移民労働者をホテルに収容、宿舎での感染拡大を抑制

【クアラルンプール】政府は、客がほとんどいないホテルに移民労働者を一時的に収容するプログラムに着手した。職場におけるクラスター発生による感染拡大を抑制するためだ。
観光芸術文化省の6日の声明としてブルームバーグが伝えたところによると、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるとともに、客が急減し経営が困難な状態にあるホテルを助けることにもなるという。
人的資源省によれば、マレーシアには正規の外国人労働者が150万人余りいるが、91%は住居の最低基準を満たさない宿舎に寝泊まりしている。こうした宿舎が感染の温床になっており、医療システムの負担が増しているという。
マレーシア・ホテル協会によれば、約1年前にウイルス禍が発生して後、100軒余りのホテルが廃業した。
(フリー・マレーシア・トゥデー、2月7日)

すべての経済活動の再開許可を、経営者連盟が政府に要請

【クアラルンプール】 マレーシア経営者連盟(MEF)はサイド・フセイン会長名の声明で、すべての経済部門の活動再開を認めるよう政府に求めた。2月18日まで延長されている行動制限令(MCO)期間に活動再開を認められなければ経営を維持できないという。
サイド・フセイン氏は、特定の産業部門にのみ活動再開を認めた政府決定は理解できるとしつつも、感染予防対策としての標準的運用手順(SOP)を厳しくしたうえで、あらゆる経済活動を直ちに容認するよう求めた。このためMEF、業界団体はすべての雇用主に対し、SOPの厳格な順守を要請するという。
小売業が業務再開を認められなかったことについてサイド・フセイン氏は「春節を祝う国民のことを考慮し、再開を政府に求める。国民も新しい服で新年を祝える」とした。
国内取引消費者行政省も全経済部門の再開が必要との意見で、国家安全保障委員会(MKN)会合で再開を許可するかの協議が持たれているという。
(ベルナマ通信、エッジ、2月6日)

新型コロナの感染者数は3100人、死者が24人

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は8日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数が前日から3,100人増加したと発表した。アクティブ感染者数は5万1,977人で、累計感染者数は24万5,552人となった。

州・地域別の感染者数はセランゴール州が最も多く1,196人だった。それに▽ジョホール州(490人)▽マラッカ州(344人)▽クアラルンプール(KL、295人)▽ペナン州(209人)▽サバ州(169人)▽ネグリ・センビラン州(104人)▽サラワク州(84人)▽ペラ州(72人)▽ケダ州(37人)▽トレンガヌ州(30人)▽クランタン州(30人)▽パハン州(28人)▽プトラジャヤ(8人)▽ペルリス州(4人)ーーが続いた。ラブアンはゼロだった。新たに2,340人が退院し、累計治癒者は19万2,679人となった。死者数は24人増えて、累計で896人となった。

保健省のノール・ヒシャム事務次官は7日、新たに7カ所のクラスターを確認したと発表した。3カ所が工場、建設現場など職場に関連するクラスターで、2カ所は葬儀や教育機関のコミュニティ、残りは宗教の集会、リスクの高い場所で起きたクラスターだった。
セランゴール州とペラ州でそれぞれ2カ所、KLとジョホール州、サラワク州でそれぞれ1カ所のクラスターが発生した。
これまでに確認されたクラスター数は895カ所。新たに7カ所のクラスターが収束し、現在継続中のクラスターは441カ所となった。

グラブがワクチン接種を奨励、政府に協力し正しい情報を拡散

【クアラルンプール】配車サービスのグラブは進出している東南アジア各国で、新型コロナウイルスのワクチン接種を促進する活動を始めると発表した。配車サービスの運転手、デリバリー要員に対する全員接種を図り、サービス利用者にもアプリ上の情報提供を通じ接種を促す。
4日の声明でグラブは「ワクチンに関する誤った情報と戦い、ワクチンへの一般市民の信頼を高めるため、グラブは各国政府、保健当局と協力し、ワクチンに関する正確な情報や公衆衛生情報をアプリ上に掲示する」とした。
グラブの全従業員および運転手、デリバリー要員が22年末までに全員接種するよう図る。またワクチンの輸送で各国政府に協力する意向だという。
(ベルナマ通信、2月5日)

