【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ナジブ・ラザク元首相が28日、国営投資会社ワン・マレーシア・デベロップメント(1MDB)巨額資金不正流用事件に関連して高裁で禁固12年、罰金2.1億リンギの有罪判決を受けたことについて、各方面から様々な反応が上がっている。
ナジブ氏の汚職を追及してきた野党連合・希望同盟(PH)の構成党党首会議は、公正な裁判を評価した上で、国民にとって大きな勝利と宣言。国民戦線(BN)政権時期の政治的堕落を繰り返さないために包括的な制度改革が行われなければならないとした。
ナジブ氏の部下であった与党・国民連盟(PN)構成党・統一マレー国民組織(UMNO)のアハマド・ザヒド・ハミディ総裁(元副首相)は、判決後にナジブ氏から「これで終わった訳ではない」と上訴の意向を示されたことを明らかにし、党として近く何らかの重大決定を行なう方針を示した。
一方、かねてから党の長老支配に異を唱えていたカイリー・ジャマルディン前UMNO青年部長(科学技術革新相)は、「ナジブ氏を支持する権利は誰にでもあるが、私はこの裁判に党が引きずられないことを望んでいる」と言明。これを機に党の若返りを図るべきだと述べた。
PN政権を率いるムヒディン・ヤシン首相は、「友人たち(ナジブ氏支持者)の感情は理解するが、政府は常に法の支配の原則を支持する」と述べるにとどまった。
■控訴審では逆転のチャンスある=首席弁護人■
首席弁護人のムハンマド・シャフィー・アブドラ弁護士は、「ナジブ氏の失敗は過度に1MDBやSRCの役員たちを信頼し過ぎたこと。彼は1MDBの内情や送金に関する実情は知らなかった」と主張。判決に関しては「合理的な疑いがある場合には棄却しなければならない」という刑法の原則を裁判官が理解していないと批判し、控訴審では十分に逆転するチャンスがあると述べた。
在宅起訴されていたナジブ氏はただちに控訴する方針を示しており、裁判所は100万リンギの保釈金を条件に保釈を認めた。同氏の国会議員の資格は判決が確定するまで維持される。