「レジデンストラック」9月開始で合意、茂木外相が来馬

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 シンガポールとマレーシアを歴訪中の茂木敏充外相は14日、マレーシアでヒシャムディン・フセイン外相と会談し、「レジデンストラック」実施で合意し、9月上旬にも開始することで一致した。
「レジデンストラック」は両国間で駐在員などビジネス上必要な人材交流を目的として例外的に入国を許可する二カ国間の相互システムの一つで、駐在員などの長期滞在者を対象とする。相手国との協議によって実施内容は変わるものの出発前の検査や入国後の検査、14日間の隔離。健康モニタリングなどが求められる。
日本はすでにタイとベトナムを対象に7月29日より試行措置を実施しており、両国以外でも豪州、ニュージーランドなどと協議を行なっている。
両外相は、東シナ海、南シナ海問題や北朝鮮情勢について突っ込んだ意見交換を行い、今後も緊密に連携していくことで一致。茂木外相からは拉致問題の早期解決に向けた理解と協力を求め、ヒシャムディン外相からも理解を得た。
■アズミン上級相とも会談■
茂木外相は14日にはアズミン・アリ上級相(兼通産相)とも会談し、環太平洋経済連携協定(TPP)と東アジア地域包括経済連携(RCEP)の進捗状況、マレーシア・シンガポール間高速鉄道(HSR)計画、マレーシアにおける日本の大学分校の設置、防衛関連分野での協力について意見を交換した。
茂木外相はポスト・コロナの経済回復に向けて、マレーシアに対する主要な投資国として、日本企業によるサプライチェーンの多元化を通じてマレーシアを支援していきたいと表明した。

デジタルエコノミーマスタープラン、10月開始=ムスタパ大臣

【クアラルンプール】 デジタルエコノミー・マスタープランが10月から開始される予定だ。ムスタパ・モハメド首相府相(経済担当)が明らかにした。
ムスタパ首相府相は、通産省(MITI)が前年、インダストリー4.0(IR4.0、第4次産業革命)を推進するためのマレーシアの国家方針を取り纏めた「インダストリー4WRD」を導入したが、これには製造セクターだけが対象となっていたと言明。同マスタープランでは非製造業セクターを含むすべてのセクターを対象にし、全セクターの成長を促進させる狙いだとした。
同プランの詳細については、政府からの承認を取得次第2カ月以内に発表する予定だとし、同プランにはマレーシア・デジタル経済公社(MDEC)、通信マルチメディア省、マレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)、マレーシア行政近代化及び管理計画局(MAMPU)などさまざまな政府機関が関与しており、調整に時間が掛かっていると述べた。新型コロナウイルス「Covid-19」の大流行によりデジタル化が促進され、政府はデジタル部門の後押しに注力しているという。
(エッジ、8月13日)

マレーシア人42%「男女間賃金格差を感じる」=調査

【クアラルンプール】 男女間賃金格差について、市場調査会社Vase.aiの調査結果によると、マレーシア人の5人に2人(42%)が、格差を感じていることが分かった。40%が「公平で平等」、18%は「わからない」と回答した。
しかし回答者自身の職場における男女間賃金格差について「公平で平等である」と回答したのは、52%に上った。30%が「格差がある」、18%は「わからない」と答えた。
格差を感じた理由について、回答者の42%(うち44%が女性、40%が男性)は「特定の性別が特定の仕事に就けない場合があるため」と回答した。これに▽特定の性別は特定の環境で働くことが出来ない場合がある(37%)▽特定の性別は特定の役割・仕事にとって価値があると見なされている(33%)▽特定の性別はリーダーシップの役割を実行できないと見なされている(30%)▽特定の性別は仕事よりも個人の生活を優先する(28%)▽特定の性別はワークライフバランスを要求する(26%)▽特定の性別は子供を産んだ後に価値が低いと見なされている(24%)▽特定の性別を雇う方が安いと思われている(21%)▽特定の性別は低賃金の仕事・部門で働くことを選択する(16%)ーーとの回答が続いた。
有給の育児休暇については42%が、男性と女性両方の従業員に提供すべきと回答したが、34%は性別に関連した給与の査定やアクションプランが役立つ場合があると答えた。
また同調査により、回答者の38%が同じ職場に5年以上勤務していることが分かった。これに勤務年数1ー2年が15%、2ー3年が12%、 3ー4年が8%、4ー5年が6%が続いた。
同調査は1月22日ー29日間、24歳以上を対象にオンラインで行われたもので、1,042人のマレーシア人が参加した。参加者の70%はマレー系・ブミプトラ(マレー人と先住民族の総称)で、25%が中国系、5%がインド系または他の民族だった。また回答者の60%は民間部門、21%は政府・法定機関、19%は自営業の従事者で、うち33%がホワイトカラー労働者、 23%が専門職・幹部、 21%は自営業者、14%はブルーカラー労働者だった。
なお英字紙「マレー・メイル」によると、女性支援組織のウーマンズ・エイド(WAO)はマレーシアの企業に対して、英国のアプローチを採用し、性別間賃金格差に関する透明性を高めるよう求めているという。マレーシア政府に対しWAOは、男女の従業員の平均賃金、割合、ボーナスを受け取る従業員の男女比率を報告するよう企業に要求すべきと表明していた。
(マレー・メイル、8月13日)

