入国時の隔離措置撤廃、国家復興評議会が政府に提案

【クアラルンプール】 新型コロナウイルス「Covid-19」からの復興を目指す国家復興計画(NRP)を管轄する国家復興評議会(NRC、MPN)は、水際対策として入国時に義務付けている隔離措置について、3月1日付けで全面的に撤廃し、国境を完全に開放するよう政府に提案した。
会合後の記者会見でムヒディン・ヤシン議長は、隔離措置の撤廃を提案した理由について、保健省より出発前と到着時の検査などが義務付けられており、国内のワクチンの接種率は高い上、病床使用率も低い状態となっていると説明した。しかし撤廃は、リスクを評価に基づき、計画的かつ慎重に行うべきであると指摘。隔離なしの入国ができるようになることで、マレーシアの回復を促進させることができるとした。
会合では、カイリー・ジャマルディン保健相が感染状況などを説明。変異種「オミクロン株」の感染拡大に伴い新規陽性者数は増えているものの、保健省による措置や、ワクチンの接種により、重症者数は減っていると述べたという。
一方で、ムヒディン議長は、建設業で問題となっている原材料価格や外国人労働者不足、移動規制については、長期的で「構造的な」解決方法を策定することができると説明。建設業開発局(CIDB)が対策を模索している段階で、CIDBによる勧告を支持する方針だと述べた。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・サン、2月8日、ベルナマ通信、フリー・マレーシア・トゥデー2月7日)

ファストフードの「ジョリビー」、半島部1号店をオープン

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 フィリピンのファストフード・チェーン「ジョリビー」が2月8日、セランゴール州ペタリンジャヤのショッピングモール「サンウェイ・ピラミッド」内にマレーシア半島部1号店をオープンした。
店舗の立地は地下2階の飲食店街で、ジョリビー・フーズ・コーポレーションズ(JFC)完全子会社であるゴールデン・プレート(GPPL)とビーワークス・インベストメント(BIPL)による合弁企業(JV)が、半島部において「ジョリビー」を所有・運営する。
半島部2号店は新たにオープンした「パビリオン・ブキジャリル」での出店を予定しており、その後ペナンやジョホール、マラッカ州での展開を計画している。マレーシア全体では5年間をかけて50店舗を開設する計画で、3,800人分の雇用創出を見込んでいる。
「ジョリビー」のマレーシア1号店は、サバ州コタキナバルに2018年にオープン。2019年にはマレーシア・イスラム開発局(JAKIM)よりハラル認証を取得した。フライドチキンやスパゲッティ、フライドチキンサンドイッチ、ハンバーガー、ホットドッグ、フライドポテト、ソフトドリンクなどを提供している。

商船三井とペトロナス、液化CO2海上輸送事業開発で協力へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 商船三井(本社・東京都港区)は、国営石油会社ペトロリアム・ナショナルと、二酸化炭素回収・有効利用・貯留(CCUS)向けの液化CO2海上輸送に関し事業開発を共同検討する為の覚書を締結した。
7日に、オンラインでの署名式が行われた。同覚書に基づき、両社はアジア大洋州地域におけるCCUSの実現のため、液化CO2海上輸送中心に検討を進める。商船三井は回収されたCO2を目的地まで海上輸送する最適手段を確立するため、CCUSバリューチェーン全体の見地に立った液化CO2輸送船の仕様検討等を行う。また商船三井が2021年3月に出資した、液化CO2船を30年以上に渡り管理するラルビック・シッピング社(本社:ノルウェーLS社)も検討に加わり、同社の液化CO2安全輸送ノウハウ等で貢献する予定だ。
液化CO2海上輸送はCCUSバリューチェーンの中で回収地と貯留地、回収地と有効利用地を効率的に結ぶ手段の一つとして重要な役割を担っている。商船三井はLS社への出資により液化CO2海上輸送事業に既に参入しており、本覚書の締結を通じ、液化CO2海上輸送への取組みを更に加速させ、低・脱炭素社会の実現に貢献していく方針だ。また、「商船三井グループ 環境ビジョン 2.1」で掲げる2050年までにグループ全体でのネットゼロ・エミッション達成を目指すという。

