5G導入によりGDPは2030年までに5%増加=EY調査

【クアラルンプール】 アーンスト・ヤング・コンサルティング・サービス(EY)の最新レポートによると、5G(第5世代無線通信)技術の導入により、2030年までにマレーシアの国内総生産(GDP)は5%(1,220億リンギ)増加し、14万8,000人の雇用が創出されることが予想されている。
「マレーシアにおける単独卸売制5Gネットワーク(SWN)の経済効果予測」は、統計局データ、第三者データ、業界リーダーへのインタビューから作成されたもので、国家デジタル経済・第4次産業革命委員会の会議に合わせ、デジタル・ナショナル(DNB)により発表された。DNBは5G基盤整備のために国が設立した特別目的事業体で、各通信業者に5Gネットワーク回線を卸販売する立場。
同レポートによると、5Gの導入により効率性と生産性が向上するだけではなく、デジタル産業の拡大や新規企業の参入によりGDPは増加することが予想されている。DNBが5Gに直接投資することで、GDPに209億リンギの追加貢献が期待でき、そのうち79億リンギ(38%)は、DNBの営業活動による直接貢献、残り130億リンギ(62%)はサプライチェーンなどを通じた間接貢献となる。5G展開のピークを迎える2022年には1万4,800人以上の雇用が創出され、5G展開に必要な費用は、政府の歳出を必要とせずDNBを通じて民間企業が負担することになるという。
DNBは、SWNは特に農村地帯において高品質なブロードバンド接続を加速させるため、デジタル格差を解消し、より公平な競争環境を提供できると強調。農村での教育や雇用の機会が増え、必要な医療サービスへのアクセスも改善されることで、農村の経済成長が促進され、農村地帯の企業がオンライン市場を活用し規模を拡大する機会も増えることになるとした。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月17日、ベルナマ通信、11月16日)

若手社員の72%、より良い仕事求めて海外転職を検討

【クアラルンプール】 マレーシアでは若手社員の72%がより良い仕事を求めて海外転職することを検討している。
中小企業向け人材サービス会社エンプロイメント・ヒーロー社が、今年8ー9月に▽マレーシア▽シンガポール▽オーストラリア▽ニュージーランド▽英国ーーの各国で従業員の移動・残留に関する調査を実施、この度調査結果を発表した。マレーシアでは1,004人から有効回答を得た。
「今後1年以内に新しい仕事を探すことを計画している」と回答したのはマレーシアで61%となり、調査対象国の中で最も高い割合となった(シンガポール59%、オーストラリア48%、ニュージーランド50%、英国55%)。マレーシア人が退職したい理由としては「キャリア開発ができない」(36%)が最も多く、次いで「評価・承認が得られない」(27%)、「トレーニングの機会がない」(26%)が続いた。その他「昇給がない」「経営難」「過労」「柔軟性の欠如」などが挙がった。
ベン・トンプソン共同創立者兼最高経営責任者は、パンデミックの影響によるキャリアの方向性の変更や国境再開後の海外移住を計画する人が増加していると言明。マレーシア人の24%が自分の仕事を「大好き」、45%が「好き」と答える一方で、そのほとんどが退職を計画しているのは問題であり、雇用主は退職希望者を引き止めるために自社の経営方針、労働文化、定着戦略を見直す必要があると強調した。
(ベルナマ通信、11月16日)

MRTプトラジャヤ線第1期の開業、来年第2四半期に延期

【ペタリンジャヤ】 鉄道開発のMRTコープは16日、首都圏大量高速輸送(MRT)プトラジャヤ線(MRT2、旧称スンガイブロー—セルダン・プトラジャヤ線)の第1期を11月末に開業する予定だったが、来年第2四半期に延期すると発表した。
モハマド・ザリフ・ハシム最高経営責任者(CEO)は、新たな開業日については来年3月以降に発表すると明らかにした。開業の延期を決めた理由については、クワサ・ダマンサラからカンポン・バトゥ(全長17.5キロメートル)を結ぶ第1期では今年4月29日より試運転を行なっていたが、最終段階となる詳細な検査やシステムの動作確認が完了していないためと説明。これまで3,000時間以上に及ぶデータを収集したところ、改善すべき点が見つかったと明らかにした。
一方でジョホールバルとシンガポールを結ぶ高速鉄道輸送システム(RTS)の工事について、モハマドCEOは、2027年1月の運転開始に向けて順調に進んでいると説明。建設予定地での水道管の移設問題や立ち退き拒否が起きているが、運転開始が遅延することはないと強調した。
(エッジ、マレーシアン・リザーブ、11月16日)

駐在員が海外出張先でクーデターに巻き込まれたら?

