ロヒンギャへのヘイトが増加、コロナ流行が原因で

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ミャンマーから逃げてきたロヒンギャ難民に対するヘイト書き込みやフェイクニュースが、今年に入ってマレーシアで「フェイスブック」上で増加傾向にある。新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大が影響しているとみられている。

ロイター通信によると、「アンチ・ロヒンギャ・クラブ」や「フォーリナーズ・マー・マレーシアズ・イメージ」のページは人権団体の指摘を受けていったんは削除されたが、いまだにロヒンギャを差別するページが存在している。フェイスブックはこうした問題に取り組んでいると主張しているが、10万人近いメンバーのいるあるグループではいまだ「ロヒンギャ全員の死を望む」といった書き込みが残っているという。

マレーシアでは元々、同じムスリムとしてロヒンギャに対する同情心があり、これまでに10万人以上の難民を受け入れてきた。しかし今年4月に「ロヒンギャがコロナを拡散させた」と非難されてから風向きが変わってきたという。国内初のクラスターが発生したセランゴール州スリ・ペタリンのイスラム宣教師の大規模集会にはロヒンギャが2千人あまり出席したとされ、これが感染拡大をもたらしたとされた。

コロナ下の政治的抑圧、「マレーシアは難民扱いに問題」

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 国際人権団体、フリーダムハウスはこのほど、新型コロナウイルス「Covid-19」感染抑制政策における各国の自由度に関する「ロックダウン下の民主主義」と題する特別リポートを発表。マレーシアについては難民の扱いで問題があったと指摘した。
フリーダムハウスのリポートは、調査会社GQRとの共同で7月29日から8月15日にかけて192カ国を対象に行なった調査に基づくもので、マレーシアについては、ミャンマーからの難民であるロヒンギャとの名指しは避けたものの「特定のコロナ感染拡大抑制政策が、迫害から逃れてきた難民が対象となった」と指摘。 「マレーシア政府は感染検査を受けた難民に対しては何ら特別の措置をとらないと約束していたにもかかわらず、後になって多数の難民を拘束し国外追放するために拘留した」と批判した。
コロナ管制下にある報道の自由については、マレーシアを全体の62%を占める39カ国の「部分的に自由」カテゴリーに分類した。日本や米国、英国など21カ国は「自由」カテゴリーとなった。マレーシアでは行動制限令(MCO)中の不法移民拘束のドキュメンタリーを放送した中東系「アルジャジーラ」のジャーナリスト2人を捜査するなど報道制限が行なわれた。

プロトン工場でクラスター発生、「X50」発売には影響なし

【クアラルンプール】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスの本社があるセランゴール州シャアラムの組立工場で新型コロナウイルス「Covid-19」のクラスターが発生。従業員50人の感染が確認されたが、プロトンは年内に予定している新型車「X50」の発売及び生産には影響は出ないとしている。最初の感染者は研究開発部門のスタッフで、残り49人はエンジニアリング部門のスタッフだった。
プロトンは声明を発表し、「当初は発表会の開催を予定していたが、状況にそぐわないと判断し大幅に規模を縮小してバーチャルで行なうことを決定した」と言明。「X50」については「X70」と同じくペラ州タンジョン・マリム工場で組み立てるとし、「エンジニアリング部のスタッフを隔離する必要があったが、生産量に影響はないと考えている」と回答した。
「X50」はBセグメントのスポーツ車(SUV)で、中国・吉利汽車の「Binyue(繽越)」(海外での名称はクールレイ)をベースとしたモデル。9月15日の予約受付開始からわずか2週間で予約数は2万台に達した。
(マレー・メイル、ソヤチンチャウ、10月20日)

首都圏でのCMCO実施の経済的影響は(1)

マレーシアの首都圏では新型コロナウイルス感染拡大への対応として、10月14日から条件付き活動制限令(CMCO)が再び実施されています。今回のCMCOでは多くの経済活動が引き続き実施可能となる一方、地区(district)をまたぐ移動が原則禁止されたり、教育機関や娯楽施設などが閉鎖されたりしています。

