【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 野党・希望同盟(PH)を率いるアンワル・イブラヒム元副首相が下院議会(定数222)で過半数を超える支持を獲得したと宣言した件で、アブドラ国王は数日中に各党トップから意見聴取した上で今後の対応を決める考えだ。
13日にアブドラ国王と会見したアンワル氏は同日午後に記者会見を開き、自身が下院議会で過半数の支持を得たことを示す証拠文書をアブドラ国王に提出したと言明。アブドラ国王は憲法を尊重することを確約した上で、数日内に主要各党のトップを呼んで証拠文書の内容について確認する方針を示したと明らかにした。
アンワル氏は、ムヒディン首相が過半数の支持を失ったとして即時辞任を求めたが、自身の支持を表明した過半数を超える議員の名簿の内容については公表しなかった。支持議員の名簿については、王宮側はアブドラ国王への提示もなかったとしている。
同日午後にはさっそく、統一マレー国民組織(UMNO)の長老、テンク・ラザレイ・ハムザ元財務相が国王に呼ばれて会見した。報道によると、民主行動党(DAP)のリム・グアンエン書記長は14日、国民信任党(Amanah)のモハマド・サブ党首は15日にそれぞれ国王と会見する予定。与党・国民同盟(PN)を率いるムヒディン・ヤシン首相(統一プリブミ党=PPBM党首)、汎マレーシア・イスラム党(PAS)のハディ・アワン党首とも会見が予定されている。
アンワル氏は9月23日に緊急記者会見を開き、自身に対する下院議会で120人を越える支持を得たと発表し、国王との会見を経た後に自身を首班とする新政権を樹立すると宣言した。PHの現有議席は91議席。過半数を掌握するためにはあと21議席が必要となるが、アンワル氏は具体的な内訳については明らかにしておらず様々な憶測を呼んでいた。一方、PN政権側は113議席を掌握していると主張している。
14日より首都圏でCMCO、経済活動維持を保証
【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は13日、首都圏クランバレー(セランゴール州、クアラルンプール=KL、プトラジャヤ)を対象に14日深夜零時付けで発令される条件付き行動制限令(CMCO)に関する詳細を発表。すべての経済活動はこれまで通り行なうことができると保証した。実施期間は27日までの14日間。
州や地区を跨いでの移動は緊急時を除いて原則禁止。CMCO外に出ることも原則禁止となる。ただ州や地区を跨いで通勤する場合には雇用主が発行した雇用証明書を提示すれば通行可能となる。CMCO指定外からの通勤も同様で、例えばネグリ・センビラン州セレンバンからプトラジャヤへの通勤も証明書があれば可能となる。またCMCO指定外の州から別の指定外の州へ移動する際にCMCO指定域を通過する場合、最寄りの警察署で許可を取る必要がある。
飲食店を含む事業所の営業時間については、これまで通り午前6時から午後10時まで認める。ただ飲食店で飲食する場合には1テーブルに2人までとし、デリバリーやテイクアウトを奨励する。給油所の営業は午前6時から午後10時まで。路線バスや軽便鉄道(LRT)、タクシー、配車サービスもこれまで通り認める。タクシーや配車サービスは乗客2名までとする。ただし労働者の送迎バスは通常通りの運行がみとめられる。
公益市場は午前6時から午後2時まで、卸売市場は午前4時から午後2時までとする。政府行事や公式・非公式行事、結婚披露宴や集会などの民間のイベントの開催は認めない。礼拝所での礼拝は最大6人まで認める。
首都圏でのCMCO実施についてムヒディン・ヤシン首相は同日、メディアと行なったバーチャル記者会見の中で、人の移動を制限することで感染拡大を防止しつつも経済活動は全面的に認めるという正しい方向性だとして、国家安全委員会(NSC)の決定を評価した。
新型コロナ感染者が新たに660人、サバ州では443人感染