本シリーズは、在マレーシア日系企業の駐在員の皆様むけに、万が一の際に従業員を守る対策・リスク管理の方法について、危機管理サービスをワンストップで提供するTASKAL RESOURCES SDN.BHDのご協力のもと、実際に起こりうる場面を想定してお伝え致します。

ご相談事例:出張先でクーデターに巻き込まれた

ミャンマーへ出張中にクーデターに巻き込まれた。
* 軍の情報統制により、国際電話回線、海外情報に繋がるインターネット回線は断続的に遮断されおり、マレーシアの総務担当者や日本本社と連絡を取ることが出来ない。
* 国内の電話回線、インターネット回線はかろうじて繋がっている。
このような状況に陥った場合のアドバイスを頂けないか?

弊社では、このようなお問合せを受けた際に、電話回線、メール以外の社内コミニケーションツールと危機管理ツール(海外旅行傷害保険等)を紐づけた簡易な緊急体制構築を日常から準備しておくようにアドバイスをしております。ただし、企業が管理できない無料コミニケーションツール(情報漏洩対策が出来ていない)の業務利用を黙認している場合には注意が必要となり、以下のようなリスクが想定されます。

想定されるリスク

弊社では、海外現地との緊急時連絡体制について常時複数の連絡手段を持つようにお勧めしています。
電話回線の場合、遮断や利用制限によって繋がらなくなると、繋がるまで掛け直す必要があります。
インターネット利用のメールやアプリ通信においても、インターネットが遮断された場合、海外現地と繋がらなくなる状況は同じですが、インターネット上で発信された安否確認は、ネットが繋がり次第、現地側で受信出来ますので電話連絡より遥かに効率的で確認スピードも速くなります。
なお、e-mailでは状況により確認に時間がかかることがありますので、スマホで簡単に連絡が取れる通信アプリのチャット利用も考えておくとよいと思います。ただし、LineやWhatsApp等の無料アプリでは、情報セキュリティ上の問題がありますので、日常の業務利用も含めて業務用通信アプリの導入をお勧め致します。

通信手段を失った孤立状態となれば、次の行動を決定する為の情報収集をする事が不可能です。自社現地法人に身を寄せるにも、そもそもその場所が安全なのか?仮にそこが安全だとしてもそこまで無事にたどり着くのか?とにかく情報がない状態となってしまいます。

→独自の判断で動くことでより危険な状態に陥る事がある。

→判断出来ずに迷っている事で、安全を確保する機会を逸する場合がある。

→現地法人スタッフ(ましてや取引先)も同様の事態にあり、出張者へのサポートや配慮は極めて限定的になる。

→不幸にも具体的な被害に巻き込まれた場合、残されたご家族から会社が訴えられる可能性がある。

それでは、このようなリスクにどのように備えることが出来るでしょうか?

以下4つの確認が必要です。

すぐに出来るリスク対策

企業は、業務命令で出張させる社員に対して「安全配慮義務」を負うことになります。海外出張者は、緊急事態発生時に現地在住者と比べて大きなハンデを負っています。

それは「言葉」、「土地勘」、「現地での協力者」です。
まず、言葉が分からないと状況把握が困難です。英語に堪能な方でもCNN等のニュースでは、センセーショナルな映像が流れクーデターが発生している事は分かっても、いつ、市内のどの場所で、何が発生しているか、具体的な情報は得られません。
また、場所名が分かっても土地勘が無いと、それが具体的にどこなのか、そこを迂回するにはどこを通ればよいの分かりません。
現地在住者であれば、現地語での情報も取れ、土地勘もあり、親族・友人知人からの情報やアドバイスも得られますが、企業の出張者はこの全てにおいてハンデを負っている事になります。企業としては、このハンデを補完して安全を確保出来るようにする義務があります。

ミャンマーでは、反政府抗議デモを阻止するため、計画的に電話やインターネット回線が遮断されました。抗議者側は、これを回避するため、ネットが繋がったタイミングでSNSによるデモの場所、時間等を発信しゲリラデモを実施しています。即ち、外出時にデモとの遭遇を回避するには、常時ミャンマー語でSNS発信されるデモ情報を入手し、デモとの遭遇を避ける行動を取る必要があります。皆さんは、このような事態に対応する体制が出来ていますか?

