マレーシア航空、国内線の完全回復は来年末と予想

【クアラルンプール】 マレーシア航空グループ(MAG)の完全子会社であるマレーシア航空(MAS)は、現在の新型コロナウイルス「Covid-19」の感染状況が予測通りに改善されれば、国内線は今年第4四半期に操業を再開し、来年末にはパンデミック前のレベルに達すると予測。一方、国際線の完全な回復は2023年-2024年になると予測している。
MASのアハマド・ルクマン・モハマド・アズミ最高執行責任者(COO)は、MAGの長期事業計画(LTBP 2.0)について、ロックダウン後の回復予測を考慮に入れ策定されたものであり、3月に実施したリストラから現在に至るまで全力で取り組んでいると述べた。
LTBP 2.0では、コスト削減と増収により、2023年までにキャッシュフローの黒字化を目指している。国内およびASEAN(東南アジア諸国連合)での市場シェアを取り戻すことがLTBP2.0の戦略のひとつとなっており、MASが全額出資した短距離航空のファイアフライも、シェア獲得のために短・中距離のジェット機事業に再参入する。ファイアフライは5月に一時的に運航を開始したものの、行動制限令(MCO3.0)と重なり運航を停止、来年の第1四半期初頭に再開するという。2025年までに最大10機のナローボディ機で、日本、中国、韓国を含む7カ国を結ぶ予定だ。
アハマド・ルクマン氏は、今後直面する緊急の課題は、市場回復に対応できるチームの準備だと語った。具体的には、航空機サービスチーム、グランドスタッフ、パイロットといった人員の確保を指す。パンデミック以降、9つの主要業務のうち、2019年から12%増加した貨物輸送を除き、他すべての業務量が減少。搭乗者数は3万8,000人から97%減の1,000人、フライト数も290回から95%減の15回となっており、MASは現在、2019年の人員数の約30%で運営されている。
(エッジ、ベルナマ通信、ザ・サン電子版、8月26日)

 

最新の事業者向けSOP、「企業を殺す」経営者連盟が批判

【クアラルンプール】 マレーシア経営者連盟(MEF)のサイド・フセイン会長は、国家復興計画(NRP)においてフェーズに応じて出されている事業者向けの標準的運用手順(SOP)が以前より厳しくなっていることに経営者が困惑していると指摘した。
同会長は、新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチン接種がまだ始まっていなかった最初の行動制限令(MCO1.0)の時でもオフサイトでの作業において隔離期間は3日だけだったが現在ではワクチン接種が完了した従業員であっても隔離期間が14日間に延長されているとして、規制を緩和するとの政府の発表に逆行していると批判した。
また同会長は、操業再開の条件として製造、建設、鉱業・採石セクターの雇用者に対し完全な予防接種やすべての従業員への2週間に1回の感染テストが義務づけられていると指摘。RTK抗原検査の費用は1回40リンギかかるので、従業員が1千人いれば毎月16万リンギも負担しなければならないと指摘し、キャッシュフローに悩んでいる企業が多い中、最新のSOPはむしろ企業を殺そうとしていると批判した。
(エッジ、8月26日)

イスマイル内閣の閣僚人事が決定、留任&横滑りが多数

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ新首相は27日、閣僚人事を発表した。30日に就任式をおこなう予定。

新型コロナウイルス「Covid-19」に関連する対策が急務であることから、財務相や通産相、内務相などの重要ポストをはじめ留任、横滑りが多く、副大臣の経験もない初入閣は1人だけという経験重視の顔ぶれ。期待されていた野党や在野からの登用といったサプライズはなく、連立与党各党のバランスを配慮しながらの新味の乏しい陣容となった。

閣僚に起用されたのは首相を除いて31人。副首相は発表されず、上級相に▽アズミン・アリ前通産相(統一プリブミ党=PPBM)▽モハマド・ラジ前教育相(PPBM)▽ファディラ・ユソフ前公共事業相(サラワク・ブミプトラ保守党=PBB)——の3人が兼任のまま留任し、新たにヒシャムディン・フセイン前外務相(統一マレー国民組織=UMNO)が国防相兼任で昇格した。

