すべての入国者に指定隔離センター入所を義務づけへ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は、マレーシア国民を含むすべての入国者に対して24日より政府が指定する隔離センターでの隔離を義務づけると発表した。14日間の隔離費用は全額自己負担となる。

 新規感染者数が20日には21人に増加したが、うち6人については海外からの入国者だったことを受けてこれらの隔離措置の厳格化を決めた。入国者のうち4人はマレーシア人で2人は外国人だった。
これまでは自宅隔離が認められていたが、義務づけられている標準的運用手順(SOP)を守らず外出する者が出ており問題となっていた。サブリ氏は先ごろ自宅隔離中のペラ州の女性が飲食店で食事をしていたケースに言及、こうした「頑固」で「非常に無責任」な行動が感染拡散のリスクを高めていると批判した。
またサブリ氏はナイトクラブやエンターテインメント・センターが復興のための行動制限令(RMCO)ではまだ営業再開が認められていないと言明。SOPを守らない場合には営業許可の取り消しも辞さないと警告した。警察は19日、違法営業のナイトクラブなどを一斉摘発し、328人を逮捕した。

入国前のPCR検査義務、航空各社で対応分かれる

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア入国資格のある日本人駐在員が渡航直前に新型コロナウイルス「Covid-19」PCR検査陰性証明をとる必要かあるかどうかを巡り、両国間の国際路線を運航している航空各社で対応が分かれている。
マレーシア航空(MAS)東京支店は、「マレーシアBIZナビ」の取材に対し「18日にマレーシア政府から要請を受け、海外からの帰国者は全員出国3日前のPCR検査を義務付けている。20日時点では検査を受けていない乗客の搭乗をお断りしている」と回答した。
一方、全日空と日本航空はいずれも、PCR検査を受けていないことを理由に搭乗拒否するとは限らないとの微妙な回答だった。全日空は「改めてマレーシア政府によるPCR検査の義務付けを確認したので、出発3日前の受診を勧める」と回答。受診していない乗客について搭乗を拒否するかどうかについては明言を避けた。日本航空もほぼ同様の内容で、「明らかに手続きが不足している場合は搭乗を断るケースもある」とし、「日々情報が変わるため同社のホームページには記載していない」と答えた。
マレーシア出入国管理局外国人居留民サービス部は6月23日付けで発表した外国人駐在員の入国に関するガイドラインで、入国資格のある日本人駐在員および家族について出国3日前のPCR検査受診及び陰性結果の提示義務を免除するとした。
しかしこの規定はその後のガイドラインから削除されたため、在マレーシア日本大使館が入管当局に改めて確認したところ、日本国籍者に対する受検義務免除は維持すると回答を得たと発表していた。
■11日以前に出国した駐在員、再入国許可は不要に■
マレーシア入管は19日、最新版の入国ガイドラインを発表。7月11日以前にマレーシアを出国していた一部の外国人駐在員が再入国する場合にマレーシア入管からの許可は不要になったと明らかにした。
許可不要の対象は、雇用パス・カテゴリー1(EP1)、居住者パスー技能(RPT)保持者と、それらの扶養家族及び外国人メイド。専門職訪問パス(PVP)、EP2、EP3保持者と、それらの扶養家族及び外国人メイドは、引き続き再入国に際してマレーシア入管の許可が必要。

JB—シンガ間高速鉄道、2026年末までに開業

【クアラルンプール】 ウィー・カション運輸相は21日、ジョホールバル(JB)—シンガポールを結ぶ高速鉄道輸送システム(RTS)について、2021年1月に着工し2026年末までに開業すると発表した。
ウィー氏は下院議会の答弁で、マレーシア・シンガポール両国によるRTSに関連する3件の覚書調印式が7月30日にジョホールバルで予定されていると言明。両国首相が出席する予定であることを明らかにした。2024年末までの第一期では土木構造物を含む建設で、続く2026年までの第二期では信号、車両、通信、試運転、システムテストなどのシステム構築作業を行なう。
ジョホールバルのブキ・チャガルとシンガポールのウッドランズを結ぶ全長4キロメートルで、1時間あたり片道1万人の輸送能力を持つ。当初の建設予算は49億リンギだったが、路線見直しで32億リンギに抑えた。
RTS計画は2024年末までの開通を目指して2018年に承認されたが、前・希望同盟(PH)政権時代に財政負担を理由に一時凍結され、その後復活したものの数度にわたって先送りされていた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、7月21日)

「ドンドンドンキ」、来年マレーシアに2店舗出店

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ディスカウントストア「ドンキ・ホーテ」を展開するパン・パシフィック・インターナショナル・ホールディングス(PPIH、本社・東京都目黒区)は、海外ブランド「ドンドンドンキ」をマレーシアに2店舗出店すると発表した。
運営するのはマレーシア子会社のパン・パシフィック・リテール・マネジメント(マレーシア)。2021年初頭にクアラルンプール(KL)ブキ・ビンタンの商業施設「LOT 10」内に1号店、同年半ばにはセランゴール州ペタリンジャヤの商業施設「トロピカナ・ガーデンズ」内に2号店をそれぞれオープンする。
PPIHグループは、東南アジア仕様の新業態「ドンドンドンキ」を2017年12月にシンガポールに初出店した後、2019年2月にタイ、同年7月に香港と出店エリアを拡大している。日本製もしくは日本市場向けの商品をラインアップする「ジャパンブランド・スペシャリティストア」をコンセプトとしながら低価格商品を提供している。

