国家復興計画、新たな政策打ち出されず国民から不満の声

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムヒディン・ヤシン首相が15日、年内の新型コロナウイルス「Covid-19」禍から正常化に向かう道のりを示す「国家復興計画」を発表したが、「道筋」とその指標が示されただけで、政府の具体的な対策について言及がなくネット上では批判の声が相次いでいる。

ネット上ではまず第2フェーズに移行するための目安とされる「1日の新規感染者が4千人以下」がやり玉にあげられた。「フリー・マレーシア・トゥデー」のまとめによると、「4千人で安全になったという科学的根拠はどこにあるのか?」「4千人はまだ多い。規制を緩和したらまたすぐに増える」といった批判の声が目立っている。

テレビ演説まで行って「国家復興計画」と打ち出したにも関わらず、ムヒディン首相は「50億リンギの財政出動を伴う400億リンギの経済対策を打ち出した」と5月末に発表した政策を強調したが、追加対策を期待した国民は落胆を禁じ得なかった。

ラフィダ・アジズ元通産相は、「国家復興計画」に具体的な経済復興政策や雇用機会の増加、これまでの損失をどのように処理するかといった「戦略」が示されず、減税策すら盛り込まれなかったと批判した。

新型コロナの新規感染者数は5150人、セランゴール州が最多

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は16日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数が5,150人となったと発表した。アクティブ感染者数は6万7,949人で、累計感染者数は67万3,026人となった。

州・地域別の感染者数はセランゴール州が最も多く1,914人だった。それに▽ネグリ・センビラン州(607人)▽サラワク州(570人)▽クアラルンプール(KL、480人)▽ジョホール州(392人)▽ケダ州(228人)▽クランタン州(230人)▽サバ州(184人)▽マラッカ州(152人)▽ラブアン(101人)▽ペナン州(99人)▽ペラ州(66人)▽パハン州(57人)▽トレンガヌ州(56人)▽ペルリス州(8人)▽プトラジャヤ(6人)ーーが続いた。新たに7,240人が回復し、累計治癒者は60万935人となった。死者数は73人で、累計で4,142人となった。

保健省のノール・ヒシャム事務次官は15日、新規感染者数は減少したが、1人の患者が何人に感染を広げる可能性があるかを指す基本再生産数(R0)について、0.94となったとして、前日から0.02%ポイントアップしたと明らかにした。ラブアンとサバ州、ネグリ・センビラン州、サラワク州では、1.0を上回っていると説明。一方で15カ所のクラスターを新たに確認したと明らかにした。

職場では最も多い11カ所のクラスターを確認した。またコミュニティで3カ所、教育機関で1カ所のクラスターが発生した。

カテゴリー4、5の重症者が増加傾向=アダム保健相

【クアラルンプール】 アダム・ババ保健相は、新型コロナウイルス「Covid-19」感染者のうちカテゴリー4、5に分類される重症者が増加傾向にあり、今後はさらに増加すると予想されるとして懸念を示した。

カテゴリー4、5の重症者数は4月には6,751人だったが、5月には3万287人に増加、6月は13日時点ですでに2万2,857人に達している。カテゴリー4は酸素吸入が必要なレベルで、カテゴリー5は人工呼吸器を装着する必要がある。

重症患者の増加のために集中治療室(ICU)の稼働率は97%に達している。アダム保健相によると、政府系病院や軍病院を含む全国のICU病棟にはベッドが合計1,767床あるが、1,161人が治療を受けており、うち452人が人工呼吸器によるサポートを受けている。

■民間医療施設での感染検査、不当な高額請求も■

新型コロナの感染検査の費用について、アダム保健相は民間のクリニックや医療施設に対し、保健省が設定した上限価格を超える場合、費用明細を提示する必要があると言明。不当に高額な費用を請求された場合には危機準備対応センター(CPRC)または民間医療行為管理室(CKAPS)に苦情を申し立てて欲しいと呼びかけた。

半島マレーシアにおける検査費用の上限は、RT-PCR検査が150リンギ 迅速分子検査が270リンギ、RTK抗原検査が60リンギ、迅速抗体検査が50リンギ。サバ・サラワク州ではRT-PCR検査が200リンギ、迅速分子検査が350リンギ、RTK抗原検査が80リンギ、迅速抗体検査が70リンギとなっている。 (ベルナマ通信、6月14日)

ワクチン接種、副作用は1千回あたり2.4件程度

【クアラルンプール】 アダム・ババ保健相は、新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチン調整担当大臣を兼任するカイリー・ジャマルディン科学技術革新相と共同記者会見を行ない、ワクチンの副作用について、接種1,000回あたり2.4件程度発生しており、そのうち入院が必要な重篤なケースはわずか0.09件だったと述べた。

