エアアジアグループ、7—9月期で赤字が8億リンギに拡大

【クアラルンプール】 格安航空会社エアアジア・グループは、7—9月期(同社第3四半期)で赤字が8億5,178万リンギに拡大したと発表した。
同期の売り上げは4億4,291万リンギにとどまり、前年同期比85.6%の大幅マイナスとなった。固定費を前年比50%削減したものの、新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大に伴う国境封鎖による旅行需要が低迷したことで売り上げが激減した。
赤字のうち6億6,300万リンギは使用権に関わる減価償却とリース利息関連で、2億8,100万リンギ相当の燃料ヘッジ損失や4億4,400万リンギ相当の売掛金の減損も重なったが、3億9,400万リンギ相当の資産売却益で一部相殺された。
ボー・リンガム社長は、「国境封鎖とロックダウンが近く解除されることを期待しているが、規制が続く場合でも国内線部門でのみ2021年まで事業を維持する準備ができている」と言明。固定費を半減しスリム化に成功したことで四半期および月次ベースでの比較で営業指標が大幅に改善していると強調した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月24日、エアアジア発表資料)

エアアジア、日本国内線への2度目の挑戦も失敗に

エアアジアが日本で2014年に合弁会社として設立し、2017年から日本の国内線を運航していたエアアジア・ジャパンが11月17日に、東京地裁に破産手続き開始を申し立てました。エアアジア本体がマレーシアで2001年に設立され、アジアのLCC(格安航空)市場を席巻してきましたが、日本市場は鬼門中の鬼門だったと言えそうです。
エアアジアは、2011年にも日本国内線への進出を試み、全日本空輸と提携していったんは就航しましたが、2013年には提携解消してバニラ・エアと社名変更、2019年にはピーチ・アビエーションに吸収されました。このエアアジア・ジャパンは、今回、破産手続きを開始したエアアジア・ジャパンとは別の法人格となります。
2度目のチャレンジは航空業界ではなく、楽天、ノエビアホールディングス、アルペンといった異業種の企業からの出資を受ける形で始まりました。筆者が2016年にトニー・フェルナンデス会長にインタビューをした際に、日本の大手航空会社とエアアジアはカルチャーが違いすぎると話していました。中部国際空港をハブとして、2017年に新千歳行きを皮切りに、仙台、福岡へと就航し、国際線として台北にも飛ばしていました。
一方、日本国内ではLCCによる競争が激化していた時期でしたが、エアアジア・ジャパンは2014年の会社設立から今までに、社長が5人目となり、短期間で頻繁に交代していた印象が拭えず、一貫した経営方針で日本の国内線市場に根付くのは難しかったのではないかとも推察されます。
トニー・フェルナンデスは、マレーシアでは起業家として高い評価を受け、若者たちのロールモデルとしても人気がありますが、日本国内市場への2度目の挑戦は、コロナ禍という不測の事態がとどめを刺すという形で残念ながら失敗に終わりました。

※本連載の内容は著者の所属組織の見解を代表するものではなく、個人的な見解に基づくものです。

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新型コロナ新規感染者数は970人、再び3ケタ台に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は25日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数が前日から970人増加したと発表した。前日は過去最高となる2,188人となっていたが、再び3桁台に戻った。アクティブ感染者数は1万2,971人で、累計感染者数は5万9,817人となった。

州・地域別の感染者数はネグリ・センビラン州が最も多く318人となった。それに▽サバ州(293人)▽セランゴール州(115人)▽ペラ州(80人)▽クアラルンプール(KL、44人)▽ラブアン(37人)▽ジョホール州(30人)▽ケダ州(24人)▽ペナン島(14人)▽クランタン州(8人)▽パハン州(2人)▽サラワク州(2人)▽マラッカ州(1人)▽プトラジャヤ(1人)▽トレンガヌ州(1人)ーーが続いた。ペルリス州のみゼロだった。過去最多となる2,348人が退院し、累計治癒者は4万6,501人となった。死者数は4人増えて累計345人となった。

