【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムヒディン•ヤシン首相の辞任発表を受け、次期首相選定に向けて各方面で動きが活発化しているが、いずれの顔ぶれも下院議会における過半数獲得に向けた決め手に欠けており、絶対的候補者不在の混沌とした情勢となっている。
アズハル・アジザン・ハルン下院議長は、下院議員全員に対し自身が推薦する次期首相候補者名を書いた宣誓供述書を18日午後4時までにアブドラ国王に提出するよう通達を出した。全議員の意向を踏まえた上で、数日中に次期首相を指名することになるとみられる。昨年3月のムヒディン内閣が発足した際にも、首班指名前に同様に議員全員の意向確認が行なわれた。
与党連合・国民同盟(PN)内では、過半数の支持を得る上でキャスティングボートを握る友党・統一マレー国民組織(UMNO)への配慮から、同党総裁補のイスマイル・サブリ・ヤアコブ副首相を推す意見が強いようだが、ムヒディン首相への不支持を宣言したアハマド・ザヒド・ハミディ総裁(元副首相)らUMNO主流派の同意はまだ得られていない。UMNO内部の派閥間の意見の一致は難しく、間をとって野党にも王宮サイドにも顔がきく王族出身でUMNO長老のテンク・ラザレイ元財務相を推す声も出ている。
一方、かねてから過半数を掌握していると主張している野党連合・希望同盟(PH)は、リーダーのアンワル•イブラヒム人民正義党(PKR)党首(元副首相)を推しているが、祖国戦士党(ペジュアン)率いるマハティール•モハマド前首相が難色を示しており、ある程度の与党からの寝返りが期待できるにしても過半数の支持に届くかどうかは微妙な情勢だ。
各候補ともに過半数の支持獲得に向けた決め手に欠ける中、挙国一致内閣構想を打ち出しているマハティール氏の再登板、あるいは結局、ムヒディン首相が総選挙まで暫定首相として続投するといった見方も出ている。