”マレーシア人は働かない”はウソ

本記事は、楽天トレードの最高経営責任者(CEO)三瀬和正さんへのインタビュー記事の後編です。
前編:ネット証券、ロックダウンが追い風に

なりすまし詐欺”対策、自社でも取り組み

——先ごろ御社の名前をかたった投資詐欺がありましたよね?ネット証券の人気を反映するような事件でしたが、あれはその後どうなりましたか?

三瀬:この間、証券委員会(SC)主催の産業活性化会議に参加し、他の金融業者と共に意見交換をしたのですが、他の会社も同じような事象が起きていて、業界全体で何かしないといけないということになりました。このミーティングの後にSCが発表したのですが、ワーキンググループを作って対処していくことになりました。今後こうした事例は増えていくと思いますので、自社での取り組みの必要ですが、やはり業界全体で取り組んでいかないといけない課題だと思います。

——すでに業界全体として動き出しているのですか?

三瀬:まだ動いていないのですが、弊社としてもそこに頼っているわけにはいかないので、モニタリングするサービスにお金を払って詐欺サイトを見つけるような取り組みは行なっています。こうしたことに投資して投資家守る努力をしています。

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いかに収益確保するかが最重要

——マレーシア証券市場では外国人投資家が減っている代わりに、国内のリテール投資家が増えているというリポートがありますね。

三瀬:リテール投資家の比率ですが、MCOが発令される前は20%から25%だったんですが、このポーションが一気に上がって今では40%になっています。リテール投資家の数自体が増えたことから、相対的に外国人投資家の比率が下がっているということは言えるかもしれません。

——ヘルスケア株など株価が上がるものもあれば、MCOによる景気悪化で危ない会社も増えてますよね。今はコロナという要因が一番大きいと思いますが、今後のマーケット動向の御社の事業への影響についてはどうお考えですか?

三瀬:マーケットの先行き、マーケットの動きについては弊社事業にはあまり関係ないと思っています。 株式市場が良くなろうが悪くなろうが、経営トップとして収益を確保し続けていかないといけません。そう考えていくと弊社のビジネスとして最も大切なものはボリュームゲームなので、いかに口座開設数をいかに増やすか、いかにお客様を増やしてトレードして貰えるのかを考えてビジネスをやっていくことが大切になります。もちろん首都圏で発令されているCMCOが続けば、うちのビジネスにとってプラスであることは確かです。

日本人とローカルは変わらない

——ここから三瀬さんのパーソナルの話を伺います。ジョー・バイデンさんと同じ、米国シラキュース大学卒ということですが専攻は何だったんですか?

三瀬:大学での専攻は財務・会計・経済です。証券・投資に興味があって卒業後はそちらに行きました。帰国してからある投資顧問会社に入りましたが、その会社は後に楽天グループに買収されました。様々な部門を経験し、2016年4月からマレーシアで楽天トレードの立ち上げに携わりました。1年でシステムから顧客サービスまですべて作り上げました。

——ローカルのスタッフを雇うというのはマレーシアが初めてですよね?そこで何か気づいたことはありますか?

三瀬:毎日が気づきです。最初はスタッフを怒ったりしたこともあったのですが、今は「僕も分からないことが多いから教えてくれ、僕も吸収するから。だけど僕も君たちを底上げをしたいから持っているものを伝える」という姿勢。毎日が勉強です。

——日本人にはないローカルのいいところってなんでしょう?

三瀬:日本人が持ってるものは、彼らもポテンシャルとしてもっていると思います。その持ってるポテンシャルを引き出せるかどうかは、トップにかかってるのではないかと思います。下がダメだったら全て部門長の責任、引いては僕の責任です。

——多くの日系企業が離職率の高さに悩んでいます。せっかく育てても辞めてしまうといいます。そのあたりで何か対策は考えてますか。

三瀬:部門長とかシニアマネジメントと密接にコミュニケーションを取って、常にスタッフの変化を見極めていくのが大切だと思います。お客様も大切ですがスタッフが一番大切なので、辞めると言い出す前に話を聞いてあげることが必要かと思います。 

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部下の育成、トップが見本を見せること

——もうマレーシアには長くおられるので、あと数年で帰国ですか?

三瀬:弊社はそういうリミットはありません(笑)。後継者を育てないと僕はマレーシアを出られないと思っています。そこが一番の課題ですね。

——後継者というのは日本人ですかローカルですか?