【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は13日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から660人(うち2人が海外で感染した帰国者)増えて、1万6,880人になったと発表した。
州別の感染者数は▽サバ州(443人)▽セランゴール州(76人)▽ケダ州(60人)▽ペナン島(23人)▽ラブアン(19人)▽ペラ州(16人)▽ジョホール州(10人)▽クアラルンプール(KL、10人)▽ネグリ・センビラン州(2人)▽パハン州(1人)ーーとなった。新たに350人が退院し治癒者数は1万1,372人に増加した。死者数は4人増えて163人になった。
保健省のノール・ヒシャム事務次官によると12日時点で新たなクラスターが6つ検出された。そのうちの▽セランゴール州ぺタリンの「トロピカナ・ゴルフクラブ&カントリー・リゾート」が関連する「トロピカナ・クラスター」▽プトラジャヤの「カスツーリ・クラスター」▽KLのチェラスの「ペルダナ・クラスター」ーーの3つのクラスターは、サバ州からの入州者が関連する。感染者数は12日時点でそれぞれ23人、18人、9人となった。セランゴール州フル・ランガットとKLのチェラスが関連する「バイドゥリ・クラスター」は感染者数が18人。サバ州ケニンガウの「コロン・クラスター」とマラッカ州マラッカ・セントラルおよびジョホール州ジョホールバルが関連する「リンティング・クラスター」はそれぞれ8人に上った。
14日より条件付き行動制限令(CMCO)の対象エリアとなるセランゴール州、KL、プトラジャヤについてノール事務次官は、各地の感染者数が100人未満に止まっているが他の地域に拡散させるおそれがあるとし、感染拡大を防ぐための鍵になると言明。イエローゾーンからレッドゾーンへ引き上げる前にCMCOを実施する必要があると述べた。
新型コロナのメンタルヘルスへの影響、マレーシアは少ない
【クアラルンプール】 国際マーケティング会社のイプソス(Ipsos)の調査によると、マレーシア人の44%は新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大に伴い外出できなかったことがメンタルヘルスに影響を与えたと答えた。東南アジア6カ国の平均回答率である54%を下回り、最も回答率が低かった。
マレーシアでは、37%が「時々落ち込む」、7%が「いつも落ち込んでいる」と答えた。その一方で47%は「メンタルヘルスへの影響はなかった」、9%は「以前より幸せになった」と回答した。
また新型コロナが発生してから、マレーシア人回答者の56%が「身体活動量が減少した」、うち9%が「全く身体活動を行なっていない」と回答し、マレーシアは最も身体活動を行なっていないことがわかった。東南アジア6カ国における「身体活動量が減少した」との平均回答率は50%だった。
同調査は、9月18ー22日にかけて新型コロナの影響に関して、世界で18歳以上の1万9,516人を対象に実施したもので、各国から500人が参加した。
(ザ・スター、10月9日、マレー・メイル、10月8日)
新配車サービスのGOJO、2カ月間で登録者数4.5万人に
【クアラルンプール】 8月8日からマレーシアでのサービスを開始した配車サービスのゴジョ(GOJO)は、立上げから2カ月間でユーザー登録数が4万5,000人、ドライバー登録者数は1万2,000人に達し、1日あたりの配車予約数が約1,000件に上ると明らかにした。
プラディープ・クマル取締役兼最高執行責任者(COO)によると、地元ドライバーを支援するためドライバーのスケジュール管理システム「マーケットプレイス(MarketPlace)」や12カ月分の利益分配イニシアチブ「ファンダーズ・ファンド」を導入し、新型コロナウイルス「Covid-19」感染症への予防策に関しては、顔認識技術によるドライバーのマスク着用有無の検出機能をアプリに追加した。
プラディープ氏はGOJOについて、新型コロナによる厳しい経済状況下において着実な成長を続けていると言明。新型コロナの発生によりすべての業界においてデジタル変革が促進されており、同社のオープンプラットフォームを通して地元業者のデジタル変革をサポートしていくと述べた。ドライバー登録者数については、向こう数カ月以内に既存登録数から約3倍に増加するとの見込みを示した。