日本空調サービス、マレーシア子会社を解散

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本空調サービス(本社・愛知県名古屋市)は12日、事業を休止していたマレーシア連結子会社、ニッポン・クウチョウ・サービシズ(M)の解散を発表した。2022年3月末までをメドに、解散・清算完了に関する必要な申請手続きを進める。
同日の取締役会で決定した。解散の理由について就労ビザ取得の遅延などによる事業開始の遅れに加え、新型コロナウイルス感染症の影響による長期的な停滞が見込まれるためだとしている。7月15日には事業休止を発表していたが、マレーシアにおける厳しい事業環境が好転する可能性は低く、今後事業活動を再開したとしても収益拡大を図ることが難しいと判断した。
ニッポン・クウチョウ・サービシズ(M)は、日本空調のアジア全域を経済圏として捉え積極的に海外展開を図る経営戦略のひとつとして、シンガポール法人の子会社として2016年12月に資本金300万リンギで設立された。総合建物設備メンテナンスサービスを手掛けていたが、2019年12月期決算では2,400万円の営業赤字を出していた。

GDP成長率、第2四半期はマイナス17.1%に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中央銀行バンク・ネガラ・マレーシア(BNM)は13日、2020年第2四半期(4ー6月)の国内総生産(GDP)成長率が17.1%の大幅なマイナス成長になったと明らかにした。新型コロナウイルス「Covid-19」の感染拡大の影響を受けて、四半期ベースでは1998年第4四半期のマイナス11.2%を上回る最大のマイナス成長となった。

 セクター別では、唯一、農業だけが前期のマイナス8.7%から1.0%のプラス成長となった。最も落ち込んだのは建設で、前期のマイナス7.9%からマイナス44.5%に悪化した。鉱業はマイナス20.0%で、前期のマイナス2.0%から大幅に悪化。プラス1.5%だった製造業は18.3%の大幅なマイナス成長に転落した。これまで景気を下支えしてきたサービス業も前期のプラス3.1%から一転し、16.2%のマイナス成長となった。
国内需要は前期のプラス3.7%からマイナス18.7%転落。民間消費も前期のプラス6.7%からマイナス18.5%となった。前期はマイナス2.3%だった民間投資はマイナス26.4%に悪化した。
公共支出は前期のプラス5.0%からプラス2.3%に減速。その一方でマイナス11.3%だった公共投資はマイナス38.7%に悪化した。モノとサービスの輸出は、前期(ー7.1%)を下回るマイナス21.7%で、輸入は前期のマイナス2.5%から、マイナス19.7%に悪化した。
中銀は声明の中で、新型コロナ感染拡大の影響で上半期の経済成長はマイナス8.3%となったと指摘。5月の初旬から段階的に経済活動が再開されたことで、3—5月に比べ6月は様々な統計が経済回復の兆しを示しているとした世界経済の成長回復の後押しや政府による様々な景気対策を受けて、下半期にはさらに回復が見込めると予想。その上で下半期のインフレ率は燃料価格の下落に伴い当初予想よりも低い水準に止まるとの予測を示した。

新型コロナ感染者は新たに20人、うち12人がケダ州で感染

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は14日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から20人増えて9,149人になったと発表した。

新規感染者のうち7人が海外で感染した入国者。残り13人はケダ州(12人)とペナン州(1人)で感染した。新たに7人が退院し治癒者数は8,828人となった。死者数は15日連続ゼロで、125人を維持した。

保健省のノール・ヒシャム事務次官によると、ケダ州タワルで新たなクラスタが検出された。感染者数は9人に上り、全員同じ家族だという。1日に親族内で行った追悼式が関連している。1人目の感染者は同式に参加後、8日に発熱と胸の痛みを訴え、9日に検査を受けたところ陽性であることを確認した。保健省はこれまで接触者86人の検査を実施した。うち21人が陰性で、56名人が検査結果待ちだという。

