国外所得課税への変更は税収増に、デロイト見解

【クアラルンプール】 来年度税制で政府はマレーシア居住者が外国で得た所得に課税することを提案しており、外国で活動する企業の税負担は増える見通しだ。会計事務所デロイト・マレーシアのシム・クアンゲク氏は、経済の上向き予想、「富裕税」の導入と相まって、来年度の法人関連税収は8.1%増の655億リンギが見込めるとみている。
マレーシアは国外源泉所得非課税の方式を採用してきたため、国外所得への課税は大きな変化だという。外国で発生した配当をマレーシアで受け取ると課税されることになる。同一の所得が外国で課税されている場合、税額控除が認められるかは財務関連法案で明示される見通しだ。
課税所得が1億リンギ超の企業に課す「富裕税」(税率33%)についてシム氏は、パンデミックで利益が急増した企業を標的にする超過利潤税より施行が容易と評価した。
上場株式の売買では契約書類に課す印紙税を0.1%から0.15%に引き上げ、税額の上限(200リンギ)を撤廃する。キャピタルゲイン税より行政にとり管理が容易とシム氏は指摘した
(エッジ、10月30日)

予算案、歳入増に向けた構造的施策が必要=世界銀行

【クアラルンプール】 世界銀行は、2022年度予算案について、財政赤字の解消のため、より構造的に歳入を増やす必要があると発表した。
世界銀行のシニアエコノミストであるシャキラ・テー・シャリフディン氏は10月30日、オンライン購入の物品・配送に対する売上税・サービス税、1憶リンギ以上の利益を上げた企業に対する富裕税、パンデミックで打撃を受けた観光業などの業界や中小企業への支援策など、2022年予算案を評価しつつも、歳入額全体としては十分ではないとし、歳入の増加のためにはより持続可能で構造的な対策が必要だと述べた。富裕税は2022年の1回限りであり、長期的な影響を及ぼさないという。
政府は2022年度の財政赤字を国内総生産(GDP)の6.0%までに収めることを目標としているが、歳入はGDPの約14.3%程度に止まると予想されている。
(ベルナマ通信、10月30日)

上場企業に1人以上の女性役員任命、来年9月から義務付け

【クアラルンプール】 ブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)上場企業は、来年9月から女性役員を1人以上置くことを義務付ける。来年度予算案発表の中でテンク・ザフルル財務相が明らかにした。
意思決定プロセスにおける女性の役割を認識し、リーダーシップと役員会を機能を強化すると共に女性の貢献度を高めるのが狙い。達成期限は大企業の場合は2022年9月、その他の企業は2023年6月とする。テンク・ザフルル財務相によると、ノルウェー、スペイン、イタリアなどではこうした規定が既に導入されており、アジアではインドが導入しているという。
「ザ・スター」によると、上場企業926社のうち、役員の30%以上を女性が占めている企業は160社のみで、率にして17.2%。261社は女性役員がゼロだった。トップ100社でみた場合、女性役員の登用率は高めで、役員の30%以上を女性が占めている企業は38社、女性役員がゼロだったのは4社にとどまっている。
企業における女性の地位向上を目指す30%クラブ・マレーシアによると、上位100社の女性役員比率は25.5%に達しており、目標の30%まであと4.5ポイントとなっている。
(ザ・スター、11月1日、フリー・マレーシア・トゥデー、10月29日)

新型コロナの感染者数は4626人、2日連続で4千人超

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は1日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数は4,626人だったと発表した。累計感染者数は247万6,268人となった。
10月31日午後11時59分時点のワクチン接種完了者数は、2,445万3,198人で、接種率は74.9%。成人の接種者数は2,236万1,734人で、接種率は95.5%となった。1人の感染者が何人に感染を広げる可能性があるかを示す基本再生産数(R0/RT)は0.95だった。
31日の新規感染者は4,979人だった。6,127人が回復し、累計治癒者は237万4,761人。死者数は36人増え、累計で2万8,912人となった。アクティブ感染者は、1,184人減の6万7,969人。アクティブ感染者数のうち、77.6%が自宅、12.9%が低リスク者用隔離・治療センター(PKRC)、8.8%が医療機関、0.8%が集中治療室(ICU)で療養中となっている。
また新たに6カ所のクラスターを確認。教育機関で3カ所、コミュニティで2カ所、職場で1カ所となった。州・地域別では、ペナン、ネグリ・センビラン、パハン、セランゴール、クランタン、ジョホールでそれぞれ1カ所のクラスターが発生した。

選挙年齢の18歳への引き下げ、来年1月より実施へ

【クアラルンプール】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は、選挙権年齢の21歳から18歳への引き下げ(Undi18)について、先のサラワク州クチン高等裁判所の判決に基づき2022年1月から実施すると発表した。1月1日から選挙人名簿への自動登録が開始される。
選挙年齢の引き下げは憲法改正により2019年7月に可決成立していたが、その後も実施は引き延ばされ、選挙委員会(EC)は今年3月には準備に時間が必要であるため2022年9月にならないと実施できないと主張し、閣僚の間からも不満の声が上がっていた。
こうしたことを受けサラワク州の若者5人が、憲法で定められたにも関わらず同州の18歳から20歳までの13万5,000人の若者に選挙権を与えないのは不当だとする行政訴訟を起こし、クチン高裁は9月3日、2021年12月31日までに実施するよう命じる判決を下していた。
イスマイル首相によると、先の閣議でサラワク高裁判決に対して上告しないことを決定した。
(マレー・メイル、ベルナマ通信、10月30日)