ENEOSとペトロナス、CO2フリー水素事業で協業検討

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ENEOS(本社・東京都千代田区)は10日、マレーシア国営石油会社、ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)の完全子会社であるペトロナス・ガス&ニュー・エネルギー(PGNESB)とCO2フリー水素のサプライチェーン構築に向けた協業検討について覚書を締結したと発表した。
ENEOSは国内外でCO2フリー水素サプライチェーン構築に取り組んでおり、海外においてはアライアンスを活かし、安価な水素の大量供給実現に向けた検証を行っている。今回の協業検討は、その一環であり、マレーシアで生産された水素を効率的な貯蔵・輸送形態の一つである有機ハイドライド・メチルシクロヘキサン(MCH)に変換し、製油所へ輸送するといったサプライチェーン全体について両社で検討するもの。両社は、マレーシア国内での水素の製造、MCH製造および出荷について検討を行う。ENEOSは製油所でのMCHを利用した水素の製造・利用、更には近隣の火力発電所や製鉄所などへの水素供給に関する検討を行う。またペトロナスの石油化学工場における未利用の副生水素を利用することを予定しており、再生可能エネルギー由来のグリーン水素や、化石燃料から水素を製造する際に排出されるCO2をCCSなどにより回収・貯留することで、CO2排出量を実質ゼロとするブルー水素の製造可能性のほか、同協業の一環として、両社はマレーシア国外での水素製造プロジェクトの可能性についても検討する。
今回の検討にあたっては、日本政府のグリーンイノベーション基金など、政府による支援を活用し、CO2フリー水素サプライチェーンの社会実装を早期に実現することを目指す。
ペトロナスも同日、声明を発表。同社は2050年、ENEOSは2040年までの二酸化炭素排出量正味ゼロ(ゼロカーボン)を目指しており、同協業検討は両社の更なる提携機会にもつながると期待しているとした。

10月から学校を段階的に再開=教育相

【クアラルンプール】 モハマド・ラジ上級相(兼教育相)は、10月3日から国家復興計画(NRP)の段階に応じて学校が段階的に再開されると発表した。
新型コロナウイルス「Covid-19」感染リスクを低減するため、生徒は週ごとに交代で登校し、教室定員の50%で授業を行なう。NRP第1フェーズの州・地域の学校では再開を行なわず、自宅学習を継続。第2フェーズでは小学校は自宅学習のままだが、▽特別支援学級▽高等中学3年生(フォーム6)▽スポーツスクール▽国際試験対象者ーーといった一部の学校を再開。第3フェーズ以降の州・地域ではすべての学校が定員の50%で段階的に再開される。
週ごとの交代登校については、▽特別支援学級▽高等中学3年生(フォーム6)▽全寮制学校▽国際試験受験学年▽プリスクール・私立幼稚園▽入学者数の少ない学校ーーなどは対象外となり、全員が登校可能となる。また、NRPのフェーズが移行された場合には、移行発表の2週間後に新フェーズの規定に沿って学校の再開が行なわれる。
(ザ・スター、9月13日、マレー・メイル、エッジ、9月12日)