2月24日開始されたワクチン接種プログラム(NIP)により、6月12日までに470万回分のワクチン接種が行なわれた。軽度の接種後有害事象(AEFI)については、コロナ情報アプリMySejahteraを通じて接種1,000回あたり29.3件の報告があった。接種部位の痛み、頭痛、疲労感など、コロナワクチンに限らず、ワクチン接種後一般によく現れる症状だという。

国家医薬品規制庁(NPRA)のAEFI観察システムを通じては、1,000回の接種ごとに2.4件の副作用報告があった。これらの報告のうち、入院を余儀なくされる重篤な症状に分類されたのは、ワクチン接種1,000回あたり0.09件。入院は短期間で済み、治療後退院しているケースがほとんどだという。

(マレー・メイル、6月14日)

日本政府、マレーシアにアストラゼネカ製ワクチンを供与

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本の茂木敏充 外務大臣は15日、日本で製造した新型コロナウイルス「Covid-19」アストラゼネカ製ワクチンを供与する意向を明らかにした。マレーシアと共にインドネシア、フィリピン、タイにも供給する意向。7月からの供給開始に向けて調整を開始する。

在マレーシア日本大使館は、茂木外相の発表に基づきマレーシア政府と緊密に協力して、マレーシア国民にワクチンを提供していくとした上で、日本とマレーシアの友情のもう一つの象徴となるだろうとしている

日本は2020年3月から、新型コロナウイルスの脅威に際し、マレーシア政府との二国間の協力に加え国際機関を通じた緊急支援を行っており、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)を通じてマレーシアに97万米ドルを割り当てた。今年1月には、マレーシア政府に対して5億円(1,900万リンギ)相当の医療機器を無償で提供すると発表。2月には国際協力機構(JICA)を通じマレーシア国家災害管理庁(NADMA)へ個人用防護具を供与した。

新型コロナの新規感染者数は5419人、再び5千人台に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は15日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数が5,419人となったと発表した。再び5,000人を超えた。アクティブ感染者数は7万112人で、累計感染者数は66万7,876人となった。

州・地域別の感染者数はセランゴール州が最も多く1,996人だった。それに▽サラワク州(718人)▽クアラルンプール(KL、650人)▽ネグリ・センビラン州(396人)▽ジョホール州(366人)▽ケダ州(252人)▽クランタン州(245人)▽サバ州(230人)▽マラッカ州(155人)▽ラブアン(138人)▽ペナン州(124人)▽ペラ州(68人)▽トレンガヌ州(43人)▽パハン州(32人)▽プトラジャヤ(5人)▽ペルリス州(1人)ーーが続いた。新たに6,831人が回復し、累計治癒者は59万3,695人となった。死者数は101人で、累計で4,069人となった。

職場では最も多い12カ所のクラスターを確認した。またコミュニティで4カ所、老人ホームで1カ所のクラスターが発生した。

ノール氏は職場に関連するクラスターはこれまで1,328カ所確認されており、14万7,040人が感染したと言明。うち68%となる10万86人が外国人労働者となっていると述べた。工場に関連するクラスターは639カ所となっており職場でも最も多いとして、改めて職場での標準的運用手順(SOP)順守を呼びかけた。

国家復興計画を発表、9月か10月の国会開催を約束

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムヒディン•ヤシン首相は15日午後に特別テレビ演説を行い、4つのフェーズから構成される国家復興計画(PKP)の概要を明らかにした。ムヒディン首相は、ほとんどの経済活動を認める第3フェーズへの移行を8月末までに達成することを目標に掲げ、9月か10月の国会開催を約束した。

国家復興計画において、フェーズ移行の指標となるのは▽新規感染者数に基づくコミュニティにおける感染状況▽集中治療室(ICU)病床使用率に基づく公衆衛生システムの対応能力▽2度のワクチン接種した人の割合——の3つ。各フェーズの標準的運用手順(SOP)については、後日、国家安全委員会(NSC)が発表する。

現在の完全ロックダウンである第1フェーズから第2フェーズに移行するための指標は▽新規感染者数が1日平均4千人以下になること▽ICU稼働率を中程度に下げるなど公共衛生システムの危機的状況から脱すること▽総人口の10%のワクチン接種完了——となる。

第2フェーズは第1フェーズの続きとの位置づけであり、社会活動やスポーツ活動は引き続き厳重に管理される。経済活動においても操業可能な業種リストは維持した上で、在宅勤務をサポートする電子機器販売やセメントなどいくつかのセクターを新たに追加。最大80%の従業員の出勤を認めるなど操業条件も段階的に緩和する。ただし州・地区を跨いだ移動は禁止する。