GOJOは世界300都市において200社のモビリティプロバイダーとアフィリエイトシステムを構築し、400万人以上のユーザーにサービスを提供しているという。
(ベルナマ通信、10月10日)
エアアジアが10%の人員を削減、新型コロナ影響で
【クアラルンプール】 新型コロナウイルス「Covid-19」大流行の打撃を受けている格安航空会社大手のエアアジアと長距離格安部門のエアアジアXは、10月上旬に従業員2万4,000人のうち10%の人員を削減していたことを明らかにした。
地上波放送「TV3」局のニュース番組「ブリティン・ウタマ」のインタビューに応じたエアアジアグループのトニー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)は、近い将来回復が見込まれない航空セクターの業況を踏まえ解雇せざるを得ない状況だと説明した上で、解雇は従業員のせいではないと強調し、できるだけ多くの従業員を再雇用したいとの考えを示した。
またフェルナンデスCEOは、テンク・ザフルル財務相が先ごろ、同じく新型コロナにより経営危機に陥っているマレーシア航空(MAB)へ公的資金を注入する考えはないと発言したことについて言及。正しい主張だと賛同した上で一部セクターにおいて借入れに関する支援が必要だと指摘した。また、20ー25億リンギ規模の資金調達を国内の資金源へ要求し、資金調達という形で最初の支援を10月末に受ける予定だと明らかにした。
エアアジア・グループは6月初めにも250人以上の人員を削減しており、「ベルナマ通信」は9月末に数百人規模の解雇が再び実施される予定だと報じていた。
(ベルナマ通信、10月9日)
新型コロナ感染者は新たに563人、291人がサバ州で感染
【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は12日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から563人(うち1人が海外で感染した帰国者)増えて、1万6,220人になったと発表した。
州別の感染者数は▽サバ州(291人)▽ペナン島(141人)▽セランゴール州(69人)▽クアラルンプール(KL、28人)▽ネグリ・センビラン州(12人)▽ケダ州(10人)▽ペラ州(4人)▽ジョホール州(2人)▽ラブアン(2人)▽プトラジャヤ(2)▽マラッカ州(1人)▽サラワク州(1人)ーーとなった。新たに109人が退院し治癒者数は1万1,022人に増加した。死者数は2人増えて159人になった。
保健省のノール・ヒシャム事務次官は11日、同日時点の実効再生産数(RT)が1.3(1人の感染者から1.3人に感染する可能性を示す)となり、感染第3波発生時に記録した2.3から大幅に減少したと言明。31日までにRTを0.3に減少させ、感染曲線の平坦化を図ると述べた。RT1.3を維持した場合、31日まで新規感染者数はゆっくりと増加するとの見方を示した。
また新型コロナの検査件数については、1,000人あたりの実施数が51.96件で陽性率が0.8%に止まるとし、韓国(検査件数は同46.41件、陽性率が1%)とほぼ同一であると述べた。検査件数が最も多い国は豪州とニュージーランドで、検査件数はそれぞれ同309.61件と同205.7件、陽性率はそれぞれ0.3%と0.2%だという。
ノール事務次官によると11日時点で新たなクラスターが5つ発生した。クラスター内の感染者数はそれぞれ▽「カシ・クラスター」が34人(サバ州)▽「スラト・クラスター」が25人(同)▽「スンガイ・ウェイ・クラスター」が18人(セランゴール州)▽「カザナ・クラスター」が14人(サバ州)▽「バハ・バンドル・クラスター」が3人(ラブアン)ーーとなった。これで国内のアクティブクラスターは59つに上った。
首都圏に条件付き行動制限令を発令、14日より2週間
