【クアラルンプール】 マレーシア自動車協会(MAA)は、6月末で終了する予定の乗用車販売に対する売上・サービス税(SST)の特別減免措置について、年末まで延長するよう政府に働きかけている。
MAAのアイシャ・アハマド会長は、減免措置はパンデミック時の自動車販売促進に役立ったとし、MAAは、自動車メーカーの受注残消化のため、減免期間を年末まで延長するよう財務省に要請したと言明。一方、減免措置が6月末で終了する場合には、直前の5月と6月の売上高が急増する可能性があると述べた。
RHBインベストメント・バンクのリサーチアナリストであるジム・リム氏は、今年第2四半期の自動車販売は、減免措置を利用したいと考える顧客が殺到するため需要は高いまま推移すると予想し、自動車メーカーも半導体などの部品不足の中でも減免措置終了に間に合わせるために生産量を増やしていると述べた。
UOBケイ・ヒアン証券もレポートの中で、今年第2四半期の自動車販売は好調を維持すると予想。自動車メーカーが滞留予約の納入を急ぐことから第2四半期の販売台数は前年同期を上回るとし、さらに減免措置が7月以降も継続された場合には、自動車販売の回復につながるとしている。
一方、減免措置の再三の延長は、自動車産業にとって不利になると考える業界関係者もいる。実際、2018年に政府が物品・サービス税(GST)を3カ月間免除した際、自動車を安く買いたいと考える消費者が多く販売台数が急増したが、税が復活した後、自動車が一気に売れなくなり販売に苦労したという。
リム氏は、減免措置が延長されない場合、今年後半は自動車販売が低迷するとし、自動車会社は販売台数を支えるために利益を犠牲にして割引を行う可能性があると指摘。部品の価格上昇が利益をさらに圧迫する可能性もあり、会社によってコスト上昇分を自動車価格に転嫁する能力に差が出るとした。プロトンやプロドゥアなどの国産ブランドは、顧客が価格に敏感なため、より大きな影響を受ける可能性がある一方、ポルシェ、ベンツ、BMW、マツダなどのプレミアムブランドは、影響が小さいと予想した。
(ザ・スター、5月5日)