施設立ち入りの際の体温測定、11日付けで廃止

【ペタリンジャヤ】 ヒシャムディン・フセイン上級相(兼国防相)は8日、11日付けで新型コロナウイルス「Covid-19」の標準的運用手順(SOP)を変更し、公共施設に立ち入る際に義務付けられていた体温測定を不要にすると発表した。
同時に手書きの登録簿も廃止する。コロナ情報・追跡アプリ「MySejahtera」でのチェックインは引き続き必要となる。また、小巡礼(ウムラ)に関する新しいSOPも14日より実施を開始する。追加(ブースター)接種の義務化や自宅隔離の許可などが含まれるという。
ヒシャムディン上級相は、現状では、新規感染者数は増加しているが、入院者数や集中治療室(ICU)の病床使用率は低く抑えられているため、医療システムはコントロールできていると言明。また、全州・地域が国家復興計画のフェーズ4に移行したことで、次のステップはエンデミック(風土病化)への移行だとする一方、先送りされているエンデミック移行スケジュールについては検討中だと述べた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、ザ・スター、2月8日)

新型コロナの感染者数は1万7134人、6日連続で今年最多更新

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は9日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数は1万7,134人だったと発表した。6日連続で今年最多を更新した。累計感染者数は295万6,332人となった。
8日には、5,421人が回復し、累計治癒者は282万4,071人。死者数は13人増え、累計で3万2,056人となった。アクティブ感染者は、前日から8,510人増え8万3,071人。うち88.4%が自宅、6.0%が低リスク者用隔離・治療センター(PKRC)、5.5%が医療機関、0.2%が集中治療室(ICU)で療養中となっている。病床使用率は70.0%に上昇した。
8日午後11時59分時点のワクチン接種完了者数は、2,572万4,809人で、接種率は78.8%だった。18歳以上の成人接種者数は2,293万1,979人で、接種率は98.0%。ブースター接種完了者は1,261万6,238人で、接種率は38.6%となった。1人の感染者が何人に感染を広げる可能性があるかを示す基本再生産数(R0/RT)は1.39に上昇。全ての州・地域で1.00を上回った。最も高いのは、サラワク州で1.68だった。
また新たに17カ所のクラスターが発生。うち10カ所が教育機関、3カ所が職場、残り4カ所は医療機関など感染すると重症化するリスクが高い集団で起きたクラスターだった。これまでに確認されたクラスターは6,526カ所となり、現在感染者を出し続けているアクティブなクラスター数は375カ所に増えた。

ケダ州でゴム産業集積地開発がスタート、三井物産とホンセンが契約締結

【クアラ・ネラン】 ケダ州パダン・テラプのゴム産業集積地「ケダ・ラバー・シティ(KRC)」開発が7日、正式にスタートした。
開設式でスピーチをしたイスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は、KRC事業がすでに40億リンギの投資誘致に成功したとして、7,000人分の雇用創出を見込んでいると表明。2025年までに潜在的な投資額は100億リンギとなり、1万5,000人分の雇用を創出することができるとした。KRCでは、第1期で201ヘクタール、第2期で302ヘクタールを開発するが、第1期は投資企業を迎え入れる準備が整ったと言明。第2期は2023年に始動する予定だとした上で、国内外の投資家がKRCで事業を行うことに期待しているとした。
KRCの開設式に合わせ、ゴム手袋製造のホン・セン・コンソリデーテッドとマレーシア三井物産は、合成ゴム手袋の原材料になる合成ニトリルゴム(NBL)の生産工場を共同で建設することで契約を交わした。第1期は2024年第2四半期に商業生産を開始する。また両社は、ペナン州においても、ブタジエンやアクリロニトリルなどの石油化学製品や原材料の貯蔵施設の開設および物流事業を行うことで契約した。
(ザ・サン、ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、2月8日、ベルナマ通信、2月7日)

