経済は回復の見通し立たず、ムーディーズ見解

【クアラルンプール】 ムーディーズ調査部門のムーディーズ・アナリティクスは、マレーシア経済は減速を続けており、新型コロナウイルス感染症のデルタ変異株の感染拡大で世界貿易の加速が阻害されているため、回復の見通しが立たないとの見解を示した。
アジア太平洋地域主任エコノミストのスティーブ・コクラン氏によれば、第2四半期の経済が前期比マイナスだったように、マレーシア経済は変動が激しく、潜在需要などを考慮し、当初予想が下方修正された。
新たな患者数は増加しており、人口比での割合が高い。こうした感染拡大が抑制されなければ、第3 第4四半期の域内経済への影響は深刻だという。
コクラン氏は「国内消費は低水準のため輸出がマレーシア経済の生命線だが、感染拡大、行動制限による労働力不足で輸出は引き続き自動車・電子部品の生産不足に悩まされる」と述べた。
(マレーシアン・リザーブ、8月30日)

NTT、マレーシアなどでサーバールームの面積を拡大

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本電信電話(NTT、本社・東京都千代田区)は1日、マレーシアを含むグローバルデータセンターのサーバールーム面積を約2割拡大すると発表した。
NTTは、法人顧客およびハイパースケーラー向けのフルスタックICTサービスを拡販するためにサーバールーム面積を拡大する。同社は、北米、EMEA(欧州、中東、アフリカ地域)、アジア、インドでデータセンターを運用している。北米バージニア、ロンドン、シンガポール、東京など主要な市場におけるデータセンター間を、ネットワークにて相互接続すると共に、各地域におけるデータセンターサービスの収容能力を拡大するという。マレーシアにおいては現在、サイバージャヤにある第5データセンターからIT電力容量6.8メガワットを供給しており、今後、同キャンパス内でさらに同規模の拡大行う予定だ。
その他のアジア地域では、2021年内までにインドネシアで、IT電力容量15メガワットを供給するジャカルタ第3データセンターを新設する予定だ。日本では2020年9月に、東京にIT電力容量21メガワットを供給する東京第11データセンターを建設しており、今後も、顧客の需要に応えるため、バンコク、大阪、ベトナム南部へのデータセンター拡張も検討しているという。
NTTは現在、シンガポール、マレーシア、インド(ムンバイ、チェンナイ)を接続する大容量の海底ケーブル「MIST」を建設中だ。「MIST」ケーブルシステムの全長は1万1,000キロメートル。2023年中頃の竣工を目指している。

ワクチン追加接種の必要性、9月末までに結論=保健相

【クアラルンプール】 新型コロナウイルス「Covid-19」のデルタ変異株の感染が急増していることを受け、カイリー・ジャマルディン保健相は2日、ワクチン追加接種(ブースター接種)の実施の必要性について9月末までに結論を下す方針であることを明らかにした。

すでにブースター接種の必要性に関して評価する専門委員会が設置されており、9月中に政府に何らかの勧告を行なう予定。ブースター接種を行なう場合での、1、2回目接種とは異なるワクチンとするか同じ種類のワクチンにするかについても検討する。

ブースター接種についてはシンガポールが一部のグループを対象に実施することを検討しており、インドネシアは医療従事者のみを対象に行なっているという。ただまだ1回目の接種も進んでいない国も多くあり、世界保健機関(WHO)などは慎重な姿勢を示している。

追加接種の結論が出ていない現在、マレーシア政府は現時点ではまだ1回目の接種も行なっていない人への接種に注力していく方針だ。8月31日時点でのワクチン接種完了率は総人口の46%で、サバ州やペラ州では接種が遅れている。ワクチンはこれら接種が遅れている州に優先的に送られているという。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月2日)

10月末にもエンデミック段階に移行の見通し=保健相

【プトラジャヤ=マレーシアBIZナビ】 カイリー・ジャマルディン保健相は、新型コロナウイルス「Covid-19」感染症が10月末までにはエンデミック(風土病)の段階に入るとの見通しを示し、標準的運用手順(SOP)も簡素化の方向に向かうだろうと述べた。
カイリー氏は、あと2カ月ほどでワクチン接種率が総人口の80%に達するとみられ、ラブアンやサラワク州はすでにエンデミックの段階に入っているとみられると指摘。エンデミックに備えて、国民が「ウイルスと共に生きる」ことを学ぶ時に来ていると述べた。
また、エンデミックの段階に入れば、より多くの経済・社会活動の再開が認められることになり、それにともなって標準的運用手順(SOP)も簡素化されることになるが、当分の間はマスク着用や密集を避けることなどが国民に求められるれることになると述べた。
■感染拡大の中心、サバ&ジョホールなど5州に移動■
カイリー氏はまた、感染拡大の中心が首都圏クランバレーから▽サバ▽ジョホール▽ケダ▽ペナン▽クランタン——の5州に移っていると指摘。首都圏で抑え込みに役立った医療資源の集中化「能力拡大戦略」をこれら5州でも活用していくと述べた。
保健省はワクチン供給をこれらの5州に優先していく方針で、9月中にサバ州に290万回分、ジョホール州に190万回分、ケダ州に130万回分、クランタン州に120万回分、ペナン州に100万回分——のワクチンを供給する計画だ。これらの州では感染検査の回数も増やしていく。

新型コロナの感染者数は2万988人、セランゴール州が最多

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は2日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数が2万988人となったと発表した。アクティブ感染者数は26万2,540人で、累計感染者数は178万6,004人となった。
州・地域別の感染者数はセランゴールが最も多く4,073人だった。それに▽サラワク(2,992人)▽ケダ(2,455人)▽サバ(2,329人)▽ジョホール(2,145人)▽ペナン(1,600人)▽クランタン(1,247人)▽ペラ(990人)▽トレンガヌ(987人)▽クアラルンプール(KL、731人)▽パハン(599人)▽マラッカ(407人)▽ネグリ・センビラン(301人)▽ペルリス(90人)▽プトラジャヤ(37人)▽ラブアン(5人)ーーが続いた。2万3,473人が新たに回復し、累計治癒者は150万6,273人、死者数は249人で、累計で1万7,191人となった。
保健省によると、1日に確認された感染者のうちカテゴリー1(無症状)が43.7%、カテゴリー2(軽度の症状)が54.5%、カテゴリー3(肺炎の症状)が0.9%、カテゴリー4(酸素吸入が必要)が0.3%、カテゴリー5(人工呼吸器を装着する必要)が0.6%だった。
また同日は新たに42カ所のクラスターを確認した。職場で22カ所、コミュニティで17カ所、拘留所、教育機関、宗教活動でそれぞれ1カ所クラスターが発生した。州・地域別ではクランタンが11カ所で最も多かった。