マレーシア航空、11月以降の借入金返済が厳しいと報告

【クアラルンプール】 マレーシア航空(MAS)の持ち株会社であるマレーシア・アビエーション・グループ(MAG)は、「政府系ファンドのカザナ・ナショナルから追加の資金調達ができない場合、11月以降の借入金返済義務を果たすことができない可能性がある」と貸し手、債権者、主要サプライヤーに報告した。情報筋の話として「ロイター」が報じた。
「ロイター」が入手した通知書によると、MASの一月あたりの平均キャッシュバーン8,400万米ドルに対し、8月31日時点の流動資産は8,800万米ドルで、カザナから受け取れる追加資金は1億3,900万米ドルだという。12月以降の追加出資には「リストラ条件についてすべての利害関係者と合意する」ことが条件とされており、MASは英国の裁判手続きを通じてリストラを実施し、貸し手と割引について交渉する予定だ。情報筋によるとMASは貸し手に75%の大幅な割引を求めているが、金融機関は現在の業況を踏まえると実行不可能だと見ている。MASの貸し手は、アイルランドの航空機リース企業であるエアキャップやアボロン、英スタンダードチャータードのリース部門など。
「ロイター」の取材に応じたカザナ・ナショナルは、MASのリストラ計画を支持しているとした上で、計画が失敗または年末までにリストラを実施しなかった場合、マレーシアへの国際接続を確保するためすべての資金を代替会社に転用するなどと言ったオプションを検討する必要があると述べた。代替会社や11月以降の追加資金の提供についてはコメントを控えた。
MASとその姉妹会社およびMAGは、2019年に導入した長期ビジネスプラン(LTBP)が奏功し、同年の総収益が前年から7%増加。有効座席キロ(ASK)とASKあたりの売り上げ(RASK)はそれぞれ5%と3%アップした。MASの顧客満足度指数は過去4年間で最高の78%、ネットプロモータースコア(NPS、顧客ロイヤルティを数値化する指標)はプラス14にそれぞれ上昇した。2016年のNPSはマイナス22だった。同グループは2020年も勢いを維持すると見ていたが、新型コロナウイルス「Covid-19」の大流行により再び経営が悪化。MAGは、経営陣とパイロットの大幅な給与削減と無給休暇を導入し、支払いの延期や契約の再交渉などあらゆる対策を講じてきたが、これらの結果が得られない場合、より抜本的な見直しを講じる必要があるとしている。
(ロイター、エッジ、10月2日)

日本企業、E&Eから新しい投資分野に多様化=岡大使

【クアラルンプール】 在マレーシア日本大使館の岡浩大使は、日本企業は過去数十年にわたり電気・電子(E&E)事業に集中してきたが、マレーシアを投資先として信頼を再確認しており、新しい投資分野に多様化していると明らかにした。
岡大使は、日本を代表する商社である三井物産がIHHヘルスケアに追加出資したこと、医療機器製造会社がマレーシアに初の海外工場を設立したことなどを例にあげて、日本企業にとり医療機器製造は新たな投資分野の一つであると言明。その他にも健康やデジタル技術、ハラル(イスラムの戒律に則った)食品事業に投資する企業が増えていると述べた。また航空機産業への投資についてもマレーシア政府と協力しており、投資を通じてビジネス協力を追求していると言明。新型コロナの流行下においても日本企業にとり、マレーシアの投資先としての魅力には影響は出ていたいと述べた。
岡大使によると、日本企業は1970年代にマレーシアに進出を開始し、80年代に東方政策が発表されたことで進出企業が増加。東レや日立、ソニー、パナソニックなどの企業がマレーシアで事業を開始した。現在マレーシアで事業を行う日本企業はおよそ1,500社となっており、マレーシアの工業化に貢献してきた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響が世界中で見られたが、マレーシアで事業を行う日系製造メーカーはおよそ34万人の従業員の雇用を維持したという。
(ベルナマ通信、10月4日)

