格安航空エアアジア、デジタル部門の拡大資金を調達へ

【クアラルンプール】 世界屈指の格安航空エアアジアはデジタル部門子会社、エアアジア・デジタルの業務拡大を目的に資金調達に乗り出す。

 23日の記者会見でトニー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)は、転換社債か株式の発行を予定していると明らかにした。
会見に同席したカマルディン・メラヌン会長によれば、旅行・ライフスタイルプラットフォームのデジタル化など業務の多様化で新型コロナウイルス「Covid-19」禍による収入減を緩和することができたという。
カマルディン氏は「航空市場の制約が解除され、以前どおり自由になればデジタルビジネスは拡大し、当社の中核部門になる」と語った。
エアアジアは物流部門のテレポート、機内食部門のサンタン向けにも債務証券を通じ資金を調達している。サンタンは店舗運営にも乗り出しており、年内マニラに出店する。
(マレーシアン・リザーブ、9月24日)

ホームセンターのミスターDIYがIPO開始、1部上場へ

【クアラルンプール】 ホームセンターを経営するミスターDIYグループ(M)は24日、新規株式公開(IPO)を開始した。マレーシア証券取引所1部に上場する。
売り出し株を含め9億7,449株を発行し、推定5億米ドル(21億リンギ)の資金を調達する。売り出し株(約3億株)は内外の機関投資家向け。新株式のうち一般公募分は1億2,553万株。
行動制限令(MCO)の施行で売り上げは急減したが、解除後は急回復しており、アドリアン・オン最高経営責任者(CEO)は声明で「店舗網を拡大する。資本市場から資金を得ることで成長戦略に弾みがつく」と語った。
同社はミスターDIYブランドの店舗を国内で640店、ブルネイで4店経営している。ほかに、おもちゃのミスター・トイと、食品・飲料・家庭雑貨を2リンギか5リンギの均一価格で売るミスター・ダラーをチェーン展開している。
CIMB、メイバンク、RHB、クレディ・スイス、JPモルガン、UBSなど内外の投資銀行が幹事を務める。
(エッジ、ベルナマ通信、9月24日)

低中所得層向け生活支援第二弾、財政赤字拡大への懸念も

【クアラルンプール】 ムヒディン・ヤシン首相は23日、新型コロナウイルス「Covid-19」禍の影響を受けた低・中所得者向け支援策の第二弾「Kita Prihatin(私たちの関心事)」(総額100億リンギ)を発表したが、アナリストらは経済成長を押し上げる効果を認める一方、財政赤字拡大を懸念している。
CGS・CIMB証券は、予算赤字は対国内総生産(GDP)比で0.7%増加するとの見通しを表明した。
ケナガ・インベストメント・バンクは財政赤字予想を対GDP比6.8%から7.5%へ修正。政府債務についてはGDP比62.6%を予想している。債務の法定上限は60%。ケナガは今年のGDP予想(5.9%の減少)を維持したが、金融緩和、財政措置を根拠に、下半期の回復に期待を寄せている。
Amバンクは貸し付け動向から経済が回復しているとの見方を示した。7月の貸付指数は前年同月比7.7%の上昇で、上昇が加速しており、行動制限令(MCO)の緩和に伴い、経済回復に弾みがついているとした。
中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は翌日物政策金利を1.75%まで下げた際、金融緩和の打ち止めを示唆したが、政情の混乱で施策の実行が遅れた場合、BNMは金融政策を見直す可能性があるという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月25日、ベルナマ通信、9月24日)

UMNOから総選挙前倒し論、アンワル氏政権奪取宣言受け

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 野党連合・希望同盟(PH)を率いるアンワル・イブラヒム元副首相が下院議会で過半数の支持を得たと宣言した件で、大量の議員がPHにくら替えしたとされる統一マレー国民組織(UMNO)内で、総選挙前倒し論が強まっている。

 ネット上ではムヒディン・ヤシン首相に対する不満から、アンワル氏支持を表明しているとされる19人のUMNO所属議員の名前が流出している。アハマド・ザヒド・ハミディ総裁も「多数の議員がくら替えしたとの情報を受けている」とくら替えを容認する発言を行なっており、汎マレーシア・イスラム党(PAS)との提携は望んでいるが、ムヒディン首相率いる国民連盟(PN)の一部にはならないと言明している。
アハマド・マスラン書記長は、与党政府が130人以上の議員の支持を固めて強力な権限を持つことが重要だとした上で、現在の与野党の議席数が接近する状況を是正するためにも解散・総選挙を実施すべきとの考えを示した。長老であるナズリ・アジズ元総裁補も「民意を知るためには総選挙がベスト」と述べた。
なおアンワル氏は過半数の支持を得ている旨を説明するための謁見許可をアブドラ国王よりすでに得ていると述べているが、肝心の国王が入院中。ロイター通信は、王宮側の話として国王が医師団から経過観察のために7日間の入院を進言されているためアンワル氏の謁見は当分実現しないだろうとの見方を伝えている。法律学者によると正式な首相任命権は国王にのみあり、単に過半数の支持を得たからといって組閣できないという。