【クアラルンプール】 新型コロナウイルス「Covid-19」の出口戦略として政府が打ち出した国家復興計画について、多くのアナリストから不安視する声が上がっている。
TAセキュリティーズは、政府が3つの主要指標がすべて正常に満たされた場合にのみ次のフェーズに移行するとしている点に言及。政府が第2フェーズへの移行を7月から8月の間、第3フェーズへの移行を9月から10月の間、第4フェーズへの移行を11月から12月の間との見通しを立てているが、計画通り進まない場合はそれぞれのフェーズ移行が先延ばしとなり、特に下半期の経済見通しが不透明なままになっていると指摘している。
また政府がフェーズ1に当たる現在の完全ロックダウン(MCO3.0)における1日当たりの経済損失を10億リンギと低く見積もっている点(TA試算は15億リンギ)に触れ、今後のフェーズの遅れがさらに下半期の経済にも影響を及ぼすとした上で、新たな景気対策が早々に打ち出されることも期待できないと批判的な見方を示している。
OCBCバンクは政府がこれまでの通年国内総生産(GDP)成長予想をプラス6—7.5%で維持していることに触れ、フェーズ1がこれ以上延長されないと仮定すれば、政府予想の下限を2ポイント引き下げることになるとしプラス4%を予想している。
サンウェイ大学ビジネススクールのイア・キムレン氏は、まったく計画がないよりはましだが多くの仮定と骨格のみだと指摘。政府がこれを元に経済成長を促すための戦略と対策を考え出す必要があるとしている。
また世界的な半導体不足を例に挙げ、グローバルなサプライチェーンの中にあって食糧、エネルギー、その他の主要なニーズについて過度に海外に依存しないよう経済の再構成を考えるべきだとしている。 (ザ・サン、ベルナマ通信、6月16日)