総選挙前倒しなら再出馬の可能性も=マハティール氏

【クアラルンプール】 マハティール・モハマド前首相は、次期総選挙が前倒しされて2021年に実施された場合、再び出馬する可能性を示唆した。マハティール氏は先ごろ、実施の際には98歳になることを理由に次期総選挙に出馬しない意向を示していた。
シンガポール「ストレーツ・タイムズ」のインタビューに応じたマハティール氏は、先の自身の不出馬発言に対して支持者から不満の声が上がっていたとした上で「彼らは私がまだ戦う気でいると言わせたいのだ。彼らは私が半年後も健康状態を保てると思っているらしい。だから彼らは少なくとも私に戦うのを止めたと言わないで欲しいのだ」と述べた。
マハティール氏はムヒディン ヤシン首相について、かつて共通の敵だと目していたナジブ・ラザク元首相が率いる旧政権の戦略を利用して自身に反対する者を弱体化させたため和解できないと言明。「ムヒディン氏にとっては原理原則より政治の方が重要なので、恐らくナジブ氏と手を組むことになるだろう」と述べた。
希望同盟(PH)を率いるアンワル・イブラヒム元副首相が下院での過半数掌握を主張していることについては、「私が支持しなければ私の支持者もアンワル氏を支持しないので、アンワル氏は過半数を掌握できないだろう」と言明。ムヒディン氏もアンワル氏も政権の安定運営に足る十分な支持を下院で獲得できるとは思わないので、早期の総選挙実施論には賛成できないと述べた。
(ストレーツ・タイムズ、フリー・マレーシア・トゥデー、10月5日)

再度の全国的ロックダウンは行なわず=サブリ上級相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 新型コロナウイルス「Covid-19」感染の第2波が起きていることを受け、イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は3日、国民生活への配慮から事実上のロックダウンである行動制限令(MCO)を再び全国的に発令することはないと言明した。

今後は感染拡大している地域のみに限定したピンポイントでのMCO(強化行動制限令=TEMCO)を実施し、経済・国民生活への影響を最小にしながら抑え込みを図っていく方針。

サブリ上級相は感染者数が増えているサバ州やケダ州は刑務所などのクラスターによるもので、多くの州はひと桁台にとどまっていると指摘。全国的に拡大しているわけではないため、MCOは地域限定で実施するとし、州や地区を跨いだ移動の制限を全国的に行なう考えはないと述べた。同相はセランゴール州を例に挙げ、仮にシャアラムで感染が拡大した場合にはセランゴール州全体ではなくシャアラム地区のみをロックダウンすることになるとした。

国家安全委員会(NSC)は4日、ケダ州アロースター刑務所を6日付けで新たにTEMCO地域に指定すると発表した。指定期間は14日間。サバ州では3日からすでに4地区がTEMCO地域に指定されており、全州規模での標準的運用手順(SOP)強化を発表。事業者には営業時間の短縮を求めている。また7日からは新たに▽コタキナバル▽ペナンパン▽プタタン——の3地区が条件付きMCO(CMCO)に指定される。

一方、感染者数ではサバ州より少ないセランゴール州だが「基本再生産数(R0)」ではサバ州を上回る1.99(2日時点)となっており、州政府は3日付けで飲食店の営業時間を午後11時までとすると発表している。

新規感染者数が過去最多の432人、ケダ州では241人新規感染者数が過去最多の432人、ケダ州では241人

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は5日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から432人増えて1万2,813人になったと発表した。

新規感染者のうち429人が国内感染者。最も感染者数が多かったのはケダ州で241人、これにサバ州(130人)とセランゴール州(34人)が続いた。残り3人は海外で感染した帰国者だった。新たに57人が退院し治癒者数は1万340人に増加した。死者数はゼロで137人を維持した。

保健省のノール・ヒシャム事務次官は2日、すべての大規模なイベント・集会の開催延期を推奨すると主張。国内で感染者数が急増しており、集団行動を避けるべきだと説明した。止むを得ず集会や会議を開催する場合は、すべての関係者が標準運用手順(SOP)を遵守しているかを主催者が確認する必要があるとし、復興のための行動制限令(RMCO)の発令期間において国民は、国家安全委員会(NSC)が設けたSOPに従わなければならないとした。

ノール事務次官によると、セランゴール州、ケダ州、サバ州で複数のクラスターが確認された。セランゴール州では3日に「ジェロク・クラスター」が発生。第一感染者は27歳のマレーシア人男性で、同感染者に接触した3人の感染も確認された。同州で4日に発生した「エンブン・クラスター」では、41歳のマレーシア人男性が関連しており、他にマレーシア人4人も感染した。両クラスターの感染者は現在、スンガイブロー病院に入院している。

ケダ州では3日に2つのクラスターが発生。「バハ・ルマス・クラスター」はサバ州への旅行歴がある35歳男性が関連しており、接触した3人の感染も確認された。「バハ・ローズ・クラスター」でもサバ州への旅行者(48歳男性)が発生源となっており、他に7人の感染が確認された。

サバ州の「カウシン・クラスター」は4日にタワウで発生した。これまでにマレーシア人5人と外国人2人が感染。第一感染者は29歳のマレーシア人男性だった。