首都圏とマラッカ、10月1日よりNRP第3フェーズに移行

【ペタリンジャヤ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は、10月1日付けで首都圏クランバレーとマラッカ州が国家復興計画(NRP)の第3フェーズに、ケダ州が同第2フェーズにそれぞれ移行すると発表した。これにより第1フェーズに指定されている州・地域はなくなる。
10月1日以降、第2フェーズが▽ケダ▽ペナン▽ペラ▽クランタン▽ジョホール▽サバーー、第3フェーズが▽首都圏(クアラルンプール・セランゴール・プトラジャヤ)▽マラッカ▽ペルリス▽パハン▽トレンガヌ▽サラワクーー、第4フェーズがラブアンおよびネグリ・センビランとなる。
標準的運用手順(SOP)についても変更が行なわれる。10月1日からワクチンを接種を完了した18歳以上は、マスク着用・飲食禁止の条件の下、スポーツの試合をスタジアム観戦できる。政府や民間の公式行事については、ワクチンを接種完了を条件に、第2・3フェーズでは定員の50%まで、第4フェーズでは定員100%で参加が許可される。ワクチン未接種者が参加する場合は、事前に唾液による自己検査キットでの検査が必要となる。また、高等教育機関の再開に伴い、10月15日からすべてのフェーズで、技術職業教育訓練(TVET)カレッジなどの職業訓練施設や産業訓練センターを再開する。SOP詳細は、ウェブサイト(www.mkn.gov.myから入手可能。
一方、イスマイル首相は、自宅待機や観察命令違反について、違反者には厳しい措置をとると述べた。「政府は、エンデミック段階移行を見据え制限を緩和しているが、感染連鎖を断ち切るためにもSOPを厳守してほしい」と国民に呼びかけた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ニュー・ストレーツ・タイムズ、エッジ、9月29日)

世界銀行、マレーシアの経済成長予想を3.3%に下方修正

【ペタリンジャヤ】 世界銀行は、28日に発表した最新レポートの中でマレーシアの今年通年の国内総生産(GDP)成長率予想を従来のプラス4.5%からプラス3.3%に下方修正した。根拠として、パンデミックからの復興が進む一方、貧困層や社会的弱者の所得・雇用が回復していないことを挙げている。
外需が成長の追い風になる一方、行動制限令が経済復興の足かせになると予想。また、同レポートでは、新型コロナウイルス「Covid-19」のデルタ変異株の影響により、東アジア・太平洋地域のほとんどの国の成長率予測が引き下げられており、中国(8.5%)以外の地域では2.5%と、今年4月時点の予測4.4%よりも2ポイント近く低くなっている。
世界銀行グループのリードエコノミストのアプルバ・サンギ氏は、第12次マレーシア計画(12MP)で示された「2025年までの年平均4.5ー5.5%の経済成長」という目標について、世界経済における需要と供給の同時縮小により、達成が困難な状況にあると述べた。2021年ー2022年は下降傾向で、2022年以降にようやく成長が期待できるという。一方、デジタル化が輸出へ好影響を及ぼし、ワクチン接種率も向上しているという明るい兆しも見られることから、2022年と2023年の経済成長率は高水準を見込んでいる。
同氏は、12MPで発表された過去最大の開発費4,000億リンギについて、短期的には経済回復や弱者支援のための財政出動は必須だが、債務増加や予算不足に陥る危険も高いため、中長期的な財政戦略を別途考える必要があると述べた。マレーシアでは所得税、法人税、消費税の税収が不足しているとも指摘。徴税の枠組みや税支出、税務管理などを見直し、別の課税形態も検討することで、開発費用を調達できるとした。歳出についても合理化・効率化により削減できるとし、歳入を可能な限り増やし、効率的な歳出を行なうことが重要だと強調した。
(ザ・サン、9月29日、マレーシアン・リザーブ、9月28日)

5月以降に中小零細企業3万7415社が倒産=起業家相

【クアラルンプール】 新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大抑制のために今年5月に3回目の全国的行動制限令(MCO3.0)が発令されて以降、3万7,415社に上る中小・零細企業が倒産に追い込まれた。
ノー・オマル起業家開発協同組合相が28日の下院議会質疑で明らかにしたところによると、全体の2万6,007社を零細企業が占め、中小企業は2,738社に上った。
MCO3.0以降にはまた、約200社のスポーツ関連企業も倒産した。
ティー・リエンカー副青年スポーツ相によると、倒産したスポーツ関連企業の大多数はフィットネスセンターや卸売業者で、スポーツ業界関連会社の93.2%がMCOの影響を受けていることを明らかにし、58.8%が事業を継続するために財政支援が必要だと訴えている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、9月28日)