医療ひっ迫で感染者増加の恐れ、専門家見解

【クアラルンプール】新型コロナウイルス感染者の入院で医療システムはひっ迫しており自宅待機者に対する監視の強化が感染抑制に重要と専門家はみている。
科学技術革新省ワクチン諮問委員会のアワン・ブルギバ委員長は、保健省地域事務所に過度の負担がかかっている可能性があるとし、大学病院、医学校、軍の医務部などに支援を要請するのが望ましいとした。
自宅待機を命じられた患者の追跡では、腕輪式機器の装着など自動化システムの活用を要請した。保健省は現在、人手による確認作業を行っている。
マラッカ・マニパル医学校のジャヤクマル教授は、政府は感染検査センターを増設すべきとの意見だ。また患者に自由な行動を許容すれば濃厚接触者が感染し、知らず感染を拡大する恐れがあるとし、自宅待機者に対する電子タグの装着を提案した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、2月5日)

ソリューション、新型コロナのワクチン供給で政府と契約

【クアラルンプール】 エンジニアリングおよびバイオ医薬品事業を行うソリューション・グループは、中国の康希諾生物股分公司(カンシノ・バイオロジクス)および軍事医学研究院傘下の生物工程研究所(BIB)が共同開発した新型コロナウイルス「Covid-19」のワクチン350万回分の供給について、マレーシア政府との間で契約を締結した。
ソリューション・グループが4日にブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に提出した声明によると、同社の完全子会社であるソリューション・バイオロジクスは1月29日に保健省との間で契約を交わした。同契約によりソリューション・バイオロジクスは、350万回分のワクチン「Ad5─nCOV」を国に供給する。供給を行うには、4月までにワクチンの製品登録および市販許可を得ることが条件となっている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ロイター、2月4日)

MCO延長は経済に大打撃、シンクタンク首脳が批判

【ペタリンジャヤ】政府が行動制限令(MCO)の18日までの延長を決めたことについて、シンクタンク「センター・フォー・マーケット・エデュケーション」のフェルリト最高経営責任者(CEO)は「延長は経済回復の腰を折る行為。まず中小企業が影響を受け、大手企業にも波及する。経済は延長に耐えられない」と厳しく批判した。
フェルリト氏は国内のCovid-19の実際の感染状況に関する情報提供が不十分だと指摘。「ほかの国の例を見れば、ロックダウンが感染抑制に効果があったかは疑問だ。また患者数に焦点を合わせるのも誤解を招く。必須産業とそうでないものの区別は無意味。すべての事業が生活に必要だ」と述べた。
昨年の財政出動など経済対策について「金が天から降ってくることはない。財政赤字のつけは次の世代に回される。追加の財政出動は不要だ。全く異なる手法が必要だ」とパンデミックへの対処では指導者の交代が必要だとした。
格付け会社マレーシア・レーティングのエコノミスト、フィルダオス・ロスリ氏は、感染拡大の抑制措置と経済の両立は無理だとし、どちらかを優先すべきと述べた。
(ザ・サン、2月5日)

新型コロナの感染者数は3391人、セランゴールで1228人

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は5日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数が前日から3,391人増加したと発表した。アクティブ感染者数は4万8,751人で、累計感染者数は23万4,874人となった。

州・地域別の感染者数はセランゴール州が最も多く1,228人だった。それに▽ジョホール州(598人)▽クアラルンプール(KL、395人)▽サバ州(196人)▽サラワク州(178人)▽ペナン州(149人)▽マラッカ州(141人)▽ネグリ・センビラン州(116人)▽ペラ州(92人)▽ケダ州(91人)▽トレンガヌ州(84人)▽クランタン州(58人)▽パハン州(51人)▽ラブアン(7人)▽プトラジャヤ(6人)▽ペルリス州ーーが続いた。新たに3,392人が退院し、累計治癒者は18万5,278人となった。死者数は19人増えて、累計で845人となった。

