【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 テンク・ザフルル財務相は10月29日、下院議会に2022年度(2022年1月1日—12月31日)予算案を提出した。

予算規模は3,321憶リンギで、今年度の3,206憶リンギから増加し、過去最高を更新した。一般歳出は70.3%に当たる2,335憶リンギ、開発支出に756億リンギ、新型コロナウイルス「Covid-19」基金に230億リンギをそれぞれ充てる。分野別では予算全体の40.1%に当たる1,332憶リンギを社会関連に、20.3%を経済関連に、10.3%を安全関連に、4.8%を一般行政にそれぞれ充てる。

今年の財政赤字の見通しは、新型コロナ対策で歳出が3,206憶リンギに拡大した一方で歳入が1.8%減の2,210憶リンギにとどまる見通しであることから、対国内総生産(GDP)比で6.5%に上昇する見込み。2022年は景気回復により歳入が5.9%増の2,340憶リンギに増加すると予想されることから、財政赤字は975億リンギ、GDP比で6.0%に下がる見通し。

■自動車向けSST減免措置を6カ月延長■

2021年12月31日まで延長されている現地組立車(CKD)で100%、輸入完成車(CBU)で50%のSST減免措置を、2022年6月30日まで半年延長する。また電気自動車(EV)の普及に向け、関税、物品税、売上税を免除する。

大きな利益を上げている会社に対して「富裕税」を課す。課税収入1憶リンギまでの法人所得税率は通常の24%でそれ以上は33%とする。

携帯電話やパソコン、タブレットの購入に際しての2,500リンギを上限とした税控除を、2022年末まで延長する。

砂糖の入った飲料の物品税をチョコレートやコーヒー、モルトベースのプレミックス飲料に対象を拡大する。

従業員の従業員積立基金(EPF)最低拠出率を9%に引き下げる措置を2022年6月まで延長する。

海外からオンライン購入する低付加価値商品に対して売上税を課税する。また食品・飲料を除くオンライン購入におけるデリバリーに対するサービス税を導入する。

■来年のGDP成長、5.5ー6.5%と予想■

財務省は同日、「2021/22年経済リポート」を発表。 2021年の国内総生産(GDP)成長率予想についてプラス3-4%、2022年についてはプラス5.5ー6.5%とした。

産業別の今年のGDP成長率は、建設業がマイナス0.8%予想だが、鉱業は1.5%、サービス業が2.6%、製造業が8.1%、農業が0.8%と他は全てプラス成長の見込み。

2022年については鉱業がマイナス0.3%だが、他は建設業が11.5%、サービス業が7.0%、製造業が4.7%、農業が3.8%とすべてプラス成長が見込まれている。

今年の失業率は4.6ー4.8%、来年は4%に下降する見込み。また経済を牽引する内需は今年プラス3.1%となり、来年はさらに6.6%に加速。来年の消費者物価指数(CPI=2010年を100として算出)はプラス2.1%となる予想だ。経常黒字は今年567億リンギで、2022年には556億リンギに減少すると見込まれている。