【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 先ごろクアラルンプール(KL)中心部のトンネルで発生した軽便鉄道(LRT)ケラナ・ジャヤ線の衝突事故について、ウィー・カション運輸相は10日、標準的運用手順(SOP)違反が事故に繋がった人的ミスだったと結論づける最終報告書を発表した。

同事故は、5月24日午後8時45分頃、KLCC駅からカンポン・バル駅に向かっていた無人運転の列車(TR81)と、本来カンポン・バル駅からダン・ワンギ駅方面に向かう予定の回送列車(TR40)が逆走して衝突したもの。これによって乗客213人を乗せていたTR81は先頭車両前面が大きく壊れ、47人が重傷(うち3人が重体)、そのほかの乗客は軽傷を負った。LRTケラナ・ジャヤ線の衝突事故は1998年の開通以来これが初めて。

事故調査委員会がまとめた報告書によると、TR40ではこの日、2基搭載しているVOBCと呼ばれる自動運転制御装置の1基に故障が発生したため修理のため、車両基地まで回送中だった。しかし2基目のVOBCも故障したため、運転制御センター (OCC)は運転手にダン・ワンギ駅まで手動運転で向かい、VOBCを再起動させて自動運転の回復を試みるよう指示したが、OCCと運転手の間の連絡が不十分だったため手動のまま逆方向のKLCC駅方面に向かって発車したという。

一方、TR81はTR40が故障のため手動に切り替えられたことからKLCC駅で待機していたが、TR40が自動運転に戻ったとの誤った情報を受け取り、カンポン・バル駅方面に向かって出発してしまい逆走してくるTR40と衝突してしまったという。

事故調査委員会は再発防止に向けた23件の勧告をLRTを管轄する国営企業プラサラナ・マレーシアに行っており、プラサラナは手動運転中の運転手を2人にすることなど、5項目の短期的改善を3カ月以内に実施、11項目からなる中期的改善、7項目からなる長期的改善も6カ月以内をめどに実施する方針を明らかにした。