もし、出張者が現地のデモに巻き込まれ死傷することがあれば、企業としての安全配慮義務を問われる事になりかねません。このような事態になれば、企業としての社会的信用を含めた損失は計り知れません。

会社が公認出来る類の音声通信·チャットアプリを携帯させる

会社公認の音声通信·チャットアプリと自社導入済み危機管理ツール(海外旅行傷害保険やその他危機管理サポート)を日常から連携させておく

自社や取引先以外での現地サポート体制を準備しておく

上記①~③の連携が機能しているか、1年に1度は訓練を行う

クーデターに関わる被害については残念ながら海外旅行傷害保険のサポート対象外となります。また暴動の拠点は流動的であり、情報も錯綜しますので、孤立した出張者が正しく情報収集する事は不可能です。
このように最悪の事態に陥る前の日常的な準備が肝要です。特に①については企業独自でも安価・簡易に対応出来ますので身近な危機管理として準備しておく事が重要です。

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また、企業で加入している医療保険・海外旅行保険等でどのようなサービスを受けられるのかを事前に確認しておく事で、緊急時でもスムーズな対応が可能です。
危機管理対策を外注化する事で、実際に情報収集にかかる時間を短縮し、万が一の際にも従業員を守る対策が可能となります。

TASKAL RESOURCESを通してのマレーシアでの情報提供手配事例
【対応所要時間】
・現地情報収集:SOSコール入電後約1.5時間程度
・手配対応:SOSコール入電から約2時間程度
詳細はこちらからご覧いただけます。

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24時間対応サポート体験

弊社では、ビジネスニュースご購読者様、および「マレーシア労務ナビ」会員様に向けに、 TASKAL RESOURCES SDN.BHDのご協力のもと、駐在員の皆様の疑問にお答えする電話・メールでの24時間サポート体制を確立しました。貴社での情報収集・リスク対策についてのご相談にも対応しております。

質問対応例

  • 従業員がコロナにかかった場合、まずどこに連絡すべきか?
  • コロナ感染で生じる被害に備える保険はマレーシアにあるか?
  • 業務中にコロナ感染した場合に企業がすべきことは?

1ヶ月無料体験をご用意しております。ご質問やご相談をご希望の方は以下記事よりお申し込み下さいませ。

「その他ご要望」に「リスク対策」とご記載頂けましたら、折り返しサポート担当よりご連絡致します。

ワクチン追加接種、11月22日からキャンセル待ち登録可能に

【クアラルンプール】 カイリー・ジャマルディン保健相が議長を務める新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチン追加接種作業部会(CITF-B)は、11月22日から全国の医療施設ワクチン接種センター(PPV)における追加接種のキャンセル待ち登録を受け付けると発表した。
接種予約のキャンセルがあった場合に、キャンセル待ち登録をした人に連絡が行く仕組み。接種日が決まっていない人や予定日時を前倒しで打ちたい人に対応することができるほか、ワクチンがムダになることを防ぐ効果もある。
キャンセル待ち登録は、ウェブサイト(www.protecthealth.com.myに掲載されるリストにあるPPVに直接出向いて行うか、電話や電子メールでも可能となっている。
追加接種は▽医療・治安・国防の最前線従事者▽40歳以上の個人▽基礎疾患のある18歳以上の個人▽長期療養施設の居住者と職員▽妊婦▽海外に行く必要のある人ーーが優先されることになっている。
なおキャンセル待ち登録は、1、2回目の接種をまだ終えていない成人や12ー17歳の青少年も利用することができる。
追加接種は10月に開始され、これまでに100万回分以上の接種が行われている。
(ベルナマ通信、11月16日)

新型コロナの感染者数は6288人、5日ぶりに6千人台に増加

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は17日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数は6,288人だったと発表した。累計感染者数は256万3,153人となった。
16日午後11時59分時点のワクチン接種完了者数は、2,488万2,008人で、接種率は76.2%。成人の接種者数は2,233万2,571人で、接種率は95.4%となった。1人の感染者が何人に感染を広げる可能性があるかを示す基本再生産数(R0/RT)は1.04に下がった。
16日には6,013人が回復し、累計治癒者は246万1,780人。死者数は40人増え、累計で2万9,769人となった。アクティブ感染者は、640人減の6万5,316人。アクティブ感染者数のうち、77.7%が自宅、12.6%が低リスク者用隔離・治療センター(PKRC)、8.9%が医療機関、0.8%が集中治療室(ICU)で療養中となっている。
また新たに7カ所のクラスターを確認した。うち5カ所が職場、コミュニティと教育機関それぞれ1カ所となった。州・地域別では、ペナン、ケダ、ジョホール、セランゴール、KL、クランタン、マラッカで確認。現在感染者を出し続けているアクティブなクラスター数は252カ所に増えた。

