新型コロナの感染者増加、ホテルや旅行業者に不安広がる

【ペタリンジャヤ】 新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大による打撃から国内経済は回復の兆候を見せていたが、新規感染者数が過去最高を更新しており、ホテルや旅行、小売業界の間には再び不安が広がっている。
マレーシア・ホテル協会(MAH)のヤップ・リップセン最高責任者(CEO)は、ホテルでは全国的にキャンセルが入っており、今後2、3週間で稼働率は10ー15%低下すると予想。ホテル業界の売り上げには6,000万ー1億リンギの損失が出るとの見解を示した。
マレーシア廉価ホテル協会(MYBHA)のスリ・ガネシュ・ミチェル副会長も、廉価ホテルにもキャンセルが入っており、予約件数は50%減少すると予想。現在の稼働率は25ー30%となっているとした上で、再びの新型コロナ流行を乗り越え、従業員が長期的に仕事を続けられることを最優先すると述べた。
また旅行業界からは、マレーシア旅行代理店協会(Matta)のタン・コックリアン会長が、まだ影響については把握していないと言明。しかし旅行産業は現在、国内旅行者に完全に依存しているとし、旅行業界を回復させるために、政府はクラスターを見つけたら規制を強化して感染拡大を阻止すべきと述べた。
小売業界からは、マレーシア小売業協会(MRA)のスポークスマンが、ショッピングモールで感染が確認されたことで、買い物客数は減少しているが、売り上げにはまだ影響は出ていないと言明。食料品購入への影響は少ないが、非必需品の売り上げは大幅に減少するとの予想を示した。
(ザ・サン、10月7日)

政治家・政党関係者10人が陽性、サバ州選挙応援で感染

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 9月26日に投開票が行なわれたサバ州議会選挙の応援に行った政治家・政党関係者のうち、少なくとも10人で新型コロナウイルス「Covid-19」感染が確認されていたことが分かった。
これまでに感染が確認されたのは、すでにメディアで大きく報じられたズルキフリ・モハマド首相府相のほか、▽シャハリル・スフィアン統一マレー国民組織(UMNO)広報部長▽スフィアン・アブドル・カリム氏(UMNO所属の州議選候補)▽アハマド・マスジザル副環境相▽アミルディン・ユソフ州議会議員(マラッカ州)▽リム・イーウェイ州議会議員(セランゴール州)▽シャティリ・マンソル州議会議員(同)▽ノル・ハヤティ州議会議員(ジョホール州)▽アズマン・ナスルディン州議会議員(ケダ州)▽マイザトゥル・アカム・アラウィ氏(ノライニ・アハマド高等教育相の政策秘書)——。
9月24日にサバ州を訪問したズルキフリ氏は感染が5日になって確認され、前々日の会議に同氏と同席したムヒディン・ヤシン首相やイスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)ら複数の閣僚が隔離状態に置かれる騒ぎとなっている。ズルキフリ氏はサバ州から戻った後に複数のイベントに出席しており、感染拡大の懸念をもたらしたことを謝罪した。
ムヒディン首相もサバ州議会選挙が半島部での感染拡大の原因の一つになっていることを認めており、同州は12日から14日間、他州からの往来が禁止された。

エアアジアXが再建計画、再編&90%の減資を実施

【クアラルンプール】 新型コロナウイルス「Covid-19」で経営難に陥っている長距離格安航空エアアジアXが6日、債務及び企業再編計画を発表した。新たに副会長に昇格したリム・キエンオン氏の下で清算を回避し来年初めの運航再開を目指す。
635億リンギの無担保債務については、債権者に債権放棄を求めるなどして2億リンギまで圧縮。5年内に返済する。90%の減資を行ない、資本金を15億3,000万リンギから1億5,000万リンギとする。10株を1株に併合し、発行済み株式を10分の1の4億1,481万株に縮小する。
ネットワーク合理化や機材の見直し、オーバーホール費用の最適化などのスリム化を図った後、2021年の第1四半期に2機の航空機による運航を一部路線で再開し、2021年末までにすべての路線を段階的に再開する方針。
6月末時点での流動負債は33.8億リンギで、資産総額(13.9億リンギ)を19.9億リンギも超過している。すでに運航停止、人員削減、賃金カットを実施している。
4—6月期で売り上げは前年同期比91.0%マイナスの9,144万リンギに落ち込み、純損失は3億524万リンギに上った。上半期(1—6月)の赤字額は8億5,494万リンギに達している。
エアアジアXは、「新たな事業計画を実施するために、サプライヤー、債権者、金融業者からの大幅な譲歩が必要」と強調した。
(ザ・スター、10月7日、エッジ、マレー・メイル、10月6日、エアアジアX発表資料)