保健省のノール・ヒシャム事務次官は4日、新たに10カ所のクラスターを確認した。6カ所が工場、教育機関、宿舎など職場に関連するクラスターで、4カ所は集会などのコミュニティで発生したクラスターだった。
セランゴール州で3カ所(うち一つはKLでも感染者確認)のクラスターを確認。ジョホール州でも3カ所、パハン州で2カ所、ネグリ・センビラン州とサラワク州でそれぞれ1カ所のクラスターが発生した。
これまでに確認されたクラスター数は861カ所。新たに1カ所のクラスターが収束し、現在継続中のクラスターは前日(412カ所)から増え421カ所となった。

2020年の貿易黒字は1847.9億リンギ、過去最高に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)の発表(速報値)によると、2020年の貿易黒字は前年比26.9%増の1,847.9億リンギとなり過去最高となった。貿易黒字は23年連続。
新型コロナウイルス「Covid-19」の感染拡大に伴い、ロックダウンが世界各国で行われた影響を受けて、輸出高は前年比1.4%マイナスの9,809.9億リンギにとどまった。輸入高は7,961.9億リンギで、前年比6.3%減、貿易高は1兆7,771.8億リンギで、3.6%減少した。
輸出先を国・地域別で見ると、 中国がトップとなり、2ー5位はシンガポール、米国、香港、日本の順となった。日本への輸出額は616.9億リンギで前年比6.5%減少したが、6年連続で4位を維持した。原油やゴム製品、光学機器、電気・電子(E&E)製品、パーム油製品などが増加したが、液化天然ガス(LNG)が減少したことが響いた。トップだった中国向け輸出は前年比で12.5%プラスとなった。2位のシンガポールと3位の米国も3.7%、12.7%のそれぞれプラスだった。品目別ではE&Eが3,861.1億リンギでトップ。これに精油製品とパーム油製品が続いた。
輸入先も中国がトップで、これにシンガポール、米国、日本、台湾が続いた。日本は610.4億リンギで、前年から4.0%減少した。品目別では、E&Eが2,527.8億リンギでトップ。これに化学製品と精油製品が続いた。
12月の輸出高は957.4億リンギで、前年同月比で10.8%、前月比で13.1%それぞれ増加となった。輸入高は750.4億リンギで、前年同月比で1.6%、前月比で11.0%のいずれも増加となった。貿易額全体は1,707.8億リンギで、前年同月比で6.5%、前月比で12.2%それぞれ増加。貿易収支は207.0億リンギの黒字だった。

民主主義指数、マレーシアは39位にランクアップ=EIU

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 英エコノミスト誌の調査部門、エコノミック・インテリジェンス・ユニット(EIU)が発表した最新版の「民主主義指数2020」で、マレーシアは前年から4ランクアップし、167カ国・地域中で39位となった。
同調査は▽選挙プロセスと多元主義▽政府の機能▽政治参加▽政治文化▽市民の自由度——5分野について評価、指数化したもの。マレーシアは総合スコアが前年の7.16点(10点満点)から7.19点にアップ。「選挙プロセスと多元主義」は9.58点と評価が高く「政府の機能」も7.86点と高評価だった。一方で「政治参加」は6.67点、「政治文化」は6.25点にとどまり、「市民の自由度」は5.59点と低い評価だった。
マレーシアは▽完全な民主主義▽欠陥ある民主主義▽混在した体制▽権威主義体制——の4つの分類のうち上から2番目の「欠陥ある民主主義」に分類されたが、東南アジア諸国連合(ASEAN)ではトップ評価となり、フィリピン(55位)、インドネシア(64位)、タイ(73位)、シンガポール(74位)、ミャンマー(135位)、カンボジア(130位)を上回った。
世界トップはノルウェーで、2位以下はアイスランド、スウェーデン、ニュージーランド、と前年と順位は変わらなかった。最下位は北朝鮮だった。日本は21位となり、トップ23カ国・地域が分類された「完全な民主主義」に入った。