【クアラルンプール】 ムヒディン・ヤシン首相は13日から2週間の行動制限令(MCO)の再施行を発表したが、国民にはあきらめ感が広がり、事業者にはフラストレーションのたまる発表となったようだ。
発表に際しムヒディン氏は支援措置に触れなかった。国民、企業の蓄えも底をついており、国民生活、企業経営への影響は以前より深刻なものになる可能性がある。
国民感情を代弁するとしナジブ・ラザク元首相は、この先2週間を乗り切るための支援を政府に要請。「収入ゼロの中、数百万の国民に自宅で静かに過ごすことを求めるなら、何らかの支援措置を発表すべき」と述べた。
ソーシャルメディアでは現状を「前例のない事態」と表現することに対する反発が見られた。弁護士のリム・ウェイジエット氏は、標準的運用手順(SOP)が直ちに発表されなかったことを批判。「企業は発表を待たねばならず、憶測、混乱を招くものだ」と述べた。
(マレー・メール、1月12日)
全国に非常事態宣言、新型コロナ対策で8月1日まで
【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムヒディン・ヤシン首相は12日、新型コロナウィルス「Covid-19」感染拡大を受けてアブドラ国王が国家非常事態宣言の発出に同意したことを明らかにした。
11日にムヒディン首相から「感染を抑えるための積極的な対策」として要請を行ったもので、連邦憲法第150条(1)に基づき発出を決定した。期限は8月1日までとし、感染拡大が収まった場合には前倒しで宣言を解除する。政府は早期解除を決定するため医療専門家によるタスクフォースを立ち上げる。アブドラ国王は、国民に落ち着いて行動するよう呼びかけた。
非常事態宣言下でも外出制限はなく、経済活動や司法は通常通り行われることが保証される。一方で国会や州議会などの立法府は活動が停止され、立法・法改正・撤廃は認められない。「安全」であると確認されない限り、国・地方レベルの補欠選挙や総選挙、州議会選挙は行われない。感染者治療のために行う私立病院の施設の接収、違反者に対する罰則、マレーシア国軍への権限付与など緊急に法律が必要になった場合には国王が制定する。
MCO下でも操業可能な業種リスト、通産省が発表
【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア通産省は12日、行動制限令(MCO)が13日より発令される首都圏やペナン、マラッカ、ジョホール州で操業が認められる▽製造▽建設▽サービス▽商業・運輸▽農園・一次産業――の5つの必需セクターの詳細を明らかにした。
全リストは次の通り。
1,航空産業製造・保守
2,自動車製造およびアフターサービス
3,食品、飲料製造
4,パッケージングと印刷
5,家庭用品、セルフケア商品、洗剤
6,栄養補助食品を含む医薬品・健康食品
7,個人用保護具(PPE)および防火設備
8,医療機器の部品
9,電気・電子機器
10,石油・ガス
11,石油化学製品
12,化学製品
13,機械・ツール
14,手袋製造用の型となるセラミック
15,鉄鋼
16,テキスタイル(PPE生産含む)
17,家具
18,燃料および潤滑油
19,建設
20,金融サービス
21,地方自治体及びそのサービス
22,ICTサービスおよびグローバルビジネスサービス(GBS)を含む電気通信およびデジタルインフラ
23,eコマース
24,ホテルと宿泊施設
25,獣医サービスを含む農業、水産、畜産
26,水道・電気などの公益事業
27,専門サービス(会計士/弁護士/監査人/エンジニア/建築家を含む)、科学(R&Dを含む)、技術
28,セキュリティサービス
29,国防
30,陸上、海上、航空輸送
31,港湾、空港
32,倉庫・物流
33,飲食サービス・販売・配送
34,小売り・卸売り、流通
35,農業・養殖・畜産
36,農園・一次産業
37,監督省庁と保健省が話し合って決定したその他の業種
新型コロナの新規感染者数、過去最高の3309人
【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は12日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数が前日から3,309人増加したと発表した。アクティブ感染者数は3万390人で、累計感染者数は11万1,533人となった。
州・地域別の感染者数はセランゴール州が最も多く1,007人だった。それに▽ジョホール州(442人)▽サバ州(409人)▽クアラルンプール(KL、326人)▽ペナン島(317人)▽ペラ州(241人)▽サラワク州(146人)▽パハン州(96人)▽クランタン州(86人)▽ネグリ・センビラン州(85人)▽ケダ州(62人)▽プトラジャヤ(36人)▽マラッカ州(21人)▽トレンガヌ州(20人)▽ラブアン(15人)ーーが続いた。ペルリス州のみゼロだった。新たに1,469人が退院し、累計治癒者は11万584人となった。死者数は4人増えて、累計で559人となった。
保健省のノール・ヒシャム事務次官は11日、英国へ渡航歴のある旅行者から英国で発見された変異株「B1.1.7」が確認されたと発表した。12月28日の陽性確認後に隔離されているため国内での感染は現段階で確認されていないという。
一方でクラスターについては、新たに8つ確認したと明らかにした。
ジョホール州の工場「ジャラン・ケルリ」クラスターでは42人、KLの市場「メダム・イダマン」クラスターでは10人の陽性を確認した。サラワク州の「ジェリタ」クタスターでは8人、クランタン州の「カンポン・レノク」、「カンポン・ゲティン」クラスターではそれぞれ23人、11人に陽性反応が出た。ペラ州の「ルムト・バラト」クラスターでは11人、トレンガヌ州の「クバン・ブジュク」、「ケジャヤ」クラスターではそれぞれ10人、9人の陽性を確認。一方で新たに4つのクラスターが収束した。