新型コロナ感染者新たに15人、うち11人が国内感染

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は21日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から15人増えて8,815人になったと発表した。3日連続で2桁台となった。
新規感染者のうち4人が海外で感染した帰国者。11人は国内感染者でうち1人が外国人だった。また新たに7人が治癒し回復者数は8,562人に増加した。死者数は2日連続でゼロだった。
保健省のノール・ヒシャム事務次官は20日、ジョホール州クルアンにある老人ホームでクラスタが発生していると明らかにした。
保健省は同日正午時点で39人を検査し、うち14人の陽性を確認した。感染者は、13人がマレーシア人で、1人がインドネシア人。同施設に入居する高齢者11人と、従業員2人および従業員の親族1人が関連している。また感染者の中から1人が亡くなった。残り18人は陰性で、7人が結果待ちだという。
同施設では除染や除菌などの感染管理対策が実施された。クラスターの発生源については確認中だという。

野党首相候補に浮上、シャフィー氏とは何者か?

 先日マハティール・モハマド前首相が突然、サバ州の地方政党であるサバ遺産党(ワリサン)のシャフィー・アプダル党首を野党側の統一首相候補に推す考えを示し、首相候補の人選で揉めていた野党側は大混乱に陥った。

 自身が首相候補となる案がアンワル・イブラヒム氏率いる人民正義党(PKR)に拒否されたことから代替案として持ち出したものだが、これによるとアンワル氏を副首相に推すという内容になっている。

 首相になりたいアンワル氏に「次」を用意した上で、自身が潔く身を引くことで「痛み分け」を提案したようにみえるが、シャフィー氏は熱烈なマハティール信奉者であり、シャフィー氏が首相になればマハティール氏はこれをリモートコントロールできる。アンワル氏は2018年の総選挙前に密約を交わしたにも関わらず、ついにマハティール氏から後継者指名を受けることができなかった。今回も約束が反故にされないという保証はない。

 前回に懲りたアンワル氏が率いる希望同盟(PH)はアンワル氏を首相に推すという当初の案を押し通しシャフィー擁立案を却下したが、PH側がマハティール案を受け入れていればシャフィー首相が誕生した可能性があった。ボルネオ出身者の首相となれば歴史上初めてとなる。シャフィー氏とはどのような人物なのだろう。

 シャフィー氏はバジャウ族の出身で、第6代州首相の甥という名門。官僚を経て政界入りし、統一マレー国民組織(UMNO)移籍後に頭角を現し、サバ州出身者を代表して連邦閣僚を歴任した。2000年にはUMNO党最高評議員に選出され、2013年には党総裁補に登り詰めた。しかし1MDB疑惑に晒されたナジブ・ラザク首相を批判してUMNOを除名され、今度はサバ州内で新党ワリサンを結成し勢力を拡大。2018年の総選挙で勝利して州首相に就任した。

 一方、シャフィー氏にはUMNO式のバラマキ&縁故主義的傾向をもった人物との噂は絶えない。証拠不十分で起訴は取り下げられたものの、地方地域開発相時代には農村開発プロジェクト向けの15億リンギの公費を乱用した疑惑が浮上した。

 サラワク州も含めボルネオでは元は別の国だったものが戦後に半島部と合併したという歴史的背景もあって、半島部と距離をとって独自路線を歩む傾向が強く、実際半島諸州にはない多くの権限が認められている。一方で石油権益など、資源を半島側に奪われているとの不満の声も少なくない。シャフィー首相誕生となればボルネオの地位向上につながると期待する声も多いが、その一方で連邦に深入りすべきでないと慎重な意見も根強い。前述のようなシャフィー氏個人への不信感も根強くある。

 PHとの交渉が物別れに終わったことを受け、マハティール氏はPHへの再合流の可能性を否定。PHとは別の独立ブロックで活動していくと言明した。しかしこのまま総選挙に突入した場合、与党連合・国民連盟(PN)とPHとマハティール派の三つ巴になりかねず、PNを利することは明白。これを阻止するために再びPHとマハティール氏の間で何らかの妥協が図られる可能性はある。再びシャフィー氏の名前が浮上する可能性もある。

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「景気低迷から脱出しつつある」、世銀理事

【クアラルンプール】 世界銀行のンディアメ・ディオプ地域担当理事は、マレーシアは新型コロナウイルス禍で困難に直面したが、景気低迷から比較的良好に脱出しつつあるとの見解を示した。
マレーシアの強みとして経済の多様性、健全な金融システムを挙げ、公衆衛生面の対応、積極的経済対策でウイルス禍の影響を減じることができたと述べた。
世銀が立てた今年の経済予想は3.1%の減少だが、ディオプ氏は「困難の先に明るい兆候が見える」とした。
ディオプ氏は特に、マレーシアが経済の活性化だけでなく改革にも注力したことを取り上げ、政府は危機からの脱出だけでなく、次の危機にも持ちこたえられるような経済構造を目指していると述べた。
移動制限指令(MCO)解除後は多くの経済活動が再開されたが、観光業などの回復は先のため、蓄えの少ない所得下位40%への支援がさらに必要だという。
(ベルナマ通信、7月19日)

