【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 野党連合・希望同盟(PH)を率いるアンワル・イブラヒム元副首相は23日に緊急記者会見を開き、自身に対する下院議会(定数222)議員の支持が過半数を超えたと言明。国王との会見を経た後に自身を首班とする新政権を樹立すると宣言した。
アンワル氏は「我々は国を運営するために安定した政府を必要としている」とした上で、すでに過半数の議員の支持を得ており、もはやムヒディン・ヤシン首相率いる国民同盟(PN)内閣は存在しないと言明。すでに国王と電話会談を行なって会見の許可を得ているとし、入院中の国王の病状が回復したら面会して詳細を説明し、その後国民にも詳細について発表すると述べた。
アンワル氏は自身を支持する議員の具体的数字は明らかにしなかったものの、5、6議席程度のマジョリティではなく3分の2近くの支持を得ていると述べた。また、ムヒディン氏が新政権に参加することで円滑且つ平和的な政権交代が可能になるとして、ムヒディン氏の新政権への参加を要請。「裏口内閣」ではなく過半数の支持を背景にした正統な政権となるとし、マレー人が多数派を占める政権にはなるもののすべての民族や宗教を取り込んだ政権になると述べた。
現時点でPHの議席数は91議席だが、友党のサバ遺産党(ワリサン)やマハティール・モハマド前首相率いる祖国戦士党(ペジュアン)、統一ムルト・カダザン組織(UPKO)などを加えると109議席となり過半数に迫る。「マレーシア・インサイト」は消息筋の話として、PN所属議員20数人がアンワル氏支持にくら替えする事で合意したと報じていた。
■証明されるまでPN政権を維持=ムヒディン首相■
アンワル氏の発表を受けてムヒディン首相も同日特別演説を行ない、新型コロナウイルス「Covid-19」から経済を復活させるにあたって必要なことは安定した政権と国民の支持だと強調した上で、「政権を不安定化させる政治家を拒否するよう訴えたい」と言明。アンワル氏が自身の主張を憲法に基づくプロセスに則って証明する必要があり、それまではPNが政権の座にあると述べた。