異教徒による「アラー」の使用禁止通達の無効化判決、政府が控訴

【クアラルンプール】高等裁判所が、非イスラム教が神を「アラー」と表現するのを禁止した政府通達は無効との判断を示したことについて、政府は控訴裁判所に控訴した
高裁のノル・ビー裁判官は、マレー語を話すキリスト教徒、特にサバ州、サラワク州に住むキリスト教徒は数世代にわたり神を「アラー」と表現してきたとした。
高裁に提訴したのはサラワク州メラナウ族の女性、ジル・アイアランド氏で、「アラー」との表現が含まれたCDを所持していたところ、セパンの格安航空ターミナルで内務省職員に没収された。
その後、1986年の閣議決定を根拠に、アラー、カーバなど4つのイスラム教に重要な言葉の異教徒による使用を禁じた通達が出されたが、通達の署名者が大臣ではなく内務省職員であったことから、ノル裁判官は通達は無効との判断を示した。
マレーシアではこれまでにも、異教徒による「アラー」の使用をめぐり裁判が起こされた。
(エッジ、3月15日)

製薬大手ファーマニアガ、ワクチン製造でシノバックと正式合意

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】製薬大手のファーマニアガは新型コロナウイルス感染症Covid-19のワクチンのマレーシアでの製造に関し、中国の北京科興中維生物技術(シノバック・ライフ・サイエンシズ)と合意書を交わした。
シノバック・ライフ・サイエンシズはシノバック・バイオテック(科興控股生物技術)の傘下企業。
ファーマニアガのブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)への届け出によると、ファーマニアガは、シノバック・ライフ・サイエンシズが製造したワクチンをファーマニアガのマレーシア工場で充填し、独占的にマレーシア全土で供給する。
シノバック・ライフ・サイエンシズはまた、同ワクチンをマレーシアで独占的に製造・販売する権利をファーマニアガに付与した。

新規感染者数、5月までに約500人に減少=保健相

【プトラジャヤ】 アダム・ババ保健相は15日、国民が標準的運用手順(SOP)を順守することで、1日当たりの新規感染者数は5月までにおよそ500人まで減少するとの予想を明らかにした。
感染者1人が何人に感染を広げる可能性があるかを示す「基本再生産数(R0)」は2月28日時点で0.9だったが、14日は0.87に下がった。トレンガヌ州とペナン州以外のR0は1.0以下となった。しかしアダム大臣は、SOPを守らなければ再び1.0以上に上昇する可能性があるとし、SOP順守を呼びかけた。
感染者数がゼロもしくは少ないグリーン・ゾーンは2月28日から3月14日までの期間に6カ所から11カ所に増加した。レッド・ゾーンは42カ所から35カ所に減少し、イエロー・ゾーンは31カ所から37カ所に増加した。
ワクチンの接種についてアダム大臣は、2月24日から3月14日までに30万1,699人が米ファイザー-バイオNテック製ワクチンの初回接種を受けたと明らかにした。
州別ではセランゴール州が最多で3万6,163人だった。それに▽ペラ州(3万3,036人)▽サラワク州(3万1,527人)▽クアラルンプール(2万8,244人)▽サバ州(2万6,446人)▽パハン州(2万5,325人)▽ジョホール州(2万2,965人)▽ケダ州(1万8,539人)▽ペナン州(1万6,758人)▽クランタン州(1万5,411人)▽トレンガヌ州(1万4,137人)▽ネグリ・センビラン州(1万2,209人)▽マラッカ州(7,963人)▽ペルリス州(6,807人)▽プトラジャヤ(3,827人)▽ラブアン(2,342人)ーーの順となった。
一方で英アストラゼネカ製ワクチンについて、アダム大臣はマレーシアでは接種を実施すると強調。マレーシア国家医薬品管理局(NPRA)により条件付きですでに承認されており、その決断を信頼していると述べた。しかし欧州を中心に一時使用停止を取る国も出てきていることに触れ、血栓など様々な副反応について注意を払っており、事実を分析する必要があると述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月16日、ベルナマ通信、3月15日)

シノバック製ワクチン、18日に接種開始へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチン接種プログラム調整担当大臣を兼任するカイリー・ジャマルディン科学技術革新相は、18日に中国・科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)製ワクチン接種第一号になると明らかにした。
カイリー氏の地元であるネグリ・センビラン州レンバウ病院で接種を受ける予定。薬物管理局(DCA)は3月2日、シノバックと英アストラゼネカのワクチンに対する条件付き登録を承認している。
カイリー氏はまた、「MySejahtera」アプリを通じたワクチン接種申し込みについて139万8,494人が氏名や身分証番号などを入力しただけで健康アンケートや住所の入力などの登録手続きが不完全だったと指摘。「MySejahtera」に対して申請者を特定を進めるよう指示したことを明らかにした。
登録が完了した申請者には電子メールで通知が来るという。接種場所については、登録住所に基づいて指定されることになっている。

新型コロナの新規感染者数は1063人、セランゴールで323人

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は16日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数が前日から1,063人増加したと発表した。アクティブ感染者数は1万5,204人で、累計感染者数は32万6,034人となった。

州・地域別の感染者数はセランゴール州が最も多く323人だった。それに▽サラワク州(183人)▽ペナン州(175人)▽ジョホール州(91人)▽クアラルンプール(KL、86人)▽クランタン州(67人)▽サバ州(38人)▽ケダ州(32人)▽ペラ州(24人)▽トレンガヌ州(23人)▽ネグリ・センビラン州(17人)▽パハン州(2人)▽マラッカ州(1人)▽ラブアン(1人)ーーが続いた。ペルリス州とプトラジャヤはゼロだった。新たに1,365人が回復し、累計治癒者は30万9,612人となった。死者数は5人増えて、累計で1,218人となった。

保健省のノール・ヒシャム事務次官は15日、新たに13カ所のクラスターを確認したと明らかにした。12カ所が工場や行政センター、建設現場、スーパーマーケットなどの職場に関連するクラスター、残りは宗教の集会で起きたクラスターだった。
ジョホール州とセランゴール州でそれぞれ3カ所、ケダ州で2カ所、サラワク州、ネグリ・センビラン州、KL、パハン州、トレンガヌ州ではそれぞれ1カ所のクラスターが発生した。