【イポー=マレーシアBIZナビ】 次期州首相人事を巡って混乱していたペラ州政局だが、同州与党連合・国民同盟(PN)構成党の統一プリブミ党(PPBM)及び汎マレーシア・イスラム党(PAS)、そして同州最大党派である統一マレー国民組織(UMNO)が9日、UMNO支部長のサアラニ・モハマド氏を推すことで合意した。10日にも正式にサアラニ新州首相が就任するとみられる。
騒ぎの発端は、今月4日、アハマド・ファイザル・アズム州首相(PPBM副党首)に対する不信任案が、野党だけでなくUMNOが賛成に回ったことにより可決されたこと。UMNOは所属する国民戦線(BN)がサアラニ氏を後任に推すことで合意したと宣言し、PNの同意を迫った。しかしPPBMだけでなくPASもこれに反発。野党側も反対を強めており、与野党いずれの党派も州議会で過半数を確保できない状態となっていた。
9日になってようやくPNを構成するPPBMとPAS、BNを代表するUMNOの3党派が膠着状態を打破するために会談を行い、「BN総裁が一連の騒動を起こしたことを謝罪する」との内容を声明に盛り込むことで、PNが妥協した。政権側のPNとしても長期間の政治空白を作っているとの批判を避けたいため、妥協に応じたとみられる。一時は3党連携を基軸とするPN政権の枠組みが崩壊する可能性も指摘されていたが、とりあえずは元の鞘に納まった格好だ。
2月から3月にかけての政界再編の煽りを受け、ペラ州でも前与党・希望同盟(PH)からアハマド・ファイザル州首相を含むPPBM所属議員が離脱し、同州野党だったBNやPASと協力して過半数を掌握して新たな連立政権を樹立した。連立与党内のバランスを重視してアハマド・ファイザル氏が州首相に再選されたが、わずか5人の少数派であったことから議席数で優位に立つUMNOから不満の声が絶えなかった。