新型コロナ対策を重視して、保健相と科学技術革新相ポストを入れ替え、ワクチン接種プログラム調整相を兼任して実積を上げているカイリー・ジャマルディン前科学技術革新相(UMNO)が保健相に、アダム・ババ前保健相(UMNO)が科技相に異動する。

テンク・ザフフル・アブドル・アジズ財務相、ハムザ・ザイヌディン内務相(PPBM)、M.サラヴァナン人的資源相(マレーシア・インド人会議=MIC)、ロナルド・キアンディ農業農業関連産業相(PPBM)、ウィー・カション運輸相(マレーシア華人協会=MCA)、ナンシー・シュクリ観光芸術文化相(PBB)、アレクサンダー・ナンタ・リンギ国内取引消費者行政相(PBB)、ノライニ・アハマド高等教育相(UMNO)、リナ・ハルン女性家族共同体開発相(PPBM)、トゥアン・イブラヒム・トゥアン・マン環境相(汎マレーシア・イスラム党=PAS)、ハリマー・モハメド・サディク国民統合相(UMNO)、ムスタパ・モハメド首相府相(経済担当)(PPBM)——が留任となった。

その他の閣僚ポストは次の通り。

◎首相府相(特任)・・・アブドル・ラティフ・アハマド前地方開発相(PPBM)

◎首相府相(法律・国会担当)・・・ワン・ジュナイディ氏(PBB)

◎首相府相(宗教問題担当)・・・イドリス・アハマド氏(PAS)

◎首相府相(サバ・サラワク州担当)・・・マキシマス・オンキリ氏(サバ団結党=PBS)

◎外務相・・・サイフディン・アブドラ前通信マルチメディア相(PPBM)

◎通信マルチメディア相・・・アヌアル・ムサ前連邦直轄地相(UMNO)

◎農園・一次産業相・・・ズライダ・カマルディン前住宅地方自治相(PPBM)

◎住宅地方自治相・・・リーザル・メリカン・ナイナ前青年スポーツ相(UMNO)

◎起業家開発共同組合相・・・ノー・オマル氏(UMNO)

◎連邦直轄地相・・・シャヒダン・カシム氏(UMNO)

◎エネルギー・天然資源相・・・タキユディン・ハッサン前首相府相(PAS)

◎地方開発相・・・マハジル・カリド氏(UMNO)

◎青年スポーツ相・・・アハマド・ファイザル・アズム氏(PPBM)

新型コロナの感染者数は2万2070人、セランゴール州が最多

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は27日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数が2万2,070人となったと発表した。アクティブ感染者数は26万5,695人で、累計感染者数は166万2,913人となった。

州・地域別の感染者数はセランゴールが最も多く5,920人だった。それに▽サバ(3,010人)▽サラワク(2,224人)▽ケダ(2,072人)▽ペナン(1,829人)▽ジョホール(1,809人)▽クアラルンプール(KL、1,068人)▽クランタン(1,051人)▽ペラ(939人)▽パハン(610人)▽マラッカ(589人)▽トレンガヌ(488人)▽ネグリ・センビラン(338人)▽ペルリス(76人)▽プトラジャヤ(39人)▽ラブアン(8人)ーーが続いた。2万1,877人が新たに回復し、累計治癒者は138万1,668人、死者数は339人で、累計で1万5,550人となった。

保健省によると、26日に確認された感染者のうちカテゴリー1(無症状)が46.3%、カテゴリー2(軽度の症状)が51.0%、カテゴリー3(肺炎の症状)が0.8%、カテゴリー4(酸素吸入が必要)が0.5%、カテゴリー5(人工呼吸器を装着する必要)が1.4%だった。
また同日は新たに35カ所のクラスターを確認した。職場で20カ所、コミュニティで9カ所の他、老人ホーム、医療センター、福祉施設、教育機関、拘留所でクラスターが発生した。州・地域別ではジョホールが10カ所で最多となった。