三瀬:僕は後継者はやはりローカルだと思っています。弊社のシニアマネジメントは全てマレーシア人ですが、彼らの底力を上げていきたい。シニアマネジメントを底上げしていけば、下のスタッフも付いてくると思います。よくマレーシア人は働かないという人がいますが、僕はそれはおおいに間違ってると思います。基本的に真面目なので、言ったことはちゃんとやる。きちんと上が指導してきちんとした姿を見せれば、ローカルの持っているポテンシャルは大きいと思います。ただ何をやっていいか分からないので、トップがきちんとやることを見せる。そうすればついていくと思っています。

——マレーシアで余暇は何をされているのですか?

三瀬:マレーシアでは最初、あるソフトボール・チームに入ってプレイしていたんですが、月に1回だけ試合だけやっていても面白くないので、硬式野球チーム「レイダース」に入れてもらいました。野球は楽しいですよ、ヘタクソでも(笑)。日本人駐在員の方、是非「レイダース」に入って下さい(笑)

——野球はどれくらいやっていたんですか?

三瀬:野球は小学校4年生ぐらいからずっとやってましたが、高校1年の時にやめました。その後はしばらくやっていなかったのですが、30歳の時に日本の草野球チームに入り、それ以来続いています。

—MCOのためにあまり活動できない状況ですが、今後何かやっていきたいことはあるのですか?

三瀬:個人的には来年は社会貢献とかしたいなと思っていますね。何か子供たち向けにやりたいですね。

——子供向けの野球教室もいいですね。やっぱりそのためには「マレーシア楽天スタジアム」の建設ですか(笑)マレーシアは球場がないので、是非宜しくお願いします(笑)

トレンガヌの3つ星ホテルが競売に、270万リンギで

【クアラルンプール】 新型コロナウイルス「Covid-19」により大打撃を受けているホテル業界だが、トレンガヌ州セティウの100室以上ある3つ星ホテル「ストラ・ビーチ・リゾート」が270万リンギで競売にかけられたことが分かった。
同社のウェブサイトによると、同ホテルはクアラトレンガヌから車で35分ほどの立地で、敷地は36万平方フィート、客室数はスタンダード48室、デラックス68室、スイート4室。ディグニティ・ビュー社が所有している。競売は債権者のバンク・シンパナン・ナショナルと債務者の間の合意の下で10月7日にオンラインで開催された。
マレーシア・ホテル協会(MAH)のヤップ・リップセン最高責任者(CEO)によると、最感染拡大により10月に首都圏で条件付き行動制限令(CMCO)が発令されたことで、全国のホテルの稼働率が再び平均20%まで低下し、さらに5%程度まで低下する可能性が高い。ほぼ半島全域に拡大されたCMCOが12月6日以降も継続された場合、20%のホテルが閉鎖もしくは清算に追い込まれる恐れがあるという。サラワク州だけでも100軒以上のホテルが閉鎖されたか、閉鎖手続きに入っている。
(マレーシアン・リザーブ、11月16日)

新型コロナ感染者は新たに1210人、5日連続で1千人超

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)17日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から1,210人増加し、5日連続で1千人を上回ったと発表した。アクティブ感染者数は1万2,788人で、累計感染者数は4万9,730人となった。

州・地域別の感染者数はサバ州が最も多く499人となった。それに▽セランゴール州(271人)▽クアラルンプール(KL、245人)▽ネグリ・センビラン州(67人)▽ペラ州(47人)▽ペナン島(33人)▽クランタン州(19人)▽ジョホール州(14人)▽ケダ州(8人)▽マラッカ州(2人)▽プトラジャヤ(2人)▽ラブアン(1人)▽トレンガヌ州(1人)▽サラワク州(1人)ーーとなった。パハン、ペルリス2州はゼロだった。新たに1,018人が退院し、累計治癒者は3万6,624人だった。死者数は5人増えて累計318人となった。

保健省のノール・ヒシャム事務次官は16日、条件付き行動制限令(CMCO)指定地域である首都圏で

感染者が増加していることについて、経済影響へのバランスを取る必要があるため効果が現れるまで時間がかかると説明。2週間の在宅勤務により、感染拡大を断ち切ることができるとの見解を示した。KLのダマンレラにある建設現場で発生しているクラスターは外国人労働者の間で感染が広がっていることが影響していると指摘。職場でのクラスター発生を避けるために、仕事を始める前に労働者に検査を受けさせるよう雇用主に求めた。