5G通信網整備費用が2倍に、サービス開始に遅れの可能性

【クアラルンプール】 第5世代移動通信(5G)ネットワークの整備が遅れる見通しだ。整備費用が当初見込みの110億リンギから200億リンギに膨らんでおり、通信事業者がネットワーク利用契約の締結に慎重になっている。
アナリストによれば、5G基盤を構築する国営事業体のデジタル・ナショナル(DNB)に、通信事業者はネットワーク利用料金の変更を申し入れており、契約締結に至っていない。
通信事業者が問題にしているのは構築費用の急増で、当初見込みは110億リンギだった。DNBは基盤整備費用を、人件費などを理由に165億リンギに修正。さらに2030年までには200億リンギになる可能性があるとした。
ケナガ・インベストメント・バンクによれば、こうした不透明性を通信事業者は問題にしている。楽天トレードのアナリストも、全体像が明らかになるまで通信事業者が契約締結に慎重になるのは当然との意見だ。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月16日)

ペラ州政府、イポー市へのLRT導入を検討

【イポー】 ペラ州政府は、イポー市への軽便鉄道(LRT)導入を検討している。
住宅地方自治委員会のノリー・アシリン委員長は、イポー駅周辺の交通ハブの開発からスタートするが、開発には約60ヘクタールの面積が必要であり、コストや期間についてはまだ検討中であるとした。イポーでは現状、住民の多くが公共交通機関ではなく自分の車で移動しているため、交通ハブを効率的で近代的なものにし、LRT以外にも高速バスや通常バス、トラム、タクシーなど、都市の総合交通システムを強化していくという。交通システム整備にあたっては、都市周辺の山や石灰岩丘の保護にも注力するとし、開発案に107のプロジェクト、256の行動プランが策定されていると述べた。
同委員長はまた、「イポー広域圏観光地域行動計画およびブランディング」について、既存の観光商品だけではなく、関連自治体が一丸となり導入した新しい観光商品も含まれており、具体的には▽イポーをヒップスター観光の拠点にする▽バトゥ・ガジャをヘルスツーリズムの拠点とする▽ゴペンの「エコ・アドベンチャー・キャピタル」の広報宣伝▽王都クアラカンサーの活性化ーーなどの案が含まれているとした。
(ベルナマ通信、11月15日)

ランカウイで外国人旅行者の受け入れを再開

【ランカウイ】 国内旅行者向けの「トラベルバブル」第一号となったケダ州のリゾート島、ランカウイで、15日から外国人旅行者を対象とした試験運用が開始された。
ランカウイで外国人旅行者を受け入れるのは20カ月ぶり。当面は3カ月間の試験運用だが、国内観光業の復興を下支えするために来年1月からの本格的な国境開放を目指すマレーシア政府や観光業界はランカウイでの成果に注目している。ランカウイ開発公社(LADA)では年内に5,000人の誘致を目指す方針を示しており、2,440万リンギの観光収入を見込んでいる。
まだ国際直行便が運航を再開していないため、当面はクアラルンプール(KL)経由となる。▽公認旅行代理店を通じて予約すること▽ワクチン接種を完了したこと▽18歳未満の未接種者は接種を完了した保護者の同伴が必要▽最低3日間の滞在▽情報・追跡アプリ「MySejahtera」ダウンロード▽渡航72時間前のRT-PCR感染検査の陰性証明▽8万米ドル以上の海外旅行保険加入——などが許可条件となっている。感染検査はランカウイ到着時にも行われ、陽性反応が出た場合に隔離する旅客を受け入れるホテル20カ所(118室)を確保している。
一方、9月16日に開始された国内向けトラベルバブルについては、これまでに7万7,939人の旅客が利用し、観光収入は8,030万リンギに上っている。.
(ザ・スター、ベルナマ通信、11月15日)

JICA、新型コロナワクチン用保管機器をマレーシアに供与

【クアラルンプール】 国際協力機構(JICA)は、マレーシア保健省に新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチン用保管機器を供与したと発表。15日に在マレーシア日本大使館の岡浩大使、カイリー・ジャマルディン保健相臨席のもと引き渡し式典を開催した。
供与されたのは▽冷蔵庫(ワクチン収納150L)184台▽アイスボックス(同8.0L)1,163個▽アイスボックス(同1.67L)180個▽温度記録計1,579個——で、総額約600万リンギ(1.6億円)。
マレーシア政府の要請に基づいて実施したもので、JICAの技術協力プロジェクト「新型コロナウィルス対策ワクチン流通体制強化計画」を通じた協力の一環。機材は今年9、10月の2カ月でマレーシア13州・3連邦直轄地へ供与した。
JICAはこのほか新型コロナ対策として国家災害対策庁やセランゴール州防災局に対する個人用防護具の供与、マレーシア日本国際工科院(MJIIT)を通じた研究開発等の継続的な支援を行っている。
日本政府はマレーシアに5億円相当の医療機器を無償提供すると発表しており、日本で製造したアストラゼネカ製ワクチン100万本の供与を行なっている。
(ザ・サン、11月16日、JICA発表資料)