【ペタリンジャヤ】 世界銀行は、28日に発表した最新レポートの中でマレーシアの今年通年の国内総生産(GDP)成長率予想を従来のプラス4.5%からプラス3.3%に下方修正した。根拠として、パンデミックからの復興が進む一方、貧困層や社会的弱者の所得・雇用が回復していないことを挙げている。
外需が成長の追い風になる一方、行動制限令が経済復興の足かせになると予想。また、同レポートでは、新型コロナウイルス「Covid-19」のデルタ変異株の影響により、東アジア・太平洋地域のほとんどの国の成長率予測が引き下げられており、中国(8.5%)以外の地域では2.5%と、今年4月時点の予測4.4%よりも2ポイント近く低くなっている。
世界銀行グループのリードエコノミストのアプルバ・サンギ氏は、第12次マレーシア計画(12MP)で示された「2025年までの年平均4.5ー5.5%の経済成長」という目標について、世界経済における需要と供給の同時縮小により、達成が困難な状況にあると述べた。2021年ー2022年は下降傾向で、2022年以降にようやく成長が期待できるという。一方、デジタル化が輸出へ好影響を及ぼし、ワクチン接種率も向上しているという明るい兆しも見られることから、2022年と2023年の経済成長率は高水準を見込んでいる。
同氏は、12MPで発表された過去最大の開発費4,000億リンギについて、短期的には経済回復や弱者支援のための財政出動は必須だが、債務増加や予算不足に陥る危険も高いため、中長期的な財政戦略を別途考える必要があると述べた。マレーシアでは所得税、法人税、消費税の税収が不足しているとも指摘。徴税の枠組みや税支出、税務管理などを見直し、別の課税形態も検討することで、開発費用を調達できるとした。歳出についても合理化・効率化により削減できるとし、歳入を可能な限り増やし、効率的な歳出を行なうことが重要だと強調した。
(ザ・サン、9月29日、マレーシアン・リザーブ、9月28日)