飲料運転死亡事故の増加うけ罰則強化の動き強まる

 飲酒運転による重大交通事故が続発したことを機に、マレーシア政府の間で飲酒運転の罰則を強化しようという動きが強まっている。

 2015年以降、飲酒運転による事故は1,035件、死亡者数は618人に上っている。今年は年初5カ月で8人が飲酒運転が関連する事故で死亡したという。最近では5月3日未明にセランゴール州カジャンで、高速道路の料金所で検問をしていた警察官に44歳の男性が運転するピックアップ車が突っ込み、警察官が死亡する事故が発生。5月25日にはパハン州クアンタンで飲酒運転の車が逆走し1人がはねられて死亡した。5月29日には、クアラルンプール(KL)市内でハンドル操作を誤った乗用車が二人乗りのバイクに衝突、1人が死亡1人が重傷を負った。6月1日未明には同じKL市内でデリバリーサービスの二輪車に衝突。二輪車に乗っていた男性が死亡した。

 ここ数カ月の飲酒運転増加については新型コロナウイルス「Covid-19」拡大抑制のために導入された行動制限令(MCO)が影響しているとの見方もあるが、それはともかくマレーシアでは「1987年道路交通法」で飲酒運転の定義や罰則が規定されているものの、これが緩すぎるという批判の声は以前からあった。

 日本は呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15ミリグラム(mg)、血中アルコール濃度は0.3mg/ml(0.03%)だが、マレーシアは呼気が0.35mg、血中が0.8mg/ml(0.08%)と二倍以上となっており、世界保健機関(WHO)が推奨する血中濃度0.5mg/ml(0.05%)を上回っている。

 現行のマレーシアの飲酒運転の罰則は1,000リンギ以上6,000リンギ以下の罰金、もしくは12カ月以下の禁固刑。死亡事故を起こした場合でも8,000リンギ以上2万リンギ以下の罰金、及び3年以上10年以下の禁固刑となっている。

 これに対し、カナダでは飲酒運転は刑事罰の対象であり、死亡事故を起こせば終身刑になる。英国でも死亡事故を起こした場合には14年の禁固刑に処される。台湾では、飲酒運転で死亡事故をおこした場合に殺人罪を適用できるよう法改正をめざしているという。

 前・希望同盟(PH)政権では政権発足当時から厳罰化に着手し、10万リンギ以下の罰金、20年以下の禁固刑に厳格化する方向で法改正目指していたが、今年2月の政変でPH政権が崩壊してしまい法改正プロセスが止まってしまった。

 3月に樹立された現・国民連盟(PN)政権のウィー・カション運輸相(マレーシア華人協会=MCA党首)も、PH政権と同様に飲酒運転によって重大事故を起こした場合の罰則を強化する方針を明らかにしており、6月半ばに改正法案の策定を終わらせ、7月13日に再開された今国会に提出する方針だとしている。

 

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新型コロナ感染者が新たに4人、国内感染者はゼロ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は14日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から4人増えて8,729人になったと発表した。
新規感染者は全員海外で感染した帰国者で、3人がマレーシア人、1人が外国人だった。また新たに4人が退院し、回復者数は8,524人に増加した。死者数は4日連続でゼロだった。
保健省のノール・ヒシャム事務次官は13日、ロシアのノヴゴロド州から帰国したマレーシア人が関連する「ノヴゴロド・クラスタ」が発生していると明らかにした。保健省はこれまでに接触者14人を特定し、うち3人の感染を確認している。
1人目の感染者は5日、入国時の検査で陽性であることが分かりスンガイブロー病院に隔離されている。2人目は、1人目の感染者と同じ飛行機に搭乗していた友人で、入国時の検査では陰性と診断されたが、7日に発熱や呼吸困難を訴え再度検査を受診したところ感染していたことが分かった。3人目は、2人目の感染者の父親で、空港に車で迎えに行っていたという。

