相は同日、両国の国境再開を協議。両氏が発表した共同声明によると、通勤者を対象とした「定期通勤申し合わせ」(PCA)および業務渡航・公務出張者を対象とした「相互グリーン・レーン」(RGL)の実施に向けて標準的運用手順(SOP)について同意し、最終決定した。8月10日より出入国管理局で渡航希望者の申請を受け付ける。適用条件や手続き方法などについての詳細は近く発表する予定だ。
ヒシャムディン大臣は、まだ詳細は調整中であると言明。まだ新型コロナウイルスの状況は収束していないことから、SOPを遵守することが重要になるとし、もし従わない者がいた場合は厳しい処罰を下す予定だと述べた。経済と健康の微妙なバランスを取る必要があると表明。シンガポールとのPCAやRGLが成功した場合は、日本やニュージーランド、豪州、韓国などとの往来許可にも繋げて行きたいと明らかにした。
両国は、毎日30万人が往来をしていたが、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために往来は3月に制限された。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月27日、ブルームバーグ、7月26日)