【クアラルンプール】 国内経済は行動制限令(MCO)による経済・社会活動の制限で第2四半期に前年同期比17.1%の大幅減を記録したが、エコノミストによれば、近隣国と比べ早期に行動制限を敷いた結果で、回復はこれら近隣国より早いという。
マレーシアは3月18日から6月10日まで厳格なMCOを施行した。一方、シンガポール、インドネシア、タイが行動制限を導入したのは4月か5月初旬だった。
独立系シンクタンク、KSIアジア太平洋戦略研究所アドバイザーのフー・ケピン氏は「活動制限の施行が遅かった国は第3四半期に経済が大幅縮小する可能性が高いが、マレーシアは既に回復基調に入る」と述べた。
シンガポールの第2四半期の国内総生産(GDP)は前期比42.9%減だった。タイのGDPは前年同期比12.2%の減少で、インドネシアは5.3%の減少だった。フー氏は「マレーシア経済が東南アジアで最悪との意見が正しくないことは数字で明らか」と述べた。
(マレー・メイル、8月26日)
ハラル商品の輸出高、2030年までに1千億米ドルに=HDC
【クアラルンプール】 ハラル(イスラムの戒律に則った)産業の育成を支援するハラル開発公社(HDC)は、ハラル商品の輸出高が2030年までに1,000億米ドル規模に拡大するとの予想を示した。
ハイロル・アリフェイン・サハリ最高責任者(CEO)によると、トレーニングやコンサルタント、ハラル工業団地、ハラル統合プラットフォーム(HIP)など通して国内のハラル産業の成長を促進させることができると見込んでいる。輸出高は現在、年間で100億米ドルのペースで増加しているが、輸出高を年間200億米ドルに加速させることができるという。
HIPは来年第1四半期に正式発表を予定しているオンラインプラットフォームで、ハラル商品や企業を宣伝し、取引を促進させることを目指している。およそ5,000社の利用を見込んでいる。
世界のハラル市場の規模について、ハイロル・アリフェインCEOは、現在は3兆米ドル程度だが、イスラム教徒以外の消費者からもハラル商品の需要が高まっており、30兆米ドルに拡大することが予想されていると言明。目標を達成するために輸出量を増やして、国内のハラル産業のエコシステムへの投資誘致を促進させると述べた。
マレーシア国内のハラル市場の規模に関して、ハイロル・アリフェインCEOは、700億米ドル程度だが、2030年までに1,500億米ドルに拡大することができると予想。ハラル産業は昨年、国内総生産(GDP)に7.4%貢献したが、2030年までに15%に拡大させることを目指すとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、8月27日)
美濃焼のフィールド、伊勢丹KLCCで販売開始
【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 岐阜県南部の伝統陶磁器である美濃焼の輸出商社、フィールド(本社・岐阜県土岐市)は、27日からクアラルンプール(KL)の伊勢丹KLCC店で一般家庭で使う美濃焼の食器の販売を開始した。
平皿や深皿、丼、鉢など27種類の食器を8.25—34.5リンギで販売する。今後の本格販売に先駆けてブランド力のある伊勢丹デパートをショーケースとして、マレーシア人消費者に対するブランド認知度を高める。
フィールドは美濃焼の製造大手、フタダの子会社。工場から出荷価格で海外に出せるのが強みで、中国・上海、広州、米国、南米、韓国向けに毎週20フィートコンテナ1個(約6万個)のペースで輸出している。年商は約3億円で、今年は新型コロナウイルス「Covid-19」流行の影響でECサイトを通じたネット販売が好調であることから年商3.3億円を見込んでいる。
東南アジア市場については、2019年10月にKLで開催されたECサイトの商談会「ラザダ(Lazada)WECOMMERCE 2019」のジャパン・パビリオンに出展したのが初めのアプローチで、すでに引き合いが来ている。同社の向井友貴子営業本部長によると、マレーシアをベースに越境ECを使って販売先を東南アジア各国に広げていく方針。
新型コロナ感染者は新たに5人、うち3人がマラッカで感染
【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は27日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から5人増えて9,296人になったと発表した。
新規感染者のうち2人はフィリピンとエジプトからの入国者。残り3人はマラッカ州で感染した。新たに16人が退院し治癒者数は8,994人に増加した。死者数は28日連続ゼロで、125人を維持した。