ジェトロ日系企業実態調査、マレーシアは「今年改善」が58.7%

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】  日本貿易振興機構(ジェトロ)は7日、昨年実施したアジア・オセアニア20カ国・地域への進出日系企業の実態調査結果を公表。これに基づきジェトロ・クアラルンプール(KL)事務所がマレーシアを含む東南アジア諸国連合(ASEAN)主要6カ国(マレーシア、シンガポール、インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム)について比較・分析した。
2021年の営業利益見込みについては、マレーシアにおける黒字企業の割合は前年の50.0%から59.7%へと10 ポイント近く上昇。特に大企業の黒字比率は 67.7%と、中小企業(41.1%)との乖離が際立つ結果となった。ただ営業利益が前年比で「改善」した率は新型コロナウイルス「Covid-19」に伴う操業規制が響いて35.0%にとどまり、6カ国全体平均(41.6%)を下回った。
2022年の見通しでは、マレーシアは「改善」比率が58.7%へ大幅上昇。インドネシアに次いで高かった。「悪化」比率も 30.1%から 4.9%へ減少した。2022年の景況感はマレーシアのDI値は53.8ポイントで6カ国でトップだった。
今後1ー2年の事業展開の方向性について「拡大」と回答した企業の割合はマレーシアでは43.2%となり、前年の36.1%から上昇。「現状維持」、「縮小」、「移転・撤退」は減少した。
マレーシア進出日系企業のうち、製造業では一般機械、輸送機器、鉄・非鉄・金属が、非製造業では、情報通信業、販売会社、商社・卸売業がそれぞれ、業種大分類全体を上回る「拡大」比率を記録した。
事業展開を「拡大」すると回答した企業のうち、拡大する機能として最多だったのは「販売機能」で、マレーシアでも「販売機能」とする回答が最大の 51.2%を占めた。また「生産機能(高付加価値品)」(37.8%)と「生産機能(汎用品)」(36.6%)も他国に比べて高く、機能の多角化が見て取れる結果となった。
経営上の問題点は6カ国ともに「従業員の賃金上昇」が引き続きトップで、前年との比較ではマレーシアなどで「競合相手の台頭(コスト面で競合)」とする回答の上昇も目立った。マレーシアでは特に「従業員の質」や「競合相手の台頭」を問題視する企業の割合が高かった。
脱炭素化(温室効果ガスの排出削減)への取り組み状況については、取り組んでいる企業と取り組む予定の企業は6カ国で6ー7割だが、特にマレーシアは「すでに取り組んでいる」企業の割合が 37.1%と高かった
脱炭素化に取り組む理由については「本社(親会社)からの指示・勧奨」がいずれの国でも最多だったが、特にマレーシアはその割合が74.8%と高かった。具体的な取り組みとして、「省エネ・省資源化」が最多で、マレーシア進出日系企業は、各取り組みにおいて比較的高い比率を示した 。

