【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中央銀行バンク・ネガラは9日、定例金融政策会合(MPC)を開催し、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を1.75%で維持することを決定した。中銀は昨年7月に0.25ポイント引き下げた後は、1.75%で維持している。
中銀は声明の中で、OPRを維持した理由について、新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大を防ぐために全国的なロックダウンが実施されたことで成長の勢いが弱まっていたものの、より多くの経済部門が活動できるよう規制が段階的に緩和され、企業も新しい事業環境に対する適応力を示したことで、経済は回復傾向にあると説明。今後もインフレ率や経済成長の全体的な見通しなどを考慮して政策を決定し、持続的な経済回復のための環境を整備するとした。
ヘッドライン・インフレ率については、年初からの平均は2.3%で、2021年全体でも2.0%から3.0%の間になると予想。基調インフレ率(コア指標)は、経済の余力が引き続きあることから、年間平均で0.5%から1.5%の間となり、引き続き抑制されるとの予想を示した。
世界経済について中銀は、製造業およびサービス業の活動の改善に支えられ、回復を続けているが、回復ペースは国によって異なると指摘。ワクチン接種が順調に進んでいる国では、抑制策が緩和され、国内活動の継続的な回復が可能となっている。大規模な財政・金融措置により回復の勢いを支える先進国もあるが、パンデミックの見通しの不透明性や主要国の金融政策の変更に伴う金融市場のボラティリティ上昇が、マイナスリスクとなっているとした。
マレーシアについて中銀は、今後、ロックダウンのさらなる緩和に加え、ワクチン接種プログラムの急速な進展や外需の継続的な強さによって、経済が回復へ向かうと予想。しかし、新型コロナの新しい変異株の出現や世界市場の回復の遅れなどが依然ダウンサイドリスクとなっているとした。