保健省は26日、公式ツイッターを通して2つのクラスターが消滅したと明らかにした。一つ目のクラスターはジョホール州の宗教センターが関連している「ブキティラム・クラスタ-」で、これまでにマレーシア人6人と外国人4人の計10人が感染した。二つ目はサラワク州の「マンボン・クラスター」。マンボンにある会社から同クラスターが発生し、感染者数はマレーシア人5人と外国人2人の計7人に上った。二つのクラスターから死者は出なかった。
ケダ州で拡大する「タワル・クラスター」について保健省のノール・ヒシャム事務次官は、蔓延抑制に向け州内で公衆衛生活動を強化すると発表した。消毒のため学校や施設を閉鎖し、標準運用手順(SOP)の実施および、影響を受けている地域の人々に最新情報を発信するためマスメディアとのコミュニケーションを強化する。同クラスターは8月1日に親族内で行った追悼式で発生し、現時点で国内最大のアクティブ・クラスターとなっている。3次感染により感染者数は73人に上った。
グリーンゾーン国・地域との旅行再開案、9月上旬に提出
【クアラルンプール】 新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大の抑制に成功したとみなされる「グリーンゾーン国・地域」間との旅行再開に向けた提案が9月上旬に国家安全委員会(NSC)へ提出される。ナンシー・シュクリ観光芸術文化相が明らかにした。
ナンシー氏によると、相互に行き来を認める国際的なエリアを設定する「トラベル・バブル」の下で、対象国・地域間と標準運用手順(SOP)を最終決定する。対象国は日本やシンガポールなど。観光芸術文化省(MOTAC)は豪州とも協議を進めていたが、同国において感染拡大の第2波が広がっていることから計画をストップしている。多くの国で感染第2波が発生していることから、国全体での旅行再開ではなく、地域ごとに「トラベル・バブル」を設定するという。
また国内観光を後押しする取り組みの一環としてMOTACは、国内市場向けの旅行展示「チュティ・チュティ(休日)マレーシア・フェア」においてテレビプロモーションを実施する。島やビーチ、ダイビングなどの水中のアクティビティ、自然、食べ物などいくつかの観光テーマや商品を紹介し、国内旅行を活性化させる狙い。国内観光における標準業務手順(SOP)を向こう2週間で策定する予定だ。
(ザ・スター、マレー・メイル、8月26日)
新型コロナ後に行きたい海外旅行先、日本がトップ
【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本政策投資銀行が日本交通公社と共に実施した「アジア8地域・訪日外国人旅行者の意向調査」によると、マレーシア人が新型コロナの流行終息後に、観光旅行したい国・地域で日本はトップだった。
日本に行きたい理由で最も多かったのは、「行きたい観光地や観光施設があるから」だった。日本で行きたい地域のトップは北海道で回答率は51%。それに東京、沖縄、東京近郊、九州が続いた。
マレーシア人が行きたい海外旅行先の2位は韓国、3位は台湾、4位は中国本土、5位が豪州だった。
2019年12月ー2020年5月の間に海外旅行を予定していたマレーシア居住者のうち、キャンセルをしたと答えたのは81%となり、調査対象国で最も回答率が高かった。キャンセルした理由のトップは「新型コロナウィルスの感染予防のため」で79%、それに「親族・知人にキャンセルを薦められたから」が40%、「航空便が運休となったから」が38%となった。
キャンセルをせずに海外旅行したとの回答は19%だった。キャンセルしなかった理由としては、「当時は新型コロナウイルスの流行は深刻ではないと判断したから」が48%となり全体平均の43%を上回った。「旅行を中止・変更するとキャンセル料が発生することになるから」との回答は33%だった。
新型コロナへの感染の不安については、「不安があった」と「やや不安があった」との回答は共に29%。「不安はなかった」が10%、「あまり不安はなかった」が16%、「どちらとも言えない」が16%となった。
海外を訪問した目的としては、「観光」が66%で最も多く、16%が「ビジネス・国際会議」、「親族や知り合いに会うため」が10%、「研修・インセンティブ」が7%、「留学」が2%だった。
破産法を改正、10万リンギの債務で破産宣告
【クアラルンプール】 破産法改正案が25日、下院で2読に付され承認された。個人が破産を宣告される債務額が5万リンギから10万リンギに引き上げられる。
法案の趣旨説明に当たったタキユディン・ハッサン首相府相(法務担当)によると、破産法は1967年9月に官報に掲載されて以降、4回、破産認定額が引き上げられており、前回は2017年に改定された。経済の発展に伴い国民の富が増加したことを考慮した改定で、法律に今日性を持たせた。
改定案の策定に当たり政府は、シンガポール、豪州、米国、英国など複数国の破産法を比較調査した。タキユディン氏によると、ほとんどの国が時代に即し、破産認定額を引き上げている。