保健省のノール・ヒシャム事務次官は24日、首都圏における新規感染者数の多くが職場でのクラスターが原因となっていると述べた。最も感染者が多かったのは、「テラタイ」および「ダマンレラ」クラスターで両方とも建設現場で発生しており、KLやセランゴール州で感染者が出ていると言明。そのほかにも「チェルガス」、「ヘンティアン」、「カヤ」クラスターがあり、この5つのクラスターが職場に関連して、ネグリ・センビラン州、マラッカ州、クランタン州、ペラ州でも多くの感染者を出しているとした。一方で同日は新たなクラスターは発生しなかったと言明。現在感染者を出している167のクラスターのうち、83が職場に関連していると明らかにした。

2019年の犯罪件数は減少、汚職の逮捕者は増加=統計局

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 統計局は20日、犯罪に関する統計を発表した。2019年の人口10万人当たりの犯罪件数は256.6件で、2018年の273.8件から減少した。
犯罪率が全国平均より高かったのは、▽クアラルンプール(592.3件)▽セランゴール州(304.3件)▽ネグリ・センビラン州(295.4件)▽ペナン島(295.0件)▽マラッカ州(275.9件)▽ジョホール州(262.4件)▽ケダ州(258.3件)ーーだった。サバ州は243.5件で、最も犯罪率が低かった。
窃盗犯罪が6万6,967件で、自動車窃盗が全体の46.1%を占める3万867件だった。侵入強盗が1万6,497件、ひったくりが19件だった。暴力犯罪は1万6,489件だった。59.0%が強盗事件で9,729件を占めた。それに過失傷害が4,712件、性犯罪が1,738件、殺人が310件となった。
2019年の汚職の逮捕件数は1,101件で、2018年に比べ23.3%増加した。収賄が448件で最も多く、虚偽証言が315件、贈賄が222件、優越的地位の濫用が70件だった。

宿泊施設77カ所が閉鎖に、新型コロナの影響

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 新型コロナウイルス「Covid-19」流行が旅行業界に打撃を与えており、3月から10月にかけてホテルやモーテル、ゲストハウスなど宿泊施設77カ所が閉鎖に追い込まれている。
ナンシー・シュクリ観光芸術文化相が23日の国会質疑で明らかにしたことろによると、77カ所のうち32カ所については、裁判所からの清算命令を受けてすでに閉鎖された。また旅行代理店など57社が事業を停止したが、一方で135社に対して新たな事業免許を交付した。
「東方日報」によると、クアラルンプール(KL)市中心部にある5つ星クラスの複数のホテルが売りに出されている。ホテル名は明らかにされていないが、1軒はジャラン・アンパン近くにある26階建て928室のホテルで、売り出し価格は15億リンギだった。またジャラン・コンレイにある29階建て1,047室のホテルの売り出し価格は20億リンギだった。
19日時点で不動産情報ウェブサイト「iProperty」には1,000万リンギ以上の宿泊施設の検索結果が324件あったという。

GST再導入を検討する委員会、財務省が設置

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル財務相はメイバンク・インベストメント・バンク関係者との会見で、物品・サービス税(GST)再導入の得失を研究する委員会を設けたことを明らかにした。
テンク・ザフルル氏は、現行税制の弱点の分析、炭素税やデジタル税など新税の導入、新税を導入した場合の影響、税制優遇措置の再構築も研究する意向を示した。
テンク・ザフルル氏は、来年は危機から回復への転換の時になるとしたが、新税を導入する場合,経済回復を混乱させないためにも導入時期が重要になると述べた。
歳出面では経常支出の95%は、公務員賃金、債務返済、年金など削れない固定費で、歳出削減は限度があるため、歳入増を戦略の要とするという。
今年はゴム手袋メーカーの売り上げが激増したため法人所得税は過去最高の28億リンギが見込めるが、手袋メーカーに過剰利益税を課すことは控える。
(ベルナマ通信、11月24日)

 

感染拡大のトップグローブ、他工場での生産を増強

【クアラルンプール】 ゴム手袋世界最大手、トップ・グローブは、セランゴール州クランにある工場28カ所が新型コロナウイルス「Covid-19」感染クラスター発生のために閉鎖されたことを受け、他の工場での生産を増強している模様だ。

トップ・グローブよりブリーフィングを受けたAMインベストメント・リサーチによると、これまでに従業員5,767人に対して感染検査が実施され、2,534人で陽性反応が確認された。陽性反応が出た従業員は現在、入院しており、陰性だった従業員は隔離されている。

