感染者の50.2%が無症状=マレーシア国立衛生研究所

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア保健省傘下の国立衛生研究所(NIH)が新型コロナウイルス「Covid-19」感染者5,889人を対象に行なった調査で、半数に当たる50.2%が感染が確認された時点で症状がまったく無かったことが分かった

NIHによると、感染者の31.6%が咳、発熱、喉の痛みといった何らかの新型コロナの症状を示したが、肺への炎症はみられなかったという。また肺の炎症を示した感染者のうち13.6%についても息苦しいなど呼吸への影響はみられなかった。肺の炎症と呼吸困難を訴えたのは感染者の3.5%だけで、重症者は1.1%に過ぎなかった。

これに先立ってNIHは、新型コロナ感染による死者のうち10人中7人は糖尿病だったと明らかにした。マレーシアでは2019年時点での糖尿病罹患率は18.3%に上っており、糖尿病人口は18歳以上だけで390万人と推定されている。糖尿病に次いでコロナ重症化リスクが高いのは高血圧と心臓疾患で、コロナ死者のうちそれぞれ64.9%、23.4%が罹患していた。

世界的にいわれているように高齢者のリスクが若年層に比べて高く、マレーシアでは60歳以上が死者の65%を占めた。また男性の方がリスクが高く、死者の72%を男性が占めた。

ハラル食品宅配サービス「オデジー」、11月末に運用開始

【クアラルンプール】 マレーシア初となるハラル(イスラムの戒律に則った)飲料(F&B)の食事宅配サービス「オデジー(Odejee)」が、11月末までにジョホール州ジョホールバルおよびその周辺地域(パシルグダン、セナイ、クライなど)で運用を開始する。
オデジーのイスマイル・アルワシ・カン会長によると、ジョホールバルとその周辺地域を担当する宅配ドライバー数は約500人。12月までに州全体にサービスを拡大し、2021年第1四半期までにクランバレーおよびネグリ・センビラン州やマラッカ州など各州で展開する予定だ。段階的にサービスを開発し、オデジー・マカナン(食品)、オデジー・ペンハンター(配達)、オデジー・マートやオデジー・サービスといった様々な宅配サービスを提供する。利益の10%は、ジョホール州民ワカフファンドに寄付される。
オデジーについてイスマイル会長は、これまでに約600社のベンダーが同サービスへの登録に関心を示していると言明。他社の食事宅配サービスと競合するわけではなく、イスラム教徒が求めるハラルF&Bへの需要を満たすことを目的としていると強調した上で、イスラム教徒だけでなくすべての消費者を対象にしているとした。新型コロナウイルス「Covid-19」の影響により、食事宅配サービスの需要はジョホール州内で増加しているという。
オデジーのオフィス立ち上げ式に臨席したジョホール州イスラム宗教委員会(MAIJ)のアドバイザーを務めるノー・ガドゥット氏は、顧客に提供される食品がハラルであることを保証するという非常に良いサービスであり、すべての当事者、特にイスラム教徒はオデジーを支援すべきだと述べた。
(ベルナマ通信、10月27日)

「予算案成立を最優先に」アブドラ国王が改めて呼びかけ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アブドラ国王は28日、新型コロナウイルス「Covid-19」で疲弊した国民生活の支援及び経済再建のためには来年度予算案成立が最優先だとして、すべての国会議員に可決に向けて協力するよう改めて呼び掛けた。

王宮側の発表によると、国王は新型コロナの影響を受けた国内経済と国民の福祉の状況について懸念しており、感染対策の最前線にある政府職員や医療関係者にとって近く下院議会に上程される来年度予算案が重要になると考え、予算案を遅滞なく通過させることが必要だと考えているという。

ムヒディン•ヤシン内閣に対しては与党内からも不満が高まっており、11月2日に開幕する国会運営が危ぶまれる状況。そのため国会審議なしに予算執行など重要事項を実施することができるよう先ごろアブドラ国王に「非常事態宣言」発出を提言したが、国王は各政党や国民の協力があれば非常事態宣言なしで新型コロナ対策を進めることは可能だとして却下していた。

■サバ州クダットでEMCO発令■

イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は28日、サバ州クダット地区の3つのエリアを対象に10月30日付けで強化行動制限令(EMCO)を発令すると発表した。期間は11月12日まで。

またサブリ上級相は、ラブアンを対象に発令していた条件付き行動制限令(CMCO)11月13日まで2週間延長すると発表した。

ロックダウン、都市部で10万—20万人が貧困に陥る恐れ

【クアラルンプール】 首都圏やサバ州その他で新型コロナウイルス「Covid-19」感染の再拡大が起きていることから条件付き行動制限令(CMCO)や強化行動制限令(EMCO)が発令されており、正規の会社登録を行なっていないインフォーマルセクター(非公式経済)に携わる労働者が最も打撃を受けるとみられている。
マラヤ大学経済学部のニアズ・アサドゥラー教授は、ロックダウンやMCOにより都市部で10万人から20万人が貧困に陥る恐れがあるとし、その半分がインフォーマルセクターが占めていると指摘。社会保険機構(Socso)などの支援対象になっていないだけでなく、預貯金や資産もほとんど持たない状態だとし、最新のデータは不明だが大多数が世帯収入が貧困ラインの2,208リンギを下回っているとの見方を示した。ニアズ教授によると、首都圏では5人に1人がインフォーマルセクターに携わっており、重要な労働力となっているという。
ビナリー大学のスロチャナ・ナイル副学長(経済学)は、インフォーマルセクターが政府の公式統計の盲点となっており、経済対策の恩恵が受けられないでいると指摘。今年第1四半期に実施された労働力調査ではマレーシアの総労働力の17.4%に当たる約266万人が自営業者であることが判明したとし、社会保障の対象になっていないことは問題だとした。
(フリー・マレーシア・トゥデー、10月28日)