7月時点の統計によると、破産宣告を受けた者は4,151人で、民族別ではマレー系が2,312人、華人系が1,028人、インド系が307人、そのほかの民族が490人、外国人が14人だった。
(ベルナマ通信、フリー・マレーシア・トゥデー、8月25日)
ユニクロ「エアリズムマスク」、9月14日から販売開始
【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ユニクロ(マレーシア)は25日、吸汗速乾、接触冷感、抗菌消臭などの機能を持つ「エアリズム(AIRism)」の素材が使われた「エアリズムマスク」を、9月14日からマレーシアで販売すると発表した。
「エアリズムマスク」は3層構造で、中央部の高性能フィルターはバクテリア(細菌)や花粉を99%カットする。外部のメッシュ生地はUPF50+(紫外線保護指数50+)で紫外線もカットできる。洗濯することで繰り返し使用も可能で、20回洗濯した場合でもバクテリアろ過効率(BFE)は93%、花粉の粒子捕集(ろ過)効率は93%を維持する。
白と黒の2色展開で、価格は3枚入りで39.9リンギ。サイズは▽S(8センチメートル(cm)×12cm)▽M(22cm×14cm)▽L(23cm×14.5cm)ーーの3サイズとなる。
新型コロナ感染者が新たに6人、うち5人はケダ州で感染
【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は26日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から6人増えて9,291人になったと発表した。
新規感染者のうち1人はシンガポールからの入国者。残り5人はケダ州で感染した。新たに7人が退院し治癒者数は8,978人に増加した。死者数は27日連続ゼロで、125人を維持した。
ペルリス州の2村とケダ州の4準地区を対象とした事実上のロックダウン(封鎖)である一部地域対象の強化行動制限令 (TEMCO)が26日付で解除された。イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)によると、両州のTEMCOはそれぞれ8月30日と9月4日に終了する予定だったが、同地域において新規感染者が検出されなかったため解除日を早めた。ケダ州では「タワル・クラスター」が拡大しているが、これ以上のTEMCO実施は必要ないと保健省が判断したという。TEMCOの下でペルリス州カンポン・サンランとカンポン・タナ・ティンブルの住人1,397人と、ケダ州クバンパスとパダンテラップで7,000人以上がスクリーニング検査を受けた。
標準業務手順(SOP)に従わなかった場合の罰金について保健省のノール・ヒシャム事務次官は、現行の1,000リンギから1万リンギに引き上げるべきとの見解を示した。「1988年感染症予防管理法(342法)」が策定された1988年当時における罰金1,000リンギの罰則は妥当であるが、現在の基準に置き換えると1万リンギが適切だと指摘。すでに議会に同提案を提出したとした上で、申し立ての受理には時間がかかる可能性があると述べた。
Shopee親会社Seaの急成長
マレーシアでもEコマースを展開しているShopeeがあります。2017年にシンガポールで創業した若い会社ですが、実は親会社は2008年に創業したゲーム開発のSeaという企業です。
コロナ禍での巣ごもり消費を受けて株価が大きく上昇しています。今年の年明けから4月中旬までは、40ドル台と横ばいでしたが、4月下旬、そして5月と新型コロナウィルス対策のための行動制限が世界各地で長引くと、ゲームとEコマースといった「巣ごもり消費」の需要が高まり、株価も上昇して6月には100ドルを突破しました。そして、8月25日の終値は154ドル13セントと、2017年の上場初日の終値は15ドル26セントから3年足らずで10倍という上昇ぶりです。
Seaは中国のテンセントとの関係も深い企業です。上場前は、中国のテンセントが39.7%の株式を保有していましたし、上場後もテンセントはSeaが発行した米国預託証券を購入するという関係が続いています。
ただ、Seaの株価は、さすがに急騰し過ぎでバブルだ、過大評価だという声もあります。Seaにとっては、ゲームに次ぐ収益源としたいShopeeですが、Eコマースは競合も多い分野です。売上が増えていても、市場競争に勝つために様々なキャンペーンを展開したり、大規模な広告を打ったりと消耗戦が繰り広げられています。現状、ShopeeはSeaにとって着実な収益源とまでは育っていません。
今後は、Shopeeを含むSeaの事業がコロナ禍での追い風を活用して、ビジネスの基盤を強化することができるかが重要となるでしょう。
※本連載の内容は著者の所属組織の見解を代表するものではなく、個人的な見解に基づくものです。