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マレーシア史における2020年は歴史的な転換点

2020年のマレーシアは本当にいろいろなことがあった年でした。おそらく、あとから歴史を振り返るとき、2020年は特別な意味を持つ、歴史的な転換点だったと言われることになるでしょう。いくつか重要なイベントはありましたが、ここでは2つだけに絞って振り返りたいと思います。
まずは、やはり、新型コロナウィルスの蔓延が挙げられるでしょう。マレーシアも経済的なダメージや死者の発生は避けられませんでしたし、まだ予断が許されない状況が続いていますが、大きな視点から見れば一方的な拡大は食い止めることができたと評価してもよいと思われます。米国や欧州、近隣でもインドネシアやフィリピンの状況と比較すると、制限がかけられながらも一定の経済活動が認められている状況です。経済が大きくスローダウンしながらも、危機的な状況にまでは陥っていない、どうにか持ちこたえられる環境だと言えます。
もう一つ大きいのはマハティール政権が瓦解し、ムヒディン政権が成立したことでしょう。そもそも、マレーシアは長らく、政権交代がそう簡単には起こらない国とみなされていました。しかし、2018年は選挙を通じて、ナジブ政権が退陣し、90歳を超えるマハティールが再登板という展開となり、世界からの注目も集めました。そこから2年ほどで、もう一度政権交代が起こった格好です。しかも、選挙なき政権交代という、マレーシア政治史上で初めての出来事となりました。
そろそろ2021年を迎えますが、新型コロナウィルスは収束していませんし、政局も与野党の攻防が続いています。視界不良のなかで2021年が幕開けする中、様々なシナリオとオプションを想定して臨むことが重要になりそうです。

※本記事の内容は著者の所属組織の見解を代表するものではなく、個人的な見解に基づくものです。

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