ランカウイのトラベルバブル、マレーシア航空とエアアジアが割引

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ランカウイ島を実験的に観光客に開放する「トラベルバブル」が16日に開始されることを受け、フラッグ・キャリアのマレーシア・アビエーション・グループ(MAG)と格安航空会社のエアアジアは割引キャンペーンを実施するとそれぞれ発表した。
MAGは10日に発表した声明で、9月30日まで割引運賃キャンペーンを実施すると明らかにした。傘下のマレーシア航空はエコノミー席を89リンギから販売する。7キログラム(kg)までの手荷物を無料とする他、無料の軽食やドリンクなどのフルサービスが付く。格安航空部門のファイアフライは、ペナンーランカウイ線を19リンギ、スバンーランカウイ線を69リンギから販売。旅行部門のMHホリデーズは、「ダタイ・ランカウイ」、「ベルジャヤ・ランカウイ・リゾート」などの5つ星ホテルに宿泊できる旅行パッケージを最大50%割り引く。詳細の確認と予約はそれぞれのウェブサイトおよびアプリで行うことができる。MASのウェブサイトは、https://www.malaysiaairlines.com/my/en.html、ファイアフライは、https://www.fireflyz.com.my、MHホリデーズは、https://holidays.malaysiaairlines.com
一方でエアアジアは9日、クアラルンプール、ペナン、ジョホールバル、イポー、コタバルからランカウイに向かう便を19日まで、片道12リンギで販売すると発表した。16日から来年3月26日の便が対象。また4ー5つ星に滞在できる2泊3日のツアーパッケージを99リンギから販売する。
エアアジアは旅行を予定している渡航者に対して、ワクチン接種証明書など渡航に必要な書類などを用意する他、チェックインから手荷物を受け取るまで常に三層マスクを着用するよう求めた。また接触を避けるためセルフチェックインの利用を義務付けるとしチェックインカウンターでは子供や障害者のみ受け付けると説明。チェックインに関する詳細はウェブサイト(https://support.airasia.com/s/article/What-is-Self-Check-In-en?language=en_GB)で確認できるとし、スムーズな渡航のためにフライト予定の4時間前までには空港に到着することを推奨するとした。

与野党が歴史的な協力覚書締結、党派を超えて危機に対処

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ内閣誕生後の初の国会が13日に開幕。新政権が新型コロナウイルス「Covid-19」対策強化と経済復興に注力できるようにするため、国民同盟(PN)率いる政権与党と野党連合・希望同盟(PH)が党派を超えた歴史的な協力覚書を締結した。

コロナ危機への対処に向けて、権力基盤が不安定なイスマイル政権に野党が協力していくことと引き換えに、野党がこれまで主張してきた政府・議会の改革案に取り組んでいくことを与党政府が受け入れた。

締結式に出席したイスマイル首相は、「Keluarga Malaysia(マレーシア家族)」精神に則った超党派による歴史的協力だと宣言。政治的信条の違いをいったん脇に置くことにより、国家の回復に向けた取り組みが包括的に実行されることを確実にすることができるようになると述べた。

PHからは構成党・人民正義党(PKR)のアンワル・イブラヒム党首(元副首相)、民主行動党(DAP)のリム・グアンエン書記長、国民信任党(Amanah)のモハマド・サブ党首、キナバル進歩統一組織(UPKO)のウィルフレッド・マディウス・タンガウ党首が出席した。

今回締結された「政治安定と改革に関する覚書」に盛り込まれたのは▽新型コロナ対策の強化▽行政改革▽議会改革▽司法の独立▽「1963年マレーシア協定」(MA63)▽運営委員会の設立——の6つの項目。イスマイル首相は、熟議によって意思決定を行なう「熟議民主主義」を目指していくとしている。

改革の具体的内容は明らかにされていないが、イスマイル首相は10日、▽選挙権18歳の引き下げ実施▽政党くら替え禁止法▽首相任期の10年制限——など7項目からなる改革案を提示する考えを明らかにしていた。

新型コロナの感染者数は1万6073人、サラワク州が最多

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は13日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数は1万6,037人となったと発表した。累計感染者数は199万5,771人となった。

州・地域別の感染者数はサラワクが最も多く3,522人だった。それに▽ジョホール(2,030人)▽セランゴール(1,947人)▽サバ(1,649人)▽ペナン(1,243人)▽ケダ(1,191人)▽クランタン(1,070人)▽ペラ(1,011人)▽パハン(878人)▽トレンガヌ(704人)▽クアラルンプール(KL、398人)▽マラッカ(206人)▽ネグリ・センビラン(156人)▽ペルリス(41人)▽プトラジャヤ(16人)▽ラブアン(11人)ーーが続いた。過去最多となる2万4,813人が回復し、累計治癒者は174万6,526人となった。

12日午後11時59分時点のアクティブ感染者は23万7,277人だった。83.1%が自宅療養、10.8%が低リスク者用隔離・治療センター(PKRC)、5.5%が医療機関、残り0.6%が集中治療室(ICU)で療養中。死者数は292人で、累計で2万711人となった。

また同日は新たに34カ所のクラスターを確認した。職場で17カ所、コミュニティで14カ所、残りは医療機関、宗教活動でクラスターが発生した。州・地域別ではジョホールが12カ所で最も多かった。