馬・星両国、通勤&業務往来対象に8月10日の再開目指す

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア・シンガポール両国政府は、新型コロナウイルス「Covid-19」のために途絶えている両国間の通勤及び業務・公用の往来について、8月10日の再開を目指すことで合意した。
マレーシアのヒシャムディン・フセイン外相とシンガポールのビビアン・バラクリシュナン外相が14日、共同声明を発表した。対象となる旅行者はPCR検査を含む両国が相互合意した公衆衛生対策を遵守することが求められる。出入国に必要な要件、保健プロトコール、申請プロセスについては実施の10日前に公開する。
両国は通勤者を対象とした「定期通勤申し合わせ」(PCA)及び業務渡航・公務出張者を対象とした「相互グリーン・レーン」(RGL)の実施で合意した。PCAはビジネスや就労目的で相手国の長期パスを所持している者が対象。RGLは相手国の当局に旅程を提出し、訪問中にこの旅程を遵守することが求められる。
■75%超のマレーシア人越境通勤者、職場復帰の見通し■
ジョホール州投資・起業家開発・協同組合・人的資源委員会のモハマド・イズハル・アハマド議長は、マレーシア・シンガポール両国国境が再開した際には、シンガポールの労働許可を所持するマレーシア人労働者の少なくとも75%が職場に復帰することになる見通しだと明らかにした。現時点で越境通勤者の10%は職場復帰しない見込み。残り15%は保留中だという。
ジョホールバルから陸路国境を越えて毎日10万人のマレーシア人労働者がシンガポールに通勤していたが、新型コロナ感染拡大を受けて国境が封鎖となり事実上のレイオフ状態となっている。

マレーシア航空と日本航空、25日からKLー成田線を運航

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア航空と日本航空は10日、共同声明を発表し、マレーシアと日本を結ぶ路線で共同事業(JV)を25日から開始すると発表した。
両社は2019年12月に独占禁止法適用除外申請の認可を取得し、日本-マレーシア路線における共同事業実施に向け準備を進めてきた。7、8月はクアラルンプール(KL)ー東京(成田)を週2便ずつ運航する。
両社はそれぞれすべての顧客に安全・安心な空の旅を届けるため、新型コロナウイルスの感染予防対策に取り組んでおり、両国間の移動を必要とする顧客が安心して利用できるよう、今後も感染予防対策を徹底する方針だ。
マレーシア航空グループのイザム・イスマイル最高経営責任者(CEO)は、マレーシアと日本の間でのトラベルバブル(近隣の域内旅行)の構築に向けて両国政府が話し合いを行うことに期待していると言明。両国の商業、貿易、観光業の促進につながると期待していると述べた。
日本航空の赤坂裕二社長は、航空連合「ワンワールド」のメンバーであるマレーシア航空との新たなJVを発表できることを嬉しく思うと表明。前例のない時期のスタートとなったとし、安全と衛生面で最高の水準を維持できるように徹底すると述べた。

予算赤字はGDP比6.5%になる可能性、格付け会社見通し

【クアラルンプール】 格付け会社マレーシアン・レーティング(MARC)のノル・ザヒディ主任エコノミストは、歳入減少、景気対策のための歳出増を背景に、今年の予算赤字は対国内総生産(GDP)比で6-6.5%になる可能性があるとの見通しを示した。
GDPは第1四半期に0.7%増に減速しており、通年では1.5-3%の縮小になるとMARCは予想している。
政府債務の対GDP比率も、政府が自ら設定した上限の55%を超え、56-60%になる見通しだという。
予算赤字の拡大、政府債務の増加を理由に、海外の主要格付け会社のうち2社がマレーシアのソブリン債の見通しを、「安定的」から、格付けが下方に向かう可能性を示す「ネガティブ」に引き下げている。
それでも、国際原油価格が回復し、政府が歳入増のための中期的措置を講じれば、格下げ圧力はある程度緩和されるという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月11日)

JBとシンガポール結ぶ高速鉄道計画、11月に再開へ

【ジョホールバル】 ジョホールバル(JB)とシンガポールを結ぶ高速鉄道輸送システム(RTS)計画は、二国間協定のすべての要件が満たされたため署名の上、11月に再開される見通しだ。ジョホール州のハスニ・モハマド首相が明らかにした。
RTSのメンテナンスおよび鉄道の運転拠点の建設場所は、当初予定のシンガポールのマンダイから、JBのワディハナに移転される。
JBのブキ・チャガルとシンガポールのウッドランズ間4キロメートルを結ぶRTS計画についてハスニ州首相は、両国を結ぶ連絡道(コーズウェイ)の交通渋滞を緩和するために不可欠であると言明。また、建設工事に伴い約500人の雇用機会の創出が見込めると述べた。
新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大を阻止するため閉鎖している国境の開放については、マレーシア人労働者のシンガポールへの出国許可を求めており、シンガポール総選挙後に国境規制が緩和されることを望んでいるとした。
(エッジ、7月12日)