同日、新たに1つのクラスターをサバ州で確認した。サバ州のペナンパン、コラキナバルで発生した「マタンバイ・クラスター」で、23人の感染者が出た。

北部回廊経済圏、今年の投資誘致目標をすでに突破

るマレーシア北部回廊実行庁(NCIA)は今年に入って155億リンギの投資案件を認可し、すでに通年目標の70億リンギを120%上回ったと明らかにした。新型コロナウイルス「Covid-19」が流行し経済は停滞する傾向にあるが、インセンティブや税の優遇措置を実施したことが奏功した。
雇用創出は認可ベースですでに2万3,000人分に達しており、今年通年目標としていた5,900人分を大幅に上回った。NCIAは、NCERの今年の総生産(GDP)成長率についてはマイナス4%となると予想した上で、今年9月にムヒディン・ヤシン首相が発表した「2021ー2025年戦略的開発計画(SDP)」の効果で来年には新型コロナ流行前の水準に戻ると予想した。
NCIAは、スキルアッププログラム「ジョムケルジャ(JomKerja)@NCER」と「ジョムニアガ(JomNiaga)@NCER」を今年8月に立ち上げており、人的資本プログラムにも力を入れている。
NCERでは、ペルリス州の「チュピン・バレー工業地域(CVIA)」、ケダ州のゴム産業集積地「ケダ・ラバー・シティ(KRC)」、「シダム物流・航空・製造ハブ(SLAM)」などの開発が進められている。
NCIAのジェバシンガム・イサアチェ・ジョン最高責任者(CEO)は、NCIAでは経済に大きな影響を及ぼすプロジェクトや人的資本プログラムを推進しており、NCERが世界的な経済、技術の拠点とすることに力添えしていると述べた。

第3四半期の為替相場、リンギが2.9%値上がり

【クアラルンプール】 リンギは第3四半期、対米ドル相場で2.9%値上がりした。非居住者による有価証券投資が買い越しだったことが主因だ。
中央銀行バンク・ネガラ(BNM)のノル・シャムシア総裁は経済統計発表会見で、各国が経済活動を再開し、また米連邦準備制度理事会(FRB)が金融緩和を長期化させる姿勢を明確にしたことなどで投資家心理が改善した。このためほかの域内通貨も米ドルに対し値上がりした。
中国経済の堅調な回復や、国際通貨基金(IMF)が今年の世界経済の見通しを上方修正したことも好材料だという。
マレーシア有価証券市場では9月以降も外国人による買い越しが続いており,9月末との比較で11月12日のリンギは米ドルに対し0.6%値上がりした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月14日)

KLでの酒類販売ライセンス規定、来年10月より厳格化

【クアラルンプール】 クアラルンプール市政府(DBKL)は、アルコール飲料販売ライセンス申請条件及び販売ガイドラインを発表。来年10月1日付けで食料品店やコンビニエンスストア、中医薬局での高アルコール飲料(スピリッツ)の販売を薬用酒を除いて禁止すると明らかにした。

今月15日付けで発効した新ガイドラインによると、現行のアルコール飲料販売ライセンスの有効期限は来年9月30日までとなり、アルコール飲料を販売するすべての卸売店、バー、ラウンジ、飲食店、倉庫は来年10月以降の販売ライセンスを新たに取得する必要がある。事業所にはライセンスを表示し、入り口にQRコードを表示することが求められる。青は店内で飲めること、黄色は持ち帰りのみ可能であることを意味する。

バー、ラウンジ、飲食店では販売時間は原則午前10時から深夜零時までで、午前2時まで延長申請できる。また卸売店の販売時間は午前7時から深夜零時まで、来年9月末までの食料品店の販売時間は午前7時から午後9時までとする。プロモーション活動の現場では一時ライセンスを取得する必要がある。警察署、礼拝堂、学校、病院に面した場所でのアルコール飲料の販売は禁止となる。

このほか食料品店やコンビニエンスストア、中医薬局でビールを販売する場合、他のノンアルコール飲料と別の場所に置くことが求められる。販売時間についても午前7時から午後9時までとし、販売時間を過ぎたら施錠をする。また購入可能な年齢を18歳以上とする。

(星州日報、11月16日)

新型コロナ感染者は新たに1103人、KLで392人に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)16日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から1,103人増加し、4日連続で1千人を上回ったと発表した。アクティブ感染者数は1万2,601人で、累計感染者数は4万8,520人となった。

