シャアラムで「SMARTトンネル」建設を検討へ

【クアラルンプール】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は、昨年末に各地で61億リンギもの被害をもたらした大規模洪水の教訓から、地下道と排水路を兼ねる「SMARTトンネル」をセランゴール州シャアラムなど人口密度の高い都市に整備する方向で検討する考えを明らかにした。
「SMARTトンネル」建設はイスマイル首相が議長となって3日に行われた中央災害管理委員会(CDMC)会議で合意したものの一つ。トンネル構造は階層状となっており通常は最上層部が高速道路として利用されるが、洪水の懸念が高まった場合には一時的に巨大な排水溝となり、都市部への被害を軽減する。マレーシアでは現在、ジャラン・トゥン・ラザクの地下に設置されている。
CDMC会議ではまた、災害対策の取り組みのために関連の省庁が経常予算および開発予算の5%を確保すること、環境水省が提案した17の短・長期的対策についても原則的に合意した。合意された対策案には、恒久的な避難所整備や必需品の備蓄、排水灌漑局における洪水警戒システム整備などが盛り込まれた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、2月4日)

今年のGDP成長率予想、最大6.5%=中銀総裁

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)のノル・シャムシア総裁は4日、今年のマレーシア国内総生産(GDP)成長予想について、5.5%から6.5%となるとの見通しを示した。世界的な需要拡大と民間支出の増加が成長を支えるという。
ノル氏は国営ベルナマ通信からのメールインタビューに対し、中国や米国、近隣国などの主要貿易国からの電気・電子(E&E)製品に対する強い外需が輸出部門の拡大に貢献すると指摘。家計支出についても、所得、雇用状況、消費者心理などの改善により拡大するとし、E&E製造業やデジタル投資などの大規模投資も成長を牽引するとした。一方、世界経済の鈍化、サプライチェーンの混乱、ワクチン耐性を持つ新型コロナウイルス「Covid-19」変異株出現などをリスクとして挙げた。
2022年のヘッドライン・インフレ率は、原油高騰のベース効果により、前年比で緩やかな上昇となる可能性が高いとし、コア・インフレ率も、経済と労働市場の回復により上昇圧力が抑えられ、緩やかな上昇となると予想。一方、世界的な商品価格動向およびサプライチェーン混乱の長期化によるリスクもあるとした。
ノル氏はまた、昨年12月の豪雨による洪水被害からも、環境・社会・企業統治(ESG)の重要性が明らかだと指摘。一部の銀行では融資や投資におけるポートフォリオを分析し、ESGの懸念がある顧客企業に働きかけを行なっており、顧客企業がより持続可能な活動に移行することをサポートする銀行も増えているとした。洪水による銀行業界への影響については、返済猶予や紛失書類再発行の手数料無料化など、コストが必要な被災者支援に取り組んでいるが、パンデミックによる悪影響に備えて2020年から徐々に引当金を積み上げてきたためコスト増は管理可能であるとし、銀行の収益にも大きな影響を与えることはないと強調した。
(ザ・スター、2月5日、ベルナマ通信、2月4日)

日マレーシア物流政策対話、1月27日に国土交通省が開催

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本の国土交通省は、1月27日に「日マレーシア物流政策対話」を開催した。
総合政策局参事官(国際物流)室が2月3日に発表した声明によると、物流政策対話はウェブ会議形式で開催され、日本からは、国土交通省、在マレーシア日本大使館、日本海事協会、 マレーシアからは、運輸省、国際貿易産業省、国内取引・消費者省、投資開発庁が出席した。
物流政策対話では、両国の物流政策やコールドチェーン物流の促進にかかる取組について情報共有するとともに、マレーシアの物流課題(外資規制や道路インフラ等)について日本側より問題提起し、改善に向けた取組状況等を確認。昨年6月に閣議決定した総合物流施策大綱の概要を紹介し、物流を取り巻く環境変化や対策、グリーン物流に関する取組等を説明した。
マレーシア運輸省は、コールドチェーン物流サービスに関する国家規格化の現状について説明。2025年には国家規格を策定する見通しであるとの認識を示した。また、グリーン物流に関する政府の方針も説明、昨年11月に開催されたマレーシアにおけるグリーン物流パートナーシップ会議の結果について報告した。

オミクロン感染拡大、3月末には1日2.2万人に達する恐れ

【クアラルンプール】 新型コロナウイルス「Covid-19」オミクロン株による感染が拡大傾向にあることを受け、保健省のノール・ヒシャム事務次官は6日、1日当たりの新規感染者数が3月末までに2万2,000人に達する可能性があると警告した。
ノール事務次官は2月6日正午時点で新規感染者数が昨年10月2日以来の1万人を突破(1万89人)したことを明らかにした上で、1人の感染者が何人に感染を広げる可能性があるかを示す基本再生産数(R0/RT)が1.2となっていると強調。新規感染者の増加傾向は続くとの見方を示し、ワクチン接種と追加接種の適用範囲が拡大されればR0/RTが1.0以下に下がる可能性があると述べた。
ノール事務次官はまた、「我々はまだ懸念される状況から脱していない。我々は一丸となって感染急増に立ち向かわなければならないが、もっと重要なのは、重症度が低くなり入院者数が少なく死亡率が下がるようにすることだ」と述べた。
カイリー・ジャマルディン保健相も同日、「マレーシアも完全にオミクロンの波に入った」として新規感染件数が増加するとの見方を示し、近く1日当たり1万5,000人を突破するとの懸念を示した。新規感染者数が最後に1万5,000人を突破したのは昨年9月18日。
カイリー氏は、重症化する懸念が高い高齢者のうち100万人がいまだ追加接種を受けていないと指摘。国民になるべく早く追加接種を受けるよう呼びかけた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、2月6日)

新型コロナの新規感染者数、今年最多の1万1034人

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は7日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数は1万1,034人だったと発表した。6日は昨年10月以来、初めて1万人を超え1万89人となっていたが、四日連続で今年最多を更新した。累計感染者数は292万5,254人となった。
6日午後11時59分時点のワクチン接種完了者数は、2,572万902人で、接種率は78.8%だった。18歳以上の成人接種者数は2,292万9,493人で、接種率は97.9%。ブースター接種完了者は1,236万1,663人で、接種率は37.9%となった。1人の感染者が何人に感染を広げる可能性があるかを示す基本再生産数(R0/RT)は1.27に上昇。全ての州・地域で1.00を上回った。最も高いのは、サバ州で1.47だった。
6日には、6,460人が回復し、累計治癒者は281万2,614人。死者数は9人増え、累計で3万2,034人となった。アクティブ感染者は、前日から3,620人増え6万9,572人。うち87.7%が自宅、6.4%が低リスク者用隔離・治療センター(PKRC)、5.7%が医療機関、0.2%が集中治療室(ICU)で療養中となっている。病床使用率は64.5%に上昇した。
また新たに11カ所のクラスターが発生。うち5カ所が教育機関、4カ所が職場、残りはコミュニティと、感染すると重症化する可能性が高い集団で起きたクラスターだった。セランゴール州が3カ所で最多となった。これまでに確認されたクラスターは6,499カ所となり、現在感染者を出し続けているアクティブなクラスター数は361カ所に増えた。