新型コロナ感染者が新たに489人、サバ州では282人

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は7日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から489人増えて1万3,993人になったと発表した。

  新規感染者のうち487人が国内感染者。▽サバ州(282人)▽ケダ州(153人)▽セランゴール州(20人)▽ペナン州(7人)▽ジョホール州(6人)▽クアラルンプール(KL、4人)▽ペラ州(4人)▽トレンガヌ州(4人)▽サラワク州(3人)▽プトラジャヤ(2人)▽ネグリ・センビラン州(1人)▽クランタン州(1人)ーーでそれぞれ確認された。残り2人は海外で感染した帰国者だった。新たに74人が退院し治癒者数は1万501人に増加した。死者数はゼロで141人を維持した。

  保健省のノール・ヒシャム事務次官によると、ペラ州とサバ州で新たなクラスターが発生した。ペラ州タイピンで確認された「バトゥ・クラスター」は、仮収容所の従業員とその家族を対象としたスクリーニング検査で発生。検査を受けた860人のうち7人が陽性だった。

  サバ州サンダカンの「ラマイラマイ・クラスター」はバスの運転手が関連しており、接触者166人のうち20人が感染していた。

マレーシアで新型コロナウイルス陽性者が急増

10月5日、マレーシアの新型コロナウイルスの陽性者数は432人となり、過去最高を更新しました。7月下旬以降、最大でも20〜30人だった新規陽性者は、9月に入って増加に転じ、10月に入ると過去最高をたてつづけに更新しています。

マレーシアで陽性者数が急増している要因のひとつがサバ州での感染拡大です。大規模なクラスターが最初に発生したのは東部のラハ・ダトゥで、陽性者にはフィリピンやインドネシアからの違法労働者が多く含まれていました。また、サバ州への旅行者を起点とする感染が全ての州で発生していることが確認されています。

これまでマレーシア政府は新型コロナウイルスの感染拡大を効果的に抑制してきましたが、周辺国との人流が多いマレーシアで新型コロナウイルスをコントロールすることは大変難しくなっています。直近の数字では、インドネシアでは1日の新規陽性者数が4,000人を超えており、フィリピンでも2,000人を超えています。

アジアではマレーシア以外にも、最近まで感染者数が非常に少なかったミャンマーやネパールで新規陽性者数が急増しており、1日の新規陽性者数が7万人を超えるインドとの人流が影響している可能性があります。

10月4日、ノル・ヒシャム保健局長はツイッターで「最前線にいる全ての仲間へ。大きな戦いが我々を待ち受けている。我が国の命運は我々にかかっており、これまでの不眠不休の努力と慢性的な疲労はあるけども、涙を拭いて顔を上げ、前を向いて、再び感染者数を押さえ込もう」と呼びかけました。

全世界が準備不足だった2〜3月の状況に比べ、現在は検査体制も整っているため、陽性者数を直接比較することはできません。しかし、世界中で新規感染者数が再び増加に転じる国が増えてきており、予断を許さない状況です。

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条件付き行動制限、クランやサンダカンで9日より

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は7日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者が増加しているセランゴール州クランなど4カ所について、10月9日より条件付き行動制限令(CMCO)を発令すると発表した。

CMCOが発令されるのは、感染者数が40人を超えてレッドゾーンに指定されたクランとサバ州のサンダカン、パパル、トゥアラン——の計4地区。期間は14日間で、国家安全委員会(NSC)が決定した。他の地域からの往来は、必需品配送目的で、且つ警察の許可を持っていない限り禁止される。

雑貨店やスーパーマーケット、飲食店、医療機関、ガソリンスタンドなどの必需サービスのみは営業を許されるが、営業時間は午前6時から午後6時までに制限される。また飲食店はテイクアウトのみとなる。スポーツ活動、社会活動、レクリエーション活動は禁止され、夜市や教育機関、保育所、宗教施設は閉鎖される。