小売業の売り上げ予想、RGMがマイナス8.7%に下方修正

【クアラルンプール】 小売リサーチを手掛けるリテール・グループ・マレーシア(RGM)は、今年の小売業の売り上げ予想をマイナス8.7%に下方修正した。4月にもプラス4.6%としていた予想をマイナス5.5%に変更していた。
RGMが発表した7月の小売業界レポートによると、今年第1四半期の売り上げは前年同期比11.4%減少した。第2四半期は28.8%のマイナスとなったと見込まれており、4月のレポートの予想であるマイナス9.3%を下回ったことが予想されている。中でもデパート・スーパーマーケットの売り上げが40.9%減となったと予想されている。スーパーマーケットやハイパーマーケットの売り上げはマイナス14.8%と予測されており、今後数カ月内に大幅改善することは難しいという。またファッション・アクセサリーの売り上げはマイナス39.3%、薬局・パーソナルケアの売り上げはマイナス18.4%となった予想だ。
RGMは、行動制限令(MCO)が段階的に解除されたことを受け第3四半期はマイナス3.5%に縮小すると予想。10月に完全にMCOが解除された場合、第4四半期はマイナス1.5%となり、穏やかに回復するとの予測を示した。
(ザ・サン、7月14日、ベルナマ通信、7月13日)

議会再開、前哨戦の議長解任動議は僅差で可決

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 下院議会(定数222)が2カ月ぶりに再開し、初日の13日には新型コロナウイルス「Covid-19」の下院議会の標準的運用手順(SOP)、政府が打ち出した感染防止策や経済対策、下院議長及び副議長の交代に関する審理が行われた。

 アンワル・イブラヒム人民正義党(PKR)党首が野党側リーダーとして、またマハティール・モハマド前首相も新たな野党ブロックの代表として質問に立った。

ムヒディン・ヤシン首相は、モハマド・アリフ下院議長の交代に関する動議を提出。賛成111票、反対109票で辛くも2票差で可決された。今国会では野党側がムヒディン首相の不信任案を提出する意向を示しており、その前哨戦として注目されていた。

野党側は「解任の理由が不透明」「新たに政府・与党寄りの人物を指名するための恣意的もなもの」などと批判。議会改革に積極的だったアリフ議長の留任を求めて動議否決を目指していた。

過半数をとれなかったのは、与党・国民連盟(PN)側から議員1人が欠席したため。ひとまず可決したものの与党側にとって綱渡りの状況であることが改めて示された格好だ。

■経済対策、「議会審議の時間なかった」ムヒディン首相■

下院議長解任動議に先立って新型コロナウイルス「Covid-19」に関連した政府の経済対策について野党から質問があり、ムヒディン首相は議会審理を通さなかったことについて「国民から要請があった。緊急を要していたため、議会開催まで待つことが出来なかった」と説明した。

ムヒディン首相は、下位40%の低所得者(B40)やサバ・サラワク州などの地方が取り残されないようにすると言明。社会経済開発の不均衡に対処し、経済を再構築・強化するための様々な政策・戦略の策定に着手していると述べた。

新型コロナの感染者新たに7人を確認、うち6人は帰国者

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は13日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から7人増えて8,725人になったと発表した。
新規感染者のうち6人は海外で感染した帰国者だった。また新たに1人が退院し回復者数は8,520人に増加した。死者数は3日連続でゼロだった。
保健省のノール事務次官は12日、サラワク州クチンにあるエンジニアリング会社で従業員2人が感染し、クラスタが発生していると明らかにした。
同クラスタ1人目の感染者は、呼吸困難を訴え9日に医療センターで治療を受けていた。後に保健省は、同患者が陽性であることを確認し、接触のあった同僚16人と家族16人の計32人を特定、スクリーニング検査を実施した。うち1人が陽性、16人が陰性、15人が検査結果待ちとなっている。感染源については調査中。同施設ではすでに除染および消毒が行われた。

ミレニアル世代の口座開設が急増=楽天トレード

【クアラルンプール】 新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大抑制のために行動制限令(MCO)が発令されたのを機に、ミレニアル世代の間で証券取引に対する関心が急速に拡大している。
オンライン証券取り引きの楽天トレードでは、5月15日から6月30日までの間に5万件の新規口座が開設され、今では40歳未満、且つ3年未満の証券取り引きの経験しかないクライアントが全体の80%を占めているという。
楽天トレードの三瀬和正・最高経営責任者(CEO)代行は、「株価が下がっていたことで新たな投資家が参入しやすかった面がある」と指摘。口座数だけでなく取引件数も増加したと述べた。6月30日時点で個人投資家向けのシェアは7%に、取り扱い資産額は15億リンギに上っているという。
今後の見通しについて三瀬CEO代行は、収益水準が今年は持続するとの見方を表明。「市場の勢いと並行して、収益の成長が加速すると予想している」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月10日)