【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は12日、セランゴール州、クアラルンプール(KL)、プトラジャヤを14日午前零時より条件付き行動制限令(CMCO)対象エリアに指定すると発表した。期間は今月27日まで。
期間中は地区を跨がる移動は原則禁止される。経済活動については通常通り認められる。このため地区を跨いで通勤する被雇用者は雇用主より発行された証明書を提示する必要がある。また必需品の購入のために外出する場合は、2人までとする。
首都圏クランバレーとプトラジャヤのすべての学校、幼稚園、公園、宗教施設は、14日付けで閉鎖される。スポーツ活動、社会・文化活動、結婚披露宴は禁止。国家安全委員会(NSC)は近く、詳細な標準的運用手順(SOP)を発表する。
新型コロナウイルス「Covid-19」感染者増加でセランゴール州クラン地区南部がCMCOに指定されたが、隣接するペタリン地区、またそれに隣接するKLでも感染者が増加しており、住民の間で懸念の声が高まっていた。
テナントの店員から二人の感染者を出したペタリンジャヤの「ワン・ウタマ」ショッピングセンターは11日より1週間閉鎖となり、従業員やテナントの店員向けにスクリーニングを実施した。14、15日には地区保健局がスクリーニングを実施する予定だ。
従業員宿舎でクラスターが起きている「トロピカナ・ゴルフクラブ&カントリー・リゾート」は、12日付けで2週間の強化行動制限令(EMCO)エリアに指定された。感染者数は12日までに23人に上っている。
11日はペタリンジャヤと隣接するKLでも「バングサ・ショッピング・センター」でテナント従業員1人から感染者が出た。「ミッドバレー・メガモール」と「ザ・ガーデンズ」でも同日、テナント従業員から感染者が出たため、3店舗が閉鎖された。
リンギ含むアジア通貨は値上がり、UOB予想
【クアラルンプール】 米ドルの全般的な弱さと中国経済の回復を背景に、リンギを含めアジア通貨はこの先6ー12カ月間、値上がりするとシンガポール系大華銀行(UOB)のジュリア・ゴー上級エコノミストは予想している。
新型インフルエンザ禍が原因の先行き不透明、米中の緊張も相場要因だ。来年6月までにリンギは1米ドルに対し4.05リンギまで上昇するという。
外国人投資家の有価証券投資もリンギ上昇予想の根拠だ。9月の外国人投資家による株式投資は売り越し、債券は買い越しで、合算では買い越しとなり、5カ月連続の買い越しとなった。
第3四半期は、債券が106億リンギの買い越し、株式が60億リンギの売り越しで、有価証券全体では46億リンギの買い越しだった。第2四半期は24億リンギの買い越し。
しかし2月と3月が大幅な売り越しだったため、1ー9月では175億リンギの売り越しだ。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月9日)
エアアジア、買物&食事で使えるスーパーアプリを発表
【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 格安航空会社大手のエアアジアは8日、フライト・宿泊・買い物・食事など複数のサービスを1つに集めた、東南アジア諸国連合(ASEAN)におけるスーパーアプリを立ち上げたと発表。スーパーアプリを通して▽旅行▽電子商取引(Eコマース、EC)▽金融技術(フィンテック)ーーの3カテゴリーの下、15種類以上の製品とサービスを提供する。
またスーパーアプリの立ち上げに合わせてエアアジアは、10月12ー18日間においてスーパーセールを開催すると明らかにした。航空券&ホテルのセット予約プラットフォーム「スナップ(SNAP)」やエアアジアショップで最大90%割引、国内線の50%割引や国際線の10%割引などが適用される。
ウェブサイト「エアアジア・ドットコム」のカレン・チャン最高責任者(CEO)は、スーパーアプリではエアアジアのポイント制度「BIGポイント」を使ってシームレスなサービスを利用できると言明。新型コロナウイルス「Covid-19」の大流行下における顧客のニーズに柔軟性に対応するため同社では、乗り放題パス「エアアジア・アンリミテッド・パス」や「SNAP」などを導入してきたと述べた。