半数が行動制限令解除後の国内旅行を計画=調査

【クアラルンプール】 市場リサーチのVase.aiが実施した調査によると、56%のマレーシア人が「国内旅行をした・復興のための行動制限令(RMCO)解除後にレジャー目的で旅行する計画がある」と答えた。
Vase.aiはRMCO施行期間中に1,080人を対象に調査を実施した。16%は「出張した・出張する予定がある」と回答した。
最も多かった旅行の目的は「家族や友人を訪問するため」で、回答率は46%となった。「経済に貢献するため」が39%、「マレーシア国内を旅行するのには良い機会だから」が27%だった。
渡航先のトップはペナンで、回答率は31%となった。それに▽マラッカ(28%)▽クアラルンプール(25%)▽トレンガヌ(23%)▽ケダ(22%)ーーが続いた。
旅行先に行きたいと思った理由としては「その土地ならではのグルメ」が51%、「手頃な価格で楽しめる観光地」が44%、「手頃な価格の宿泊施設」が40%となった。
また旅行時には政府が定める標準運用手順(SOP)を遵守するとの回答は85%だった。
(マレー・メイル、8月12日)

チャイルドシート着用の義務付け、来年から罰則

【クアラルンプール】 ウィー・カション運輸相によると、1月1日から導入されたチャイルドシートまたは幼児拘束装置(CRS)の着用義務に違反した場合、来年から罰則が科される。
CRSの着用は、車内設置に問題が生じる場合を除き、すべての自家用車に義務付けている。タクシーや配車サービスはチャイルドシートの提供を推奨としている。CRS着用ルールが配車サービスに拡大した場合、乗車料金に1ー2リンギを追加請求する可能性があるという。
同省ではCRSの価格引き下げに向けマレーシア道路安全研究所(MIROS)に、自動車およびCRSの製造、販売、輸入業者と協議を行うよう命じている。
CRS設置の必要性についてウィー運輸相は、国際連合の協定規則第44号(UN R44)および第129号(UN R129)を採用したものであり、国際的な研究においても事故による子供への傷害リスクを軽減できることが証明されているためと説明。CRS着用の義務化は、乗車する子供たちの安全のためであり、罰則を科したり国民に負担をかけることは意図していないと主張した。
(ザ・スター、ザ・サン、ニュー・ストレーツ・タイムズ、8月13日)

「スーパースプレッダー」に禁固5カ月、規則違反で

【アロースター=マレーシアBIZナビ】 半島北部を中心に広範囲に新型コロナウイルス「Covid-19」感染を拡散させたとして、アロースター地方裁判所は13日、ケダ州在住の「スーパースプレッダー」に禁固5カ月、罰金1万2,000リンギを言い渡した。
標準的運用手順(SOP)を守らなかったことで罰金を科されるケースは後を断たないが、実際に感染を拡大させたとして訴追されたケースとしては、極めて重い処罰となった。政府は感染再拡大傾向に神経を尖らせており、今回の厳しい処罰につながったとみられる。
被告がアロースター病院で隔離中であるため、判決はジトラ治安判事裁判所からリモートで行なわれた。有罪判決を受けたのはクバンパスで飲食店を営むネザル・モハメド・サブル被告で、7月13日にインド・タミルナドゥ州シヴァガンガからクアラルンプール新国際空港(KLIA)経由で帰国した。14日間の自宅隔離が義務づけられていたが、規則を無視して外出していたという。ケダ、ペルリス、ペナン州で三次感染を含め少なくとも40人を感染させたとみられる。

新型コロナ感染者は新たに15人、うち9人がケダ州で感染

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は13日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から15人増えて9,129人になったと発表した。
新規感染者のうち4人が海外で感染した入国者。残り11人はケダ州(9人)とクアラルンプール(KL、2人)で感染した。新たに4人が退院し治癒者数は8,821人に増加した。死者数は14日連続ゼロで、125人を維持した。
■サラワク州全体、グリーンゾーンに=州防災委員会■
サラワク州防災委員会(SDMC)のダグラス・ウガー・エンバス議長(州副首相)は12日、同日付けて州全体がグリーンゾーンに指定されたと明らかにした。
ウガー議員によると州全体で14日間、新規感染者ゼロを維持したが、クチンとパダワンにおいて消滅していないクラスタが10つあり、感染者3人が今も入院中だという。
また午前6時ー午後10時間に制限されていた営業時間については、グリーンゾーンへの移行に伴い、ゾーン1(クチン、サマラハン、セリアン)で15日から規制を解除する。