経済回復速度でマレーシアはトップ、エコノミストらが予想

【クアラルンプール】 ブルームバーグの最新の調査結果によると、多くのエコノミストらは、マレーシアについて新型コロナウイルス(Covid-19)感染症拡大の影響を最も大きく受けた国であるものの、経済の回復速度の速さでもトップクラスと予想している。
来年の成長率に関する最新予測の平均値はマレーシアは5.65%となり、上方修正率は0.85ポイントとアジア太平洋諸国の中でトップとなった。2位のインドは0.80ポイントアップの6.7%。エコノミストたちは、ほとんどのアジア諸国の成長率予測を引き上げたが、タイとニュージーランドは0.2ポイント引き下げられ、インドネシアはほぼ横這いとなった。
マレーシアは、過去1カ月間に1日あたりの新規感染率が世界最高水準となり、政権交代も行なわれたが、当面の経済リスクはないとされている。今年第2四半期の国内総生産は、内需の復興と堅調な輸出に支えられ、16.1%の大幅なプラス成長となった。インドも新規感染者数は半年以上ぶりに落ち着きつつあり、需要拡大による世界最速の成長が見込まれている。
消費者物価動向に関する調査では、ニュージーランドが最も大きく修正され、来年のインフレ率予測は0.9%増の2.3%、シンガポールとオーストラリアも少なくとも0.4%増とされた。ニュージーランドでは移民申請の受付停止により労働力不足が生じており、賃金やインフレ率の上昇に影響しているという。
(ブルームバーグ、ザ・スター電子版、9月21日)

MM2Hの新基準、長期ビザ取得者の大半が満たせず=調査

【クアラルンプール】 外国人の長期滞在を奨励するマレーシア・マイ・セカンドホーム(MM2H)プログラムにおける長期滞在ビザ取得者のほとんどが10月から適用される新条件を満たしていないことが、MM2Hコンサルタント協会(MM2HCA)などの調査で分かった。
10月から厳格化される主要な新条件は、▽海外での収入条件(月4万リンギ)▽定期預金額(100万リンギ)▽流動資産保有額(150万リンギ)ーー。
MM2HCAは、外国人駐在員向けサービスを提供するTEGメディアおよびクアラルンプール日本人会(JCKL)とともに調査を実施。TEGメディアがMM2H長期滞在ビザ取得者925人(主に欧米諸国出身者)を対象に行った調査では、「海外での収入要件を満たせる」としたのは21%、「定期預金額条件を満たせる」と回答したのは44%、「両条件を満たせる」と答えたのは約2.26%にとどまった。JCKLが日本人退職者799人を対象に行なった調査では、90%以上が海外での収入条件を満たしていなかった。
また別の調査では、新条件が適用された場合、55%がマレーシアから撤退する予定だと回答。そのうち497人がタイに、145人がフィリピンに、119人がインドネシア・バリ島にそれぞれ移住すると答えた。
MM2HCAのアンソニー・リュー会長は、政府に対し、既存のMM2H長期滞在ビザ取得者に対しては新条件を適用しないよう求めた。長期滞在ビザ取得者の多くはマレーシアに居住し、経済にも貢献しているため、後から厳格化された条件を課すのは不公平だと主張。また、旧条件下で承認待ちだった5,396件の申請についても条件を変えず承認するよう求めた。申請が通れば、今後5年間で最大63億9千万リンギ相当の経済貢献が見込まれるという。
(フリー・マレーシア・トゥデー、9月21日)

中所得層の20%が低所得層に転落、絶対的貧困率も上昇

【ペタリンジャヤ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は、中所得層(M40)のうち58万世帯が、新型コロナウイルス「Covid-19」感染症拡大に伴う経済の落ち込みにより、低所得層(B40)に転落したと明らかにした。
イスマイル首相によると、58万世帯は、全M40世帯(月収4,850ー1万959リンギ)の20%に相当する。統計局(DOSM)のデータによると、絶対的貧困率は2019年の5.6%から2020年には8.4%に上昇した。
野党議員から貧困の基準値について「現状を反映した基準になっているか」という質問に対して、イスマイル首相は21日、書面で回答。失業率の上昇により、M40およびB40世帯の収入が減少し、貧困ライン以下の世帯数が増加していると説明した。新型コロナの感染症拡大と行動制限令が2020年の家計収入や貧困に与えた影響を調べるため、社会経済的影響調査を実施したことを強調。2022年度からは所得調査、基本設備調査報告を実施し、貧困所得ラインについて見直しを行なうと計画があると説明した。
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、9月21日)

ワクチン接種完了率、成人人口の80%を超える

【プトラジャヤ=マレーシアBIZナビ】 新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチン接種完了率が21日、成人人口の80%を越えた。
マレーシア政府は、「全国新型コロナ予防接種プログラム(NCIP)」の下で10月までに、成人人口の80%に予防接種を終えるという目標を掲げていたが、前倒しで達成した。
イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は、ツイッターに「おめでとう。21日正午に80%を達成した」と投稿。またカイリー・ジャマルディン保健相も「まだワクチン接種をしていない残り20%の国民が、ワクチン接種を終えられるように努める」とツイートした。
政府による新型コロナ関連情報の提供ウェブサイト「コビドナウ(Covidnow)」によると、21日午後11時59分時点で、ワクチン接種を終えたのは1,878万6,636人。全人口のワクチン接種率は57.5%となった。68.0%となる2,222万3,652人が1回目のワクチンを終えているという。

新型コロナの感染者数は1万4990人、セランゴールが最多

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は22日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数は1万4,990人だったと発表した。累計感染者数は214万2,924人となった。
州・地域別の感染者数はセランゴールが最も多く2,414人だった。それに▽ジョホール(1,880人)▽サラワク(1,712人)▽クランタン(1,573人)▽ペラ(1,490人)▽ペナン(1,224人)▽サバ(1,199人)▽ケダ(1,007人)▽トレンガヌ(852人)▽パハン(688人)▽クアラルンプール(KL、338人)▽マラッカ(313人)▽ネグリ・センビラン(170人)▽ペルリス(97人)▽プトラジャヤ(30人)▽ラブアン(3人)ーーが続いた。ラブアンのみゼロだった。また1万9,702人が回復し、累計治癒者は191万7,088人となった。
21日午後11時59分時点のアクティブ感染者は、前日から1,225人減少し、20万6,473人となった。83.7%が自宅療養、10.6%が低リスク者用隔離・治療センター(PKRC)、5.1%が医療機関、残り0.5%が集中治療室(ICU)で療養中。死者数は334人で、累計で2万4,078人となった。
また同日は新たに19カ所のクラスターを確認。職場で9カ所、コミュニティで9カ所、残りは福祉施設、リハビリセンター、医療機関、教育機関でクラスターが発生した。州・地域別ではクランタンが8カ所で最も多かった。