来年度予算案に「驚く要素」盛り込む=イスマイル首相

【クアラルンプール】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は、29日に発表される2022年度予算案について、「Keluarga Malaysia(マレーシア家族)」精神に則ってすべての国民に恩恵をもたらす「驚く要素」が盛り込まれると言明した。
イスマイル首相は、予算案が「国民から、国民による、国民のため」の予算案になると言明。新型コロナウイルス「Covid-19」によってもたらされた国難から誰も取り残されないように配慮したものなるとした上で、B40、M40グループや零細業者への支援、中小企業が資金を利用できるようにするための支援策が盛り込まれると言明。失業対策として多くの雇用を創出し、新常態への転換と共に国と経済をパンデミック前のレベルに戻すものになると強調した。
イスマイル首相は、予算案策定にあたって包括的で透明性のあるものとするために政府のネットを通じて募った5万を超える一般国民からの提案を考慮したと言明。パンデミックによって悪影響を受けた企業を回復させ、労働者に恩恵をもたらす税制上の優遇措置を求める産業界の声にも配慮したと述べた。
(ザ・スター電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、10月27日)

ベルジャヤ、ペルリス初の「スターバックス」を年内オープン

【クアラルンプール】 ベルジャヤ・フードは、年内にペルリス州に初のコーヒーチェーン店「スターバックス」の新店舗をオープンする。これにより全州に出店することになる。
ベルジャヤ・フードが26日、ブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に提出した年次報告書によると、2022年度(2022年6月30日締)には通常店38店舗に加え、高級ライン「スターバックス・リザーブ」のドライブスルー対応店1店舗の新規出店を計画している。今後は、地元の人々が親しみを感じられるようなマレーシア独自の要素を織り込んだ店舗デザインに注力し、顧客の好みに応じた革新的な食品・飲料の提供を続ける。同時にポイントプログラム「スターバックス リワード」を推進し、顧客管理システムの改善などIT強化にも取り組む。また、地域活性化への取り組みの一環として、地元からの食品の原材料調達を続けるという。
ベルジャヤ・フードの完全子会社であるベルジャヤ・スターバックス・コーヒーが国内のスターバックスを運営。第1号店は1998年12月17日、クアラルンプール中心部にある「ファーレンハイト88」(旧KLプラザ)内にオープン。今年3月には国内最大規模のスターバックス・リザーブ店舗である「トロピカーナ・ガーデンズ・リザーブ」、5月にはスターバックス・リザーブのドライブスルー対応店「エコ・マジェスティック」を開店した。今年6月30日時点でペルリス州を除く州・地域で合計327店舗を展開。今年新規オープンした6店舗を含め、ドライブスルー対応店は合計58店舗に及んでいる。
(エッジ、10月26日、ベルジャヤ・フード発表資料)

タイとの現地通貨決済枠組みを拡大、相手国居住者にも適用

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシアとタイの中央銀行は26日、互いの現地通貨による決済の枠組みを拡大することで合意した。12月1日付で施行する。貿易、直接投資の決済に米ドルなど主要通貨ではなく、リンギ、バーツの利用を推進する。
同枠組みでは、マレーシアの事業体、個人はマレーシアでバーツ建て金融サービスを利用でき、外為リスクを軽減できる。
新たな枠組みでは、マレーシアに居住するタイの個人、タイに居住するマレーシアの個人も適用対象にする。当局は文書の簡素化など外為手続きもさらに柔軟にする。
合意書の署名に当たったタイ中銀のマテー・スパポンセ副総裁は「枠組み拡大は東南アジア諸国連合(ASEAN)の金融統合にも貢献する」と述べた。
今回、HSBC、スタンダード・チャータード銀行のマレーシア、タイ法人が取り扱い行に認定された。マレーシアで既に認定されている銀行には日系のMUFG(マレーシア)が含まれる。
マレーシア、タイはインドネシアとも同様の協定を交わしている。

