コーズウェイで歩行者用通路建設、ジョホール州が計画

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ジョホール州政府は、同州ジョホールバルとシンガポールと結んでいるコーズウェイ(連絡道)に屋根やエアコン、動く歩道付きの歩行者用通路の建設を計画している。現在は歩行者は車道の脇を通行しており、危険性が指摘されていた。

同州公共事業交通インフラ委員会のモハマド・ソリハン・バドリ議長が明らかにしたところによると、今年初めに連邦政府に歩行者用通路の建設を提案しており、現在連邦政府が検討に入っている。全長はマレーシア領内の350メートルで、当初の計画における予算は1,500万リンギだったが、エアコンや動く歩道をつけることで予算が倍の3,000万リンギに拡大した。

シンガポール側も連絡道の同国領内における同様な歩行者用通路の建設について関心を示しているという。

キャッシュレス決済、2030年までに完全導入=調査

【クアラルンプール】 英スタンダードチャータードの調査結果によると、マレーシアの消費者はキャッシュレス決済が2030年までに完全に導入されると考えていことが分かった。
同調査は▽香港▽インド▽インドネシア▽ケニア▽中国▽マレーシア▽パキスタン▽シンガポール▽台湾▽アラブ首長国連邦▽英国▽米国ーーの12市場における1万2,000人の成人を対象にしたもの。
12市場すべての回答者は、今後さらにオンラインショッピングを利用すると回答。マレーシア人の73%は、新型コロナウイルス「Covid-19」流行によってオンラインショッピングの利用に積極的になっていると答えた。
マレーシア人は、新型コロナ流行前は70%が「対面での買い物を好む」と答え、「オンラインショッピングを好む」との回答者数(30%)を上回ってたが、現在は51%が「対面での買い物や現金支払いよりもオンラインを利用することを好む」と回答した。オンライン決済は食料品や旅行やデジタル機器まで幅広い購入で利用しているという。
新型コロナ流行下における支出については、世界的なロックダウンの緩和に伴い57%が「7月の支出が増加した」と報告した一方で82%が「支出に慎重になった」と答えた。68%が「支出を追跡している」と述べ、80%以上が「予算管理ツールや、カードの指定額を超えた場合に利用を停止するツールを使用している、または関心を持っている」と答えた。新型コロナにより支出が減ったカテゴリーについては、旅行・休暇(65%)が最も多く、これに衣服(62%)と経験・体験(33%)が続いた。
多くのマレーシア人は▽地元で買い物をする(64%)▽継続的に買い物をする(54%)▽小規模商店で買い物する(52%)ーー傾向であること分かった。特に若い世代(18ー44歳)に当てはまることから、同傾向は継続される可能性が高いという。
スタンダードチャータード・マレーシアのアブラル・ア・アンワル社長兼最高経営責任者(CEO)は、新型コロナ流行によって買い物から投資に至る様々な面でデジタル化が促進されたと言明。ATM(現金自動預払機)の利用率についても、2年前のレベルの半分にまで低下したと明らかにした。また人々が自身の支出に慎重になっているとし、支払いをデジタル化することで支出を追跡することに関心を寄せているとの見解を示した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月15日)

日本食プロモ第2弾、ジェトロが17—30日に実施

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール(KL)事務所は17日、食品配送サービスのグラブ・フードと提携した日本食プロモーションの第2弾を同日より30日まで実施すると発表した。
新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大によって影響を受けた在マレーシア日本食レストランの支援、日本産食材の輸出および普及を目指すもので、参加店は全て「海外における日本産食材サポーター店」の認定店で、日本産食材が使用されていることが条件。
グラブ・フードのトップページに特設サイトを設置、参加店舗を紹介する。毎日600枚のデリバリー無料クーポンを先着順で配布する。また利用者に対し、毎日先着順に4人に日本茶を提供する。
8月31日まで行なわれた第1回の開催期間では、募集数の100店を上回る104店舗が参加。都市部に立地する店舗に比べ、住宅地を多く有する郊外に立地する店舗の利用率が高かった。品目別では全体的に丼物、寿司、とんかつ、ラーメン等の注文が多かった。またプロモ実施直前の2週間とプロモ期間中の2週間を比較すると、参加店舗における注文数は平均で約3割増加した。
ジェトロは日本茶の配布といったプロモが大きく寄与したと考えられるとした上で、プロモにより各店舗の認知度が高まっている状況を踏まえると、プロモ終了後においても各店舗の売上が継続的に増加することが期待されるとしている。

