【クアラルンプール】 アジア開発銀行(ADB)は、マレーシアの2020年通年の経済成長予想について6月時点でのマイナス4%からマイナス5%に下方修正した。新型コロナウイルス「Covid-19」封じ込めのために発令された行動制限令(MCO)が予想より長引いたことや、世界経済の低迷が響いた。
ADBは15日に発表した「2020年アジア経済見通し(ADO)最新版」で「消費、輸出、投資に対する新型コロナ流行の悪影響で、経済は引き続き押し下げられる。旅行や事業活動を制限することで感染拡大を抑える対策が家計支出を圧迫している」と指摘。6月中旬からの規制緩和により下半期はある程度の回復が見込まれており、6月に好調だった卸売・小売業においては既に需要の底打ちが見られるとした。
また政府が打ち出した2,950億リンギ規模の景気対策が国内需要を押し上げるが、継続的なレイオフと賃金カットで労働市場が悪化しておりこれが個人消費を弱めると指摘した。
セクター別では、製造業は国内外の両方で弱い需要による逆風に晒されているとした上で、MCOによる操業規制で生産量が低下したものの規制緩和によって回復に向かっていると指摘。サービス業は特にホスピタリティ産業と小売業が影響を受けたとし、観光業は国内旅行が認められたものの大きくダウンしたインバウンドを埋め合わせることは期待できないとした。
なお2021年については、大きな回復が見込まれるとしてプラス6.5%成長予想を据え置いた。
(ベルナマ通信、9月15日)