ティオマンとゲンティン、トラベルバブルを無期延期

【ロンピン】 10月1日から予定されていたパハン州ティオマン島とゲンティン・ハイランドの「トラベル・バブル」実施が無期限で延期となった。パハン州のカマルディン・イブラヒム観光局長が明らかにした。
イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相の「リゾート地や観光地の再開、州間移動については、成人人口のワクチン接種率が90%に達した場合にのみ許可する」という声明を受けてのもの。州間移動が解禁されるまでは、パハン州住民のみがパハン州内観光地へ旅行できることとなる。カマルディン氏は、すでに旅行を予約済の州外観光客に対し、「予約を取った旅行会社に連絡し、旅行の延期を行なうなど、適切なアドバイスを受けてほしい」と呼びかけた。
カマルディン氏は、また、パンデミックで大打撃を受けた州内観光産業の復興について、住民からの支援を期待していると述べた。パハン州が国家復興計画第3フェーズへ移行したことに伴い、多くの活動が可能となり、地域間の移動もできるようになったため、ジャンダ・バイクやロンピン州立公園など、州内の観光名所へ訪問する人が増えることを願っていると強調した
観光芸術文化省は、観光地を実験的に観光客に開放する「トラベルバブル」について、現在実施中のランカウイ島に続き、ティオマン島、ゲンティン・ハイランド、マラッカの再開を提案したが、マラッカはこの提案を却下していた。
(ベルナマ通信、9月28日)

サバ州、10月1日より地区間移動が可能に

【コタキナバル】 サバ州政府は28日、10月1日付けで地区間移動を解禁すると発表した。州内成人人口の60%が新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチン接種を完了することが条件となっている。
同州のマシディ・マンジュン住宅地方自治相によると、複数地区を統合・線引きするゾーニング方法を採用。ゾーン内でのワクチン接種率も同様に成人人口の60%以上が必要。接種率が60%に満たない地区はゾーンから除外され、地区間移動できない。
また、10月1日付けで州内の美容・健康、観光などの業種で営業再開が許可される。対象となるのは、▽スパ▽美容院▽リフレクソロジー▽健康センター▽マッサージ▽マニキュア・ペディキュア▽観光・レクリエーション(動物園、プランテーション、教育センター、ジャングルパークなど)ーー。利用客は、施設への入場時にコロナアプリ「MySejahtera」で「低リスク」評価を得ており、ワクチン接種完了を示す必要がある。
ワクチン供給アクセス保証特別委員会(JKJAV)のデータによると、サバ州では、28日現在、ワクチン1回目接種者は218万7,628人、2回目接種完了者は164万4,753人。成人人口の59.5%がワクチン2回接種を完了している。
(エッジ、9月28日)

新型コロナの感染者数は1万2434人、サラワク州が最多

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は29日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数は1万2,434人だったと発表した。累計感染者数は223万2,960人となった。
州・地域別の感染者数はサラワクが最も多く2,967人だった。それに▽セランゴール(1,362人)▽ジョホール(1,289人)▽クランタン(1,125人)▽サバ(1,000人)▽ペラ(971人)▽ペナン(863人)▽パハン(663人)▽ケダ(652人)▽トレンガヌ(612人)▽マラッカ(375人)▽クアラルンプール(KL、284人)▽ネグリ・センビラン(169人)▽ペルリス(79人)▽プトラジャヤ(18人)▽ラブアン(5人)ーーが続いた。
28日に確認された新規感染者数のうち、82.9%が自宅、11.2%が低リスク者用隔離・治療センター(PKRC)、5.3%が医療機関、0.5%が集中治療室(ICU)で療養中。1万4,160人が回復し、累計治癒者は200万2,099人、死者数は240人で、累計で2万5,935人だった。アクティブ感染者は、前日から3,068人減少し、17万4,492人となった。
また同日は新たに15カ所のクラスターを確認。コミュニティで9カ所、職場で6カ所でクラスターが発生した。州・地域別ではクランタンが4カ所で最も多かった。

フィライフと東京海上、10代向け新型コロナワクチン保険

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ 】 ネット保険のフィ・ライフと東京海上ホールディングス子会社で、生命保険を提供するトウキョウ・マリン・ライフ・インシュアランス・マレーシア(TMLM)は、新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチン接種保険を開始した。
フィ・ライフが発表した声明によると、12ー17歳までのマレーシア人および永住権所有者を対象にしたもの。フィ・ライフおよびTMLMの生命保険加入者は自動的に登録され、非加入者も10月31日までに登録することで加入することができる。
保険料は無料。ワクチンを接種した後に、副反応による健康被害が出た場合、1日120ー240リンギを最大5日、重度の副反応で亡くなった場合は一時金として、加入者で5,000ー1万2,000リンギが支給される。保険金は、TMLMの新型コロナ医療支援基金により支払われる。保険の保障期間は、今年6月から12月31日まで。

 