第3フェーズへの移行条件は、▽新規感染者2千人以下▽ICU病床稼働率が適切なレベルに低下▽総人口の40%のワクチン接種完了——で、8月末までの達成を目標とする。

第3フェーズでは感染拡大を引き起こす可能性のある、スパやパブなどのセクターを除いてすべてのセクターでの操業を認める。経済活動においては、第2フェーズに続いて最大80%の従業員の出勤を認める。教育や特定のスポーツ活動や社会活動も段階的に開放する。

第4フェーズへの移行条件は、▽新規感染者500人以下▽ICU病床稼働率が適切なレベルで公衆衛生システムが安全な水準▽総人口の60%のワクチン接種完了——で、早ければ10月末の達成を目指す。

第4フェーズでは可能な限り日常生活に戻すこととなり、すべての経済活動、より多くの社会活動が許可される。また州を越えた旅行が許可され、国内観光旅行も厳格な標準的運用手順(SOP)に従うことを条件に容認する。

不動産のヨンタイ、新型コロナの不活性ワクチンを受け取り

【クアラルンプール】不動産開発のヨン・タイは、子会社のYTBヘルスケア(YTBH)が11日に、中国のバイオテクノロジー会社、深セン康泰生物製品(SZKT)が開発した新型コロナウイルス「Covid-19」の不活化ワクチンの第1弾を受け取ったと発表した。

国家医薬品規制庁(NPRA)は3日、同ワクチンの輸入臨床試験を承認しており、マレーシアで第3相臨床試験をすることが可能となっている。YTBHは第3相臨床試験を実施し、数カ月データを取った後、当局にワクチン承認に向けて登録申請をする予定だ。

ヨンタイは、SZKTとの間で今後5年間(延長可能)のワクチン独占販売契約を交わしており、年間2,000万回分のワクチンをマレーシア国内で提供する計画だ。政府はSZKTのワクチンの生産工場と研究センターを設立することを希望しているという。

SZKTのワクチンの臨床試験はコロンビアやアルゼンチン、パキスタン、フィリピン、ウクライナなどでも実施されている。 (エッジ、6月11日)

国家復興計画を策定中、ポストコロナで=ムヒディン首相

【クアラルンプール】 ムヒディン・ヤシン首相は13日、新型コロナウイルス「Covid-19」からの経済及び国民生活を立て直すための基本方針として、国家復興計画の策定に着手していると明らかにした。

ムヒディン首相によると、国家復興計画はデータ、科学、新型コロナ管理、経済、ワクチン接種プログラムなど多方面にわたる知見に基づいたもの。現在内容について検討中だが、近く国家安全委員会(NSC)に提出する予定だという。

ムヒディン首相は、国家復興計画が国内の新型コロナ管理に関連する状況について国民に知らせることも意図していると指摘。復興計画を成功させるには国民の協力が欠かせないと述べた。

■KLとプトラジャヤ、8月末には集団免疫獲得へ■

ムヒディン首相はまた、ワクチン接種がスピードアップしていることでクアラルンプール(KL)及びプトラジャヤでは8月末にも集団免疫獲得の目安とされる80%の摂取率を達成できるとの見通しを示した。

大規模接種センター(PPV)や移動式接種方式の導入により、より多くの住民がワクチン接種できるようになったという。KLの人口は180万人、プトラジャヤの人口は9万2千人とされる。全国レベルでは7月11日の時点で、総人口3,200万人の13%以上、4,22万7,554人に少なくとも1回のワクチン接種を行っている。 (ストレーツ・タイムズ、ベルナマ通信、6月13日)

職場でのワクチン接種、16日に開始

【クアラルンプール】新型コロナウイルス「Covid-19」のワクチン接種の加速を狙いとした職場での接種が16日に始まる。製造業のうち、医療機器、食品加工、ゴム手袋など社会生活に必須の部門の企業から着手する。

接種計画への企業また従業員の参加は任意。12日の通産省の声明によると、職場接種は業界団体の要請に応じたもので、接種加速は集団免疫の確立に役立つという。

接種は無料。民間の医療従事者が接種に当たる。これら医療従事者への謝礼など付随的費用は会社負担とする。

社員が少なくとも1,000人いる会社、あるいは複数社を合わせ1,000人以上が接種対象になる職場が職場接種を実施できる。職場接種の経費は1人当たり推定15リンギ余りと接種センター(同45リンギ)より安く行える。

(ベルナマ通信、フリー・マレーシア・トゥデー、6月12日)