無症状・軽症の陽性者、アセスメントセンター訪問不要に

【クアラルンプール】 保健省のノール・ヒシャム事務次官は7日、今後、新型コロナウイルス「Covid-19」の検査で陽性となっても、無症状・軽症であるカテゴリー1および2Aに該当し、かつ高リスクではない場合には感染アセスメントセンター(CAC)に行く必要はないと発表した。
その代わりに、コロナ情報・追跡アプリ「MySejahtera」上の「健康評価ツール(HAT)」を使用し、毎日セルフモニタリングを行う必要がある。セルフモニタリングが漏れた場合、SMSや自動音声電話で入力が促される。カテゴリー2B以上または症状が悪化している場合には、センターからの電話を待たずに、最寄りのCACまたは病院で詳細な検査を受けることが求められる
無症状・軽症のカテゴリ分類は、▽カテゴリー1(無症状)▽カテゴリー2A(喉の痛みや咳、食欲がある味覚低下、嗅覚障害、下痢、吐き気、嘔吐、疲労感、筋肉痛など。日常生活に支障がなく、熱や息切れのないことが条件)▽カテゴリー2B(発熱が2日以上続き、活動時の呼吸困難、胸痛、食欲不振、倦怠感、咳・吐き気・嘔吐・下痢の悪化、意識レベルの低下、24時間以内の排尿量減少)ーーとなっている。
ノール事務次官によると、セルフモニタリングの結果、最寄りのCACに行って検査を受ける必要がある場合には「MySejahtera」からの通知、SMS、電話といった形でCACから連絡がある。また、新規感染者の隔離期間については、無症状かつワクチン接種が完了している場合は7日間、症状がある場合やワクチン未接種、あるいは接種が完了していない場合は10日間となるという。
(ザ・スター、2月8日、ベルナマ通信、2月7日)

オミクロン感染拡大、「ピークアウトは3月下旬」保健相

【プトラジャヤ】 新規感染者が急増している新型コロナウイルス「Covid-19」オミクロン株について、カイリー・ジャマルディン保健相は、数学的モデルにおいて3月下旬にはピークアウトすると試算されていることを明らかにした。
カイリー保健相は、他国の例をみるとオミクロン株の感染ピークは2カ月後に来ると予想されるとした上で、急激な感染拡大は人の移動に起因した可能性は否めないと指摘。ロックダウンやそれに近い制限はもちろん、移動制限を強化する余裕もないとし、公衆衛生における優先事項と経済回復、国民生活、及び精神的健康の間でバランスを取ることが重要だとし、国民一人一人がワクチン接種・追加接種を含めた自分たちの役割を果たすことが重要だと述べた。
またワクチン接種について、60歳以上の高齢者及び1、2回目にシノバック製を接種した成人(18歳以上)を対象に追加接種を受けない場合に接種完了ステータスを剥奪する方針であることを繰り返した上で、3月1日以前に追加接種を受けるよう呼びかけた。
カイリー氏によると、100万人の高齢者全体の32%に当たる100万人がいまだ追加接種を受けていない。ワクチン未接種の場合は感染率が9倍、感染時の死亡率が62倍高まるという。また高齢者は重症化リスクが高く、死者全体の57.3%を占めている。
(エッジ、2月7日)

新型コロナの感染者数は1万3944人、5日連続で今年最多更新

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は8日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数は1万3,944人だったと発表した。5日連続で今年最多を更新した。累計感染者数は293万9,198人となった。
7日午後11時59分時点のワクチン接種完了者数は、2,572万3,208人で、接種率は78.8%だった。18歳以上の成人接種者数は2,293万943人で、接種率は98.0%。ブースター接種完了者は1,247万3,139人で、接種率は38.2%となった。1人の感染者が何人に感染を広げる可能性があるかを示す基本再生産数(R0/RT)は1.32に上昇。ラブアン以外で1.00を上回った。最も高いのは、ペルリス州とサバ州で1.54だった。
7日には、6,036人が回復し、累計治癒者は281万8,650人。死者数は9人増え、累計で3万2,043人となった。アクティブ感染者は、前日から4,989人増え7万4,561人。うち87.9%が自宅、6.3%が低リスク者用隔離・治療センター(PKRC)、5.6%が医療機関、0.2%が集中治療室(ICU)で療養中となっている。病床使用率は67.3%に上昇した。
また新たに10カ所のクラスターが発生。うち6カ所が教育機関、3カ所が職場、残りはコミュニティで起きたクラスターだった。これまでに確認されたクラスターは6,509カ所となり、現在感染者を出し続けているアクティブなクラスター数は366カ所に増えた。