サイバージャヤの電動トラム、来年実証実験を実施

【クアラルンプール】 セランゴール州サイバージャヤでは、来年初頭に完全電動式の路面電車(トラム)のパイロット・テストを実施する。「2025年までにスマート低炭素都市となる」ことを目指す取り組みの一環。
電動バスを連結して走らせる自動高速輸送(ART)システムを採用。無人走行と有人走行ともに可能で、専用の軌道を必要とせず、道路標識により形成される仮想線路を走行する。3つの車両を連結し、一度に乗客307人の運搬が可能。最高速度は時速70キロメートル。運行をサポートする充電ステーションなどの設備も設置する。民間企業であるモビルスが協力する予定だが、モビルスは、今年4月にジョホール州イスカンダル・マレーシアで実施されたARTシステムのパイロット・テストにも協力している。
トラムについては、2016年2月に当時の連邦直轄地相からプトラジャヤおよびサイバージャヤへの導入計画が発表された。2018年3月には公共陸運委員会(SPAD)(現・APAD)がプトラジャヤおよびセランゴール州のバンギ、サイバージャヤ、カジャンに導入を提案。2つのMRT路線および計画中の高速鉄道への接続が可能とした。
一方、公共交通機関の利用率の低さから、トラムの長期的な採算性について疑問の声も上がっている。サイバージャヤ住民代表委員会のジャマルディン・マームッド・シャー議長によると、セランゴール州の無料バスサービス「スマート・セランゴール」は、利用者が少ないため赤字になっている。同議長は、「バスと異なりトラムのルートは固定されてしまうため、導入前に採算が取れるかどうか路線調査を行なうべき。また、自動車ではなく公共交通機関を利用するよう促すには、政府による抜本的な改革が必要だ」と述べた。
(マレー・メイル、9月27日)

州間移動が10月から解禁の見通し、接種率90%達成が条件

【プトラジャヤ】 国家復興評議会(NRC、MPN)のムヒディン ヤシン議長(前首相)は、成人人口の90%がワクチン接種を完了した場合、10月から州間移動が解禁される見込みだと述べた。
27日のMPN会議には、ムヒディン議長に加え、▽テンク・ザフフル・アブドル・アジズ財務相▽アズミン・アリ上級相(兼通産相)▽モハマド・ラジ上級相(兼教育相)▽カイリー・ジャマルディン保健相ーーが出席。州間移動について、ワクチンの接種状況に応じて遅くとも10月初旬ー中旬に解禁することが決定されたという。同時に海外との往来についても関係省庁で検討が進んでおり、イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相と話し合う予定があるとした。検討事項には、観光客や実業家の入国案、ワクチン接種完了者を受け入れる国への出国案がともに含まれているという。
ムヒディン議長によると、本MPN会議では、10月から段階的に再開される学校の再開準備状況や州復興協議会の新設についても議論が行なわれた。州復興業議会は、MPNでの決定事項を州レベルで滞りなく実施するための会議体。首相や閣僚に案を提出し、検討と合意を得ることになるという。
ムヒディン議長は、MPNは様々な分野の人を巻き込み国の復興に全面的に取り組んでいくとした。今後、経営者や零細・中小企業オーナーのビジネス継続支援や、パンデミックの影響を受け悪化している貧困問題の対処にも力を入れていきたいと強調した。
(ベルナマ通信、9月27日)

サラワク南部地域、10月1日から第3フェーズに移行

【クチン】 サラワク州の南部地域は、10月1日付けで国家復興計画(NRP)の第2フェーズから第3フェーズに移行する。27日、サラワク州防災委員会(SDMC)事務局が発表した。
今回移行するのは、▽クチン▽バウ▽ルンドゥ▽サマラハン▽アサジャヤ▽シムンジャン▽セリアン▽テベドゥーー。
第3フェーズへの移行に伴い、各種経済活動やスポーツ、観光、レクリエーション活動が認められるが、標準的運用手順(SOP)の遵守が必須となる。▽宝くじ▽健康製品販売▽スパ▽リフレクソロジー▽美容サロン▽ネットカフェ▽玩具ショップ▽ビリヤードセンターーー向けのSOPは来週よりCOVIDNOW (https://covidnow.moh.gov.my/swak )から入手可能。ジム、ズンバやヨガなどのスタジオやスイミングプールについては、サラワク州青年スポーツ省から、観光関連イベントや商品については、サラワク州観光芸術文化省からSOPを入手する必要がある。
一方、SDMC事務局は、南部地域では、地域間移動は禁止されておらず、警察の許可証も不要だが、輸送車両の運転手(同乗者含む)が頻繁に地域間を移動する場合には、警察から許可証を取得し、7日ごとにRTK抗原検査または唾液PCR検査を受ける必要があるとした。この運転手向け新ルールは28日付で発効する。
(マレー・メイル、9月27日)