州・地域別の感染者数はクアラルンプール(KL)が最も多く392人となった。それに▽サバ州(288人)▽セランゴール州(151人)▽ペラ州(116人)▽ネグリ・センビラン州(90人)▽ペナン島(26人)▽ケダ州(10人)▽ラブアン(8人)▽ジョホール州(8人)▽クランタン州(7人)▽トレンガヌ州(4人)▽プトラジャヤ(1人)▽サラワク州(1人)▽マラッカ州(1人)ーーとなった。パハン、ペルリス2州はゼロだった。新たに821人が退院し、累計治癒者は3万5,606人だった。死者数は4人増えて累計313人となった。

保健省のノール・ヒシャム事務次官によると、州・地域ごとではこれまでサバ州が最も感染者数が多い状況が続いていたが、15日はKLが最多となった。KLのダマンレラにある建設現場で発生しているクラスターが原因で、セランゴール州でも感染者が出ており、感染者数は460人となった。

また同日、新たに3つのクラスターを確認した。サバ州のコタキナバルでは「プラザ・クラスター」、タワウでは「ジャラン・カラバカン・クラスター」が発生し、それぞれ11人、21人に陽性反応が出た。一方でジョホール州で発生した「ジェリ・クラスター」はコタ・ティンギ、メルシン、ムアルで26人の感染者を確認した。

トップグローブ宿舎をEMCOに指定、クラスター発生で

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は16日、セランゴール州クランにあるゴム手袋世界最大手、トップ・グローブの従業員宿舎を17日から30日まで強化行動制限令(EMCO)に指定すると発表した。

EMCOに指定されたのはメルにある宿舎で、テラタイ・クラスターから拡大したとみられる。15日には新たに53人の感染者を出し、累計感染者数は215人に達している。

トップ・グローブの工場そのものは操業を続けているが、従業員と宿舎のスクリーニングが命じられたという。EMCO指定により従業員1万3,190人と地域住民1,200が影響を受けることになる。トップ・グローブはメルーに工場20カ所を有している。

一方、サバ州カンポン・マタンバイのケパヤン刑務所、ジョホール州ケンパスの保健省訓練所(ILKKM)は16日でEMCO指定が終了する。

■KLの一部でEMCO指定の可能性も■

サブリ上級相はまた、クアラルンプール(KL)で感染が今後も拡大を続けた場合について、一部地域を限定してEMCOに指定する可能性があると明らかにした。最終決定は保健省が下すという。

またCMCO指定を受けている州に属するグリーンゾーン地区について、地区や州を跨ぐグリーンゾーン間の移動を認める方向で国家安全委員会(NSC)が検討に入ったことを明らかにした。

オンライン商取引に関する苦情が増加、「商品が届かない」など

【ペタリンジャヤ】 行動制限令(MCO)施行後、オンライン注文に関する苦情が増加したことが、国内取引消費者行政省の統計から分かった。
3月18日ー10月31日の期間中の苦情は8,263件で、前年同期より145.6%増えた。このうち97.1%に当たる8,026件を省の仲介で解決した。
苦情で最も多かったのは「注文品が届かない」「届いた品物が広告と違う」の2つ。注文品が届かないケースで詐欺が疑われる場合は法執行の対象になるという。
同省はオンライン注文に関する苦情を受け付ける手法を増やしており、電話、文書、カウンターに出向いての訴えのほか、電子メール、スマホ用メッセンジャーアプリでも苦情届け出が可能だ。
オンライン手法を導入したのは、標準的作業手順(SOP)に沿い、苦情処理センター職員と一般市民との接触を減らすため。
(フリー・マレーシア・トゥデー、11月12日)

エアアジアとアリババ、物流部門の提携で急送宅配サービス

【深セン=マレーシアBIZナビ】 格安航空大手エアアジアの物流部門テレポートは、中国アリババの物流部門、菜鳥網絡(ツァイニャオ)と提携契約を交わした。アリババが運営する中国最大の小売りオンラインショッピングモールの天猫が受けた注文品を配送する。エアアジアが発表した。
当初の中国側拠点は広東省深センで、エアアジアの輸送網を活用し貨物をサバ州コタキナバルに運ぶ。注文確定から24時間以内の配達を実現する。
テレポートのピート・ジャロンウォンサク最高経営責任者(CEO)によれば、同社は菜鳥網絡と貨物チャーター便の運航で提携したことがあり、今回の取り決めは自然な流れだという。
当初は東マレーシア(サバ、サラワク州)への配送のみ扱うが、いずれ東南アジア全域への配送にも乗り出すという。
菜鳥網絡は、国境を越えた注文品輸送が増えるなか、迅速な配達が鍵になるとみている。