第3四半期の求人数、前年比2.5倍に=JACリクルートメント

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ジェイエイシー(JAC)リクルートメントは26日、2021年7ー9月の「アジア各国のホワイトカラー人材紹介市場の動向」を発表した。マレーシアの求人数は前年同期に比べ2.5倍となったが、前期比では5%減少した。
段階的な規制緩和とともに、各社の採用意欲も少しずつ回復している状況がうかがえた。特に外資系の求人数に関しては、前期比、前年同期比、コロナ禍前の2019年の同期比で見ても増加しており、各社の積極な姿勢が見られた。一方で日系企業の求人は、2019年同期比で8割弱程度と新型コロナ発生前の状態までには至らないものの、一部新規採用を凍結していた企業も交代要員の採用を中心に、採用意欲が回復。特にフェーズ3に入った9月半ばから、日系企業の中でも特に電気・電子部品メーカー、商社、建築業を中心に採用活動が活発化している。
業界全体を俯瞰し2019年第1ー3四半期と今年の同時期の求人数を比較した場合、ヘルスケア・製薬(355%増)、ペイメントソリューションを含む金融(227%増)、ICT(54%増)が伸展著しい業界となっている。また、日系・非日系を問わず、マレーシアへの新規参入・新規投資(セミコンダクター・メディカルが中心)と共に、政府の積極誘致政策もあり、スタートアップ企業からの求人需要も増えており、コロナ禍以前との大きな違いが出ている。
求職者の動向としては、日本での緊急事態宣言解除と共に、転職活動を再開する求職者が増えている。一方、就労ビザ発給については、今までの未処理案件の累積により依然として遅延傾向が続いているものの、新フェーズ移行にともない徐々に解消されつつありる。
マレーシア人の求職者は、まだ慎重姿勢を崩していないが、キャリアパス、安定性、基本給の15ー20%増が見込める求人に対しては積極的に応募をしている。IT人材については引き続き需給が逼迫しており30%、時には50%増の給与レベルを提示する企業も出ている。またリモートワークが長期化し浸透する中で、柔軟な勤務形態を求める求職者が増えているのも最近の傾向となっているという。

新型コロナの感染者数は6148人、再び6千人上回る

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は27日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数は6,148人だったと発表した。累計感染者数は244万8,372人となった。
26日午後11時59分時点のワクチン接種完了者数は、2,404万2,758人で、接種率は73.6%。成人の接種者数は2,219万1,734人で、接種率は94.8%となった。1人の感染者が何人に感染を広げる可能性があるかを示す基本再生産数(R0/RT)は0.91に上昇した。
26日には5,607人が回復し、累計治癒者は累計で234万390人。死者数は84人増え、累計で2万8,576人となった。アクティブ感染者は、35人増の7万3,258人。アクティブ感染者数のうち、77.1%が自宅、13.1%が低リスク者用隔離・治療センター(PKRC)、9.0%が医療機関、0.8%が集中治療室(ICU)で療養中となっている。
また新たに7カ所のクラスターを確認。職場で5カ所、教育機関とコミュニティでそれぞれ1カ所となった。州・地域別ではジョホールで2カ所、ケダ、サバ、ネグリ・センビラン、マラッカ、ペラでそれぞれ1カ所のクラスターが発生した。

コロナで保険意識高まるも加入率は38%=チューリッヒ調査

【クアラルンプール】 保険大手のチューリッヒ・マレーシアが実施した調査で、新型コロナウイルス「Covid-19」パンデミックが国民の保険に対する意識を高めることになったものの、保険料負担がネックとなって加入率が38%にとどまっていることが分かった。
新型コロナが国民の保険に対する意識に与えた影響に関する調査は9月下旬に実施したもので、1,201人から回答を得た。84%が新型コロナによって保険加入の必要性に対する認識が高まったと回答。72%は余裕があれば最大200リンギを保険に充てたいと答えた。
一方で62%は新型コロナが保険商品の購買力に影響を及ぼしたと回答。38%がいまだ個人向け生命保険に加入しておらず、そのうち60%が金銭的理由を挙げた。加入する余裕がないと答えた率は全体の23%に上った。
ただ非加入の理由については、保険に関する情報が乏しいとの回答も29%あり、不要と思うとの回答も23%、保険業に対するネガティブ感情を理由に挙げた率も10%あった。また雇用者が加入している保険があるから不要との回答も12%あった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ボルネオ・ポスト、エッジ、10月26日)

第2四半期のオンライン求人数、4四半期連続増加=統計局

【ペタリンジャヤ】 統計局の発表によると、今年第2四半期のオンライン求人情報数は4四半期連続で増加の9万502件となり、第1四半期の9万218件からは0.3%(284件)増加した。
国内で最も求人数が多いのは広告・マーケティング分野で、現在7,000件以上の求人がある。その他の職種では、▽事務系専門職(5,653件)▽取締役・最高経営責任者(4,112件)▽会計士・監査役(3,675件)▽ソフトウェア開発者(3,296件)ーーなどの求人が多くなっている。専門職の求人が50.8%で、次いで技術者および準専門職(19.2%)、管理職(18.4%)。求人の多い業種は、▽科学技術▽製造業▽卸売・小売業▽自動車・オートバイ修理業▽金融・保険▽宿泊・飲食サービス業ーーなど。州・地域で見ると、クアラルンプールがトップで4万2,163件、これに▽セランゴール州(1万7,696件)▽ジョホール州(6,403件)▽ペナン州(5,598件)▽ペラ州(1,237件)ーーが続いた。
求人の63%が技術職業教育訓練(TVET)関連の職種で、次いで科学技術・工学・数学(STEM)関連が27%。STEMカテゴリーでは、ソフトウェアエンジニアの求人が850件でトップとなり、▽プロジェクトマネージャー(754件)▽グラフィックデザイナー(725件)▽技術者(723件)▽エンジニア(490件)ーーと続いた。
今年8月の失業率は、7月に比べて0.2ポイント減少の4.6%。失業者数も前月比で3.8%減少し、6月と7月に増加した後初めての減少となった。統計局は、国内経済が回復するにつれ、労働市場も回復傾向にあると指摘。感染状況の見通しの不透明さが今後数ヶ月間の労働市場にも影響を与える可能性があるが、国家復興計画(NRP)により経済を安全に再開したことで経済も徐々に回復していくと予想した。
(ザ・スター、10月26日)