閉鎖された28カ所のうち20カ所がゴム手袋工場で、生産能力の合計は年間約450億枚に上る。クランに所有するゴム手袋工場は全部で36カ所あるため残りは稼動可能な状態だが、人手不足のために稼働率は全体の10%程度に落ち込んでいる。

金銭面での損失に関してトップ・グローブは明らかにしていないが、AMインベストメント・リサーチは、工場20カ所が2週間閉鎖された場合の損失がグループ全体の2%程度にとどまるとみている。

(ザ・スター電子版、11月24日)

新型コロナの感染者数は2188人、2日連続で最多を更新

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は24日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数が前日から2,188人増加し、2日連続で過去最多を更新したと発表した。アクティブ感染者数は1万4,353人で、累計感染者数は5万8,847人となった。

州・地域別の感染者数はセランゴール州が最も多く1,623人となり、前日(1,203人)より増加した。それに▽サバ州(232人)▽ペラ州(112人)▽クアラルンプール(KL、90人)▽ネグリ・センビラン州(73人)▽ジョホール州(19人)▽ペナン州(15人)▽ケダ州(14人)▽クランタン州(6人)▽マラッカ州(2人)▽ラブアン(1人)▽サラワク州(1人)ーーが続いた。プトラジャヤ、トレンガヌ州、パハン州は、ペルリス州はゼロだった。新たに1,673人が退院し、累計治癒者は4万4,153人となった。死者数は4人増えて累計341人となった。

保健省のノール・ヒシャム事務次官は23日、レッドゾーンからのグリーンゾーンへの感染を防ぐために、RTK抗原検査の実施などの基準や行動計画の策定することを検討していると表明。サラワク州ではレッドゾーンから外に出ないための取り組みを行なっているとして、帰省を控えるように国民に求めた。一方で新たに半島部で4つのクラスターを確認したと発表した。

KLのレンバ・パンタイにおける「ビンタン」クラスターでは95人、ティティワングサとケポン、セランゴール州ペタリンにおける「インダ・マス」クラスターでは10人、ペラ州キンタとカンパルにおける「テジャ」クラスターでは41人、ジョホール州ジョホールバルにおける「コベナ」クラスターでは13人にそれぞれ陽性反応が出た。

ミタチ産業、マレーシア子会社を設立へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ミタチ産業(本社・愛知県名古屋市中区)は20日、マレーシアに子会社、ミタチ・インターナショナル(マレーシア)を設立することを決定したと明らかにした。
ミタチ産業は、マレーシアにおけるエレクトロニクス市場の顧客ニーズに対応するため、100万リンギを出資してセランゴール州のスバンジャヤに子会社を2021年2月に設立する。マレーシア子会社では、半導体・電子部品などの販売、EMSサービスを行い、マレーシアの日系企業および現地企業に向けて拡販を図る。代表には沖久和氏が就任し、子会社設立時の従業員数は3人になる予定だ。

経済はU字回復の見込み、感染者再び増加で=アズミン上級相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アズミン・アリ通産相(上級相)はブルームバーグテレビとの会見で、経済の回復見通しについてV字型を見込んでいたが、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者が増加していることから、回復まで時間がかかるU字型になるとの予想を示した。

新規感染者が4桁となる日が多く、感染拡大を食い止めるために一部に行動制限令を実施していることで、経済の回復に遅れが出る可能性があると明らかにした。

一方で総選挙については、連立政府与党としていつでも臨む用意があり、過去8カ月の政権実績から今以上の過半数を確信していると述べた。しかし現時点ではウイルス禍のため選挙は行えないという。

アズミン氏は、現政権が総選挙を経てではなく、前政権の崩壊で誕生したものである以上、国民の信託を問うため早期に解散総選挙に踏み切るべきだったと述べた。国民の信を問い、強固な政権を構築して初めて、経済再建に注力できるという。

来年度予算案の採決が26日に行われるが、政権の信が試されることになる。否決は政権に対する不信任を意味するからだ。

アズミン氏は「議員が予算案に反対する理由はない。予算はマレーシア人民、経済活動のためのものだからだ」と語った。