新規感染急増なら再びMCO発令も=ムヒディン首相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムヒディン・ヤシン首相は15日に国民に向けたテレビ演説を行い、新型コロナウイルス「Covid-19」が再び増加傾向にあることを踏まえ「急増する場合には再び行動制限令(MCO)を発令する可能性がある」と述べた。
ムヒディン首相は、MCOを再発令することは国民生活と国の経済にマイナスの影響を与えると指摘。再発令をしないで済むよう、国民に感染予防の徹底を呼び掛けた。
またムヒディン首相は解除への期待が大きい国境封鎖措置について、政府としては国境再開を急ぐことは考えていないと言明。反対に不法移民の入国取り締まりを中心に、国境管理をより厳格化すると述べた。4月3日から9月15日までに外国人入国者1,017人から陽性が判明した。
さらにムヒディン首相はサバ州で感染ケースが増えていることに触れ、選挙戦に入ったサバ州議会選挙を通じての感染拡大に対する懸念を表明。改めて標準的運用手順(SOP)の徹底を呼び掛けた。

新型コロナ感染者が新たに21人、累計1万52人に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は17日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から21人増えて1万52人になったと発表した。

新規感染者のうち16人が国内感染者で、ケダ州(7人)、サバ州(5人)、ペナン州(2人)、セランゴール州(1人)、サラワク州(1人)で確認された。残り5人は中国、インド、パキスタン、ニュージーランドで感染した帰国者だった。新たに15人が退院し治癒者数は9,250人に増加した。死者数はゼロで128人を維持した。

国内の累計感染者数は16日、1万31人に達し5桁に上った。9,000人を超えたのは8月3日。

保健省のノール・ヒシャム事務次官によると、サバ州クナクで新たなクラスター「プラウ・クラスター」が発生。同じ家族内で9人の感染が確認された。一人目の感染者は68歳のマレーシア人女性(9,940人目の感染者)。女性は自宅で意識不明になりクナク病院へ輸送、その後、心臓発作、脳卒中、肝疾患の診察を受けるためタワウ病院に搬送されそこで新型コロナに感染していたことが分かった。集中治療室(ICU)で治療を受けており、人工呼吸器が必要な常態だという。

同州で拡大するの「ベンテンLDクラスター(ラハダトゥ警察署が関連)」については、16日時点で感染者数が424人に上った。うち186人はマレーシア人で、残り238人がフィリピン人とインドネシア人。

感染が拡大しているサバ州についてノール事務次官は、1人の感染者が平均何人に感染させるかを示す実効再生産数(RT)が州内で1.70に達したと警告。標準運用手順(SOP)を厳守するよう改めて国民に呼び掛けた。RTは1未満であれば感染収束の可能性が高く、2を超える場合は感染数が倍増する可能性を示す。

新型コロナ、マレーシアはうまく対応できている=調査

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 英国の調査会社ユーガブが実施した新型コロナウイルス「Covid-19」に関する調査によると、感染検査数や感染の症状を訴える人が少なくマレーシアは新型コロナにうまく対応できていることがわかった。
検査を7日以内に受けたとの回答は、マレーシアで9%となり東南アジア諸国連合(ASEAN)6カ国内で2番目に低かったことがわかった。最も検査件数が多かったのはタイで25%となった。それにインドネシア、ベトナムが続いた。マレーシアより回答率が低かったのはフィリピンとシンガポールだった。
感染の兆候があったかとの質問では、マレーシア人の91%が「なかった」と回答し、シンガポールに次いで回答率が高かった。また感染しないように外出をしないようにしたとの回答は32%となり、フィリピンに次いで域内で回答率が2番目に高いことがわかった。
同調査は、ASEAN6カ国の18歳以上を対象に6,073人を対象に8月17日ー23日にかけて行なったもの。インペリアル・カレッジ・ロンドンと共同で実施した。

KL市が住宅開発条件見直しへ、10日の大規模洪水受け

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 10日にクアラルンプール(KL)市内で起きた大規模洪水を受けて、KL市役所(DBKL)は住宅開発に関する条件見直しを検討する。
ノル・ヒシャム市長は、洪水防止用の溜池の拡大を計画しているとした上で、新たな住宅開発においては開発地域に溜池を併設することを義務づけると強調。また住民に対しては排水溝にゴミを捨てないよう求めた。洪水の原因についてアヌアル・ムサ連邦直轄地相は、増水した川の水を他の河川や溜池に迂回させるための排水溝が詰まったことが原因だと指摘していた。
KL市内の洪水は午後1時ごろに始まった集中豪雨により発生。スンガイ・クランが氾濫したため▽レブ・アンパン▽カンポン・バル▽セタパク▽ジャラン・ガーニー▽セマラック——の5カ所で浸水し、一部の地域では3メートルまで達した。
午後2時過ぎにはゴンバック川の水を迂回させるゴンバック分水路、ケロー分水路、カンポン・ベレンバン溜池が稼動し、午後4時40分になってようやくSMARTトンネルがカンポン・ベレンバン溜池からタマンデサ溜池への排水を開始した。
10日午後は、ゴンバック・シンパン・ティガでは平均200ミリ、ゴンバック周辺およびKLでも100ミリを超える集中豪雨となり、ゴンバック川やクラン川、ブヌス川は危険水域を超える水位に達していた。