人の移動と経済活動の間には明確な関係があります。図1はGoogleのデータに基づく職場への移動(赤)と製造業生産指数(青)の増減を重ねたもの、図2は小売店・レジャー施設への移動(赤)と卸売・小売業販売高(青)の増減を重ねたものです。どちらのグラフも、人の移動と経済活動の間に明確な関係があること示しています。

職場への移動と製造業生産指数の増減は5月までは連動していますが、6月からは製造業生産指数がプラスに転じる一方で、職場への移動はコロナ前の15-20%減にとどまっています(図1)。これには、リモートワークやビデオ会議の活用が関係していると考えられます

小売店・レジャー施設への移動と卸売・小売業販売高の増減は基本的に連動していることが分かります(図2)。サービス業のほうが、製造業よりも人の移動との相関が高いといえます。

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CMCO地域での管理職の出勤、全体の10%まで容認

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アズミン・アリ上級相(兼通産相)は21日、条件付き行動制限令(CMCO)に指定された首都圏などの管理職及び責任者を対象とした22日付けの強制在宅勤務について、必須業務に限定して全管理職の最大10%まで条件付きで出勤を認めると発表した。

強制在宅勤務の対象となっているのは、CMCOが発令されているセランゴール州、クアラルンプール(KL)、プトラジャヤ、ラブアン——の4地域。必要な業務とみなして出勤が認められるのは会計、財務、総務、法務、プランニング、ICTに携わる管理職・責任者だけで、週3日のみ午前10時から午後2時までの1日最長4時間となっている。
通産省に申請する必要はないが、出勤が認められた社員向けに雇用主が同意書を発行する必要がある。対象地区の総労働人口は約310万人で、うち約25%に当たる77万6,135人が管理職員として原則的に在宅勤務を義務づけられる。
管理職を対象とする在宅勤務を義務づける措置は、新型コロナウイルス「Covid-19」感染が急拡大していることを受けて、20日にイスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)が明らかにしていた。
通勤を認める条件として雇用主が発行した同意書の持参のほか、レッドゾーンの住民に対しては感染スワブ検査の受診が求められているが、通産省の消息筋によると、スワブ検査結果に数日かかることから当面は同意書があれば出勤も認める方針だという。
なお社会保険機構(Socso)は、22日よりSocsoの認定ヘルスケアサービス施設限定でレッドゾーンの住民向けに無料で感染スワブ検査を実施すると明らかにした。

新型コロナ感染者は新たに732人、サバ州では535人感染

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は21日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から732人(うち8人が海外で感染した帰国者)増えて、2万2,957人になったと発表した。
州別の感染者数は▽サバ州(535人)▽セランゴール州(116人)▽クアラルンプール(KL、26人)▽ペナン島(12人)▽ラブアン(9人)▽ネグリ・センビラン州(9人)▽ペラ州(7人)▽ケダ州(7人)▽プトラジャヤ(6人)▽マラッカ州(3人)▽クランタン州(1人)▽パハン州(1人)ーーとなった。新たに580人が退院し治癒者数は1万4,931人に増加した。死者数は6人増えて199人になった。
保健省は同日、セランゴール州の▽スンガイブロー(感染者数は233人)▽クラン(同134人)▽ペタリン(同94人)▽カジャン(同92人)▽ダマンサラ(同75人)▽クアラランガットのタンジュン12(1、同55人)▽カパル(同41人)ーーの7地区をレッドゾーンに指定すると発表した。
保健省のノール・ヒシャム事務次官は20日、条件付き行動制限令(CMCO)が14日から導入されたことで基本再生算数(R0)が2.2から1.5にダウンしたとした上で、CMCOを解除するにはR0を1.0未満に引き下げる必要があると述べた。
また国内で2番目に感染者数が多いセランゴール州については、R0がCMCO発令時の1.98から1.48に低下したと言明。同州ではサバ州への旅行歴がある感染者から感染が広がっており、州内の26つのアクティブクラスターのうち8つがサバ州からの帰国者が関連していると明らかにした。