【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 新型コロナウイルス「Covid-19」の成人ワクチン接種率が州を跨いだ移動が自由化される目安である90%に近づいており、保健省のノール・ヒシャム事務次官は「数日中に解禁になるだろう」と言明。ただし解禁後もマスク着用、社会的距離の維持などの標準的運用手順(SOP)を順守し、定期的にRTK抗原検査を受けるよう呼びかけた。
ワクチン接種率は6日時点で88.8%。前日から0.4ポイントアップしており、このペースだと一両日中にも90%に到達する。6日だけで20万9,907回分の接種が行われた。成人人口の94.6%が少なくとも1回の接種を行っており、12 17歳の未成年も4.1%が接種を終えている。
産業界では期待の声が上がっている。マレーシア旅行代理店協会(MATTA)のタン・コクリャン会長は、州間移動の許可が観光産業の回復を助けるだけでなく、現時点でランカウイだけに利益をもたらしている「トラベル・バブル」とは異なり、全国の中小企業にも利益になる相乗効果をもたらすだろうと述べた。
マレーシア小売チェーン協会(MRCA)も、州間移動の再開が国内観光を回復させ、観光客の高い支出傾向により小売業界にも利益をもたらすと指摘した。
サンウェイ大学のイア・キムレン教授は、より広範囲での経済的・社会的活動が可能になり、それが消費支出を押し上げるだろうとした上で、イスラエルやシンガポールなどのワクチン接種完了国における新たな発症件数の増加は消費者心理を慎重にさせる可能性が高いと指摘した。