中国企業がマレーシア人1400人分の個人データを収集か

【クアラルンプール】 豪メディアが中国のデータ処理会社、深セン振華数拠信息技術が世界各国の240万人分の個人データを収集して工作活動に使っており、その中にマレーシア人1,400人が含まれていると報じた。これを受けイスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は、調査に乗り出す考えを示した。
豪ABC放送などによると、振華数拠が集めていたデータの対象には安倍晋三首相を含む各国の政治家や外交官が含まれており、生年月日、住所、婚姻状況、写真、政治的属性、ソーシャルネットのアカウントなどが含まれていたという。振華数拠は否定しているが、主な顧客である中国人民解放軍や中国共産党と密接な関係にあるとされる。
サブリ上級相は「マレーシアには2010年個人データ保護法があり、個人データは保護されるべき」とした上で、「行動をとる前にまず報道内容の真偽をはっきりさせる必要がある」と述べた。
(ベルナマ通信、9月14日)

マクロ指標、最悪期を脱する兆候

コロナ禍で大打撃を受け、4−6月期の実質GDP成長率(経済成長率)は前年同期比マイナス17.1%となり、アジア通貨危機の1998年10−12月期のマイナス11.2%よりも悪い状況を経験しました。ただ、最近のマクロ経済指標をみていると底打ちして上向きとなる要素がみられるようになりました。
まず、失業率をみると今年5月は5.3%と1989年に次ぐ高い数値となりましたが、6月は4.9%、7月は4.7%と回復する傾向を示しています。
鉱工業生産指数も7月は116.2で前年同月比+1.2%となりました。前年同月比でプラスとなったのは2月以来の5カ月ぶりとなります。特に、鉱工業生産指数の計算で最も比重の高い製造業は、6月と7月は連続してプラスの伸びを示しています。
さらに、流通業売上高は4月の前年同月比マイナス36.6%を底として、5月からは前月比ではプラスに転じて、7月は前年同月比マイナス3.5%まで回復してきました。今後、2〜3カ月でプラスに転じる可能性も十分にあるでしょう。
こうした指標を受けて、マレーシア中銀は9月10日の金融政策決定会合で5会合ぶりに金利を据え置くことを決定しました。金融緩和による景気の浮揚を念頭に入れた連続利下げが一服した格好であり、中銀は経済は最悪期を脱したという認識を持っていることが推測されます。
アジア開発銀行は今年のマレーシアの経済成長率を前年比マイナス5.0%と予想しており、ムヒディン首相は活動制限を年内まで延長し、国境開放も急がないと述べています。決して良い状況とは状況とは言えませんが、マクロ指標をみていると上向きとなりつつあることが読み取れることも確かです。

※本連載の内容は著者の所属組織の見解を代表するものではなく、個人的な見解に基づくものです。

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今年のマレーシア経済成長予想を下方修正=アジア開銀

【クアラルンプール】 アジア開発銀行(ADB)は、マレーシアの2020年通年の経済成長予想について6月時点でのマイナス4%からマイナス5%に下方修正した。新型コロナウイルス「Covid-19」封じ込めのために発令された行動制限令(MCO)が予想より長引いたことや、世界経済の低迷が響いた。

 ADBは15日に発表した「2020年アジア経済見通し(ADO)最新版」で「消費、輸出、投資に対する新型コロナ流行の悪影響で、経済は引き続き押し下げられる。旅行や事業活動を制限することで感染拡大を抑える対策が家計支出を圧迫している」と指摘。6月中旬からの規制緩和により下半期はある程度の回復が見込まれており、6月に好調だった卸売・小売業においては既に需要の底打ちが見られるとした。
また政府が打ち出した2,950億リンギ規模の景気対策が国内需要を押し上げるが、継続的なレイオフと賃金カットで労働市場が悪化しておりこれが個人消費を弱めると指摘した。
セクター別では、製造業は国内外の両方で弱い需要による逆風に晒されているとした上で、MCOによる操業規制で生産量が低下したものの規制緩和によって回復に向かっていると指摘。サービス業は特にホスピタリティ産業と小売業が影響を受けたとし、観光業は国内旅行が認められたものの大きくダウンしたインバウンドを埋め合わせることは期待できないとした。
なお2021年については、大きな回復が見込まれるとしてプラス6.5%成長予想を据え置いた。
(ベルナマ通信、9月15日)