ミレニアル&Z世代「新型コロナはリセットの機会」=調査

【クアラルンプール】 デロイトが実施した2つの調査によると、新型コロナウイルス「Covid-19」の大流行下において企業や政府が自らのコミットメントを反映する世界を推進しており、ミレニアル世代(25ー39歳)とZ世代(5ー24歳)は、社会の改善に注力しリセットの機会と見ている。
デロイトは、主要調査を2019年11月ー2020年1月上旬において43カ国の1万8,426人のミレニアル世代とZ世代を対象に、パルスサーベイを2020年4ー5月間において13カ国の9,102人を対象に実施した。
新型コロナ大流行前に行った主要調査でマレーシアのミレニアル世代の46%は、不安やストレスを感じていると回答。ストレスの主な原因について▽個人の長期的な経済的将来(57%)▽家族の福祉(54%)▽仕事・キャリアの見通し(50%)ーーなどを挙げた。一方で新型コロナ大流行下に行ったパルスサーベイでは、ロックダウンによりストレスレベルがわずかに低下したことが分かった。ミレニアル世代の69%とZ世代の64%は、在宅勤務の選択肢を持つことでストレスを和らげることができると回答した。
経済面については、主要調査では50%のミレニアル世代が、来年に悪化または停滞すると考えいたが、パルスサーベイではミレニアル世代の半分以上、Z世代の半分近くが短期的な楽観的な見方を示しており、「新型コロナにより向こう3カ月の収入を節約できる」と答えた。しかし景気回復については「改善する」との回答がミレニアル世代で56%(世界では51%)に止まり、3年前の調査結果(76%)からダウンし、更にパルスサーベイではミレニアル世代で41%、Z世代で43%に止まった。
34%のミレニアル世代(世界では35%)が、5年以上の継続勤務を望んでいると回答し、2019ー2020年間において2年以内に退職した労働者は23%に止まった。また新型コロナ下における雇用主の対応については3分の2が、迅速な対応および対応内容に満足していると回答。約60%は、これらを理由に継続勤務を希望しているとした。
(ボルネオ・ポスト、7月20日、ザ・サン、7月15日)

LRT3号線、2024年2月28日に竣工予定=プラサラナ

【クアラルンプール】 軽便鉄道(LRT)3号線建設の竣工日について、同事業の所有者であるプラサラナ・マレーシアのタジュディン・アブドル・ラーマン会長は、2024年2月28日を予定していると明らかにした。
LRT3号線はセランゴール州ペタリンジャヤのバンダル・ウタマとクランのジョハン・セティアを結び、全長37.8kmキロメートルに上る。6月30日時点の建設進捗率は33.12%。
LRT3号線についてタジュディン会長は、同地域における200万人以上の人々に好影響を与え、クランバレーの都市鉄道システムの完成前において1日当たり約6万7,000人の通勤・通学者を輸送することが可能だと言明。特にクアラルンプール(KL)ーセランゴール州クラン間の連邦高速道路(フェデラル・ハイウェイ)における交通渋滞の削減し、ペタリンジャヤのグレンマリー駅においてLRTクラナジャヤ線と統合することで、経済成長への刺激も見込めるとした。
(ザ・サン、エッジ、7月19日)

公共の場でのマスク着用義務化を検討=ムヒディン首相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムヒディン・ヤシン首相は20日、復興のための行動制限令(RMCO)に関する特別テレビ演説を行ない、公共の場所におけるマスク着用の義務化を検討していることを明らかにした。

新型コロナウイルス「Covid-19」感染が再び拡大することを防止するためで、ムヒディン首相は詳細については決まり次第発表すると言明。必要に応じて海外帰国者についても隔離センターに留めおくなどして、海外からの感染流入を効果的に抑制すると述べた。

ムヒディン首相は、収束に向かっていた新型コロナウイルスのクラスターがRMCO期間中に13カ所で発生したことに加え、数日前に新規感染者数が二桁に戻ったことが懸念されると指摘。「国民がロックダウンの実施を望んでいないことは分かっており、そうした危険レベルに達することがないよう願っている」と述べた上で、国民の「新常態」に対する取り組みが不十分であれば、再び行動制限令(MCO)を導入することになると警告した。

ムヒディン首相はMCOを再導入した場合には1日当たり20億リンギの経済損失を産み、数百万人の被雇用者の収入に影響を及ぼす恐れがあると指摘。これまでの政府、民間、NGOが行なってきた経済復活への取り組みを台無しにし来年の経済成長にも影響を及ぼし、企業の倒産や失業率の上昇を産むと述べた。