輸出競争力強化の5カ年計画を発表、モノの輸出で地位回復へ

【クアラルンプール】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は25日、輸出競争力を強化するための5カ年計画「国家貿易青写真(2021ー2025年)」(NTBp)を発表した。マレーシアは2000年代初頭には輸出額で世界20位以内にランクされていたが、10年以降は競争力を弱め輸出シェアが縮小し、タイ、ベトナムに抜かれている。
青写真はマレーシア貿易開発公社(MATRADE)がまとめた。8つの戦略、40の実行可能な行動計画で構成している。官民が協力して貿易分野の多角的な構造改革に取り組み、モノの輸出で上位20位以内の地位回復を目指す。
推進には官民の専門家で構成する作業グループが当たり、輸出にかかわる省庁の担当者で構成する委員会が監督する。
マレーシアは世界経済フォーラムの国際競争力指数でも2018年の25位から2019年は27位に順位を落としており、技術、金融面の立ち遅れをNTBpは指摘した。ベトナム、タイ、インドネシアが外国直接投資(FDI)を増やすなか、マレーシアは減少していることも競争力の低下を示しているという
(マレー・メイル、ベルナマ通信、10月25日)

緊急令の廃止、下院議会で正式可決

【クアラルンプール】 下院議会は25日、非常事態宣言下で発令されていた7つの緊急令の廃止について全会一致で可決した。感染対策に関する緊急令の廃止に伴い、違反した際の罰則や罰金も引き下げられる。
 廃止の対象となるのは、▽2021年緊急令(基本権限)▽2021年改正緊急令(感染症の予防と制御)▽2021年改正緊急令(従業員の住宅、宿泊施設、アメニティの最低基準)▽2021年緊急令(基本権限)第2号▽2021年改正緊急令(基本権限)▽2021年改正緊急令(犯罪者の強制出頭)▽2021年改正緊急令(国家信託基金)ーー。
 審議では、多くの議員が非常事態は失敗だったとし、緊急令の失効についても、非常事態宣言終了後ではなくもっと早い段階で議論すべきだったとの見解を示した。
非常事態宣言は8月で終了したが、緊急令については先ごろワン・ジュナイディ首相府相(法律・国会担当)が「来年2月まで引き続き適用される」と述べていた。
緊急令については、7月に当時首相だったムヒディン・ヤシン氏が、アブドラ国王の承認なしに無効にすると発表したことで大きな非難を浴び、政権維持のための過半数議席が確保できなくなり、その結果首相を辞任するに至った。
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、10月25日)

ランカウイの外国人観光客への開放、全ての国が対象

【クアラルンプール】 11月15日からランカウイが外国人観光客にも開放されることになったが、ナンシー・シュクリ観光芸術文化相は、一部の国だけでなく全ての国を対象とすると明らかにした。
先の発表では対象国を一部の国に限定するとなっており、外務省、保健省、および入国管理局が対象国を決定するとなっていた。ナンシー大臣は新型コロナウイルス「Covid-19」蔓延を抑制するための厳格な手続きが実施されることから制限を設けない方針が採用されたと説明した。
外国人観光客はすべて観光省に認定されたツアーオペレーターを通すことが求められ、感染が発覚するなどの問題が生じた際はツアーオペレーターが責任を負う。
ランカウイの外国人観光客への開放は3カ月間の試験運用で、▽ワクチン接種を完了したこと▽18歳未満の未接種者は接種を完了した保護者の同伴が必要▽最低3日間の滞在▽情報・追跡アプリ「MySejahtera」ダウンロード▽渡航72時間前のRT-PCR感染検査の陰性証明▽8万米ドル以上の海外旅行保険加入——などが許可条件となっている。
(ベルナマ通信、マレー・メイル、10月25日)