マレーシアの回復力指数、世界平均を上回る=調査

【クアラルンプール】 ロイドレジスター財団の「2021年世界リスク調査」によると、マレーシアの回復力指数は世界平均の0.55を上回る0.67だった。

「2021年世界リスク調査」は世論調査会社ギャラップの協力の下、121カ国の12万5,000人を対象に交通事故、悪天候、気候変動、災害への耐性、仕事上の被害、職場での暴力や嫌がらせ、個人データの利用など、人々やコミュニティが直面するリスクに関して調査したもの。回復力指数は0ー1の間となり、スコアが高いほど回復力が高いことを示す。総合スコアは、「個人」「家計」「コミュニティ」「社会」の4分野のスコアから算出される。

マレーシアは4分野すべてで世界平均を上回った。「個人」は0.55(世界平均0.46)、「家計」は0.69(同0.54)、「コミュニティ」は0.73 (同0.63)、「社会」は0.71(同0.63)だった。

直近経験した災害については、マレーシアの回答者の97%が「大雨・洪水」と回答した。「1日以上電気が使えない」が23%、「1日以上きれいな飲み水が使えない」が20%、「1日以上電話が通じない」が14%、「1日以上食料が不足し手に入らない」が6%、「1日以上医療支援や薬が手に入らない」が5%だった。

マレーシアでは「差別を受けた」という回答が世界平均に比べて少なく、「肌の色で差別された」と回答したのは、8%(世界平均10%)、「宗教で差別された」は7%(同12%)、「人種で差別された」は8%(同12%)、「性別で差別された」は6%(同11%)、「障害で差別された」は3%(同6%)にとどまった。

「政府が国民のことをどれだけ心配してくれているか」に関しては、35%が「とても心配してくれている」、16%が「まったく心配してくれていない」と回答した。
(エッジ、9月23日、ロイドレジスター財団発表資料)

強いドルは来年初頭まで続く、エコノミスト予想

【クアラルンプール】 リンギは先週も米ドルに対し値下がりし、23日には1米ドル=4.5775リンギと過去最低を更新した。サンウェイ大学のイア・キムレン教授は、輸入価格上昇が物価、インフレ予想に影響することが懸念材料で、こうしたリスクにさらされている家計、企業への配慮が政府には必要だと指摘した。

イア氏によれば、米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げを継続する見通しで、強いドルは少なくとも来年第1四半期まで続く見通しだという。

23日の記者会見でノル・シャムシア中央銀行総裁は資本規制に乗り出す意向はないとするかたわら、物価安定の中での経済成長の維持を重視していると述べた。

社会経済研究センターのリー・ヘングイエ専務理事も、いつFRBが利上げをやめるかに相場は左右されるため、短期的にリンギ下落圧力は続くとの見解だ。

一方で、リンギ安は輸出業者にはプラスで、外国人旅行客の入国も増加が期待できるという。
(ザ・サン、ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月26日)

「国連は拒否権廃止を」首相がマレー語で演説

【ニューヨーク=マレーシアBIZナビ】 就任後初めて国連総会に出席したイスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は23日、初めてマレー語による演説を行い、常任理事国による拒否権廃止を含む国連改革を提唱した。

黒いソンケットとバジュ・ムラユというマレー男性の正装を着用したイスマイル首相は22分間に及ぶ演説の中で、拒否権の廃止は一国一票の原則に沿ったものだと指摘。「今こそ拒否権を廃止すべき時だ。民主主義の精神と象徴を担う組織として、国連はその基本に戻らなければならない」と述べた。

 イスマイル首相は、ウクライナ、パレスチナ、ミャンマーなどの国際紛争や危機がグローバル・ガバナンスや国連の弱さのために解決できないと指摘。「国連の最大の問題は安全保障理事会だ。拒否権は、それを持つ国が有利になるよう悪用されることがよくある」、「それ(拒否権)は非民主的であり、人権の原則に違反している。これにより常任理事国による紛争解決が不可能になっている」と述べた。


またイスマイル首相は、現在、世界が直面しているインフレ対策で一部の国の金融政策と金利の決定が他の国に影響を与えていることを例示し、国際通貨協力メカニズムの創設を提案。「国際金融および通貨構造は依然としていくつかの大国によって支配されているが、国内通貨政策は発展途上国の現実とニーズを考慮して調整されなければならない」と指摘し、「マレーシアは加盟国に対し、国際的な通貨協力メカニズムを確立して、世界の発展のニーズのバランスをとることができる、より効果的で公正なシステムの構築を求める」と述べた。

ラニーニャ現象により集中豪雨など多雨続く=気象専門家予想

【ペタリンジャヤ】 気象専門家らは、ラニーニャ現象(太平洋赤道域東部の海水温低下)の長期化や北東モンスーンの影響により、年末まで集中豪雨など多雨な天候が続くと警告している。

気象学者のフレドリン・タンガン教授は、米国海洋大気庁気候予測センターのデータによると、年末までラニーニャ現象が続く可能性は50%で、11月ー来年3月までの北東モンスーンの影響を悪化させ、マレー半島東海岸で洪水が広範囲に及ぶ可能性が高いと予想。また、温暖化現象も20年前と比べてより顕著になっており、世界の平均気温と同じように、マレーシアの気温も上昇していると述べた。

マラヤ大学気象学のアジザン・アブ・サマー教授も同意見で、ラニーニャ現象がダイポールモード現象(初夏から晩秋にかけてインド洋東部で海水温が低く、西部で海水温が高くなる現象)と相まって、北東モンスーン期に平均以上の降雨をもたらし、11月には特にマレー半島東海岸のクランタン州、トレンガヌ州で例年以上の降雨に見舞われる可能性があると予想。気象予報モデルの精度は50%程度であり、7日先までしか予測できないため、正確な予測は「非常に難しい」と述べた。

消防救助局のモハンマド・ハムダン・ワヒド局長は、雨季に向けて約1万4,800人の職員が厳戒態勢をとるよう指示されたと言明。陸海空の消防機材合計1,800基も前線配備に向け待機中で、マレー半島では地域前線基地3カ所がいつでも稼働できるとした。また、排水灌漑局が指定したクランタン、トレンガヌ、パハン、ジョホール、サバ、サラワク各州の計5,496の洪水高リスク地域における対策計画が4月に開始していると言明。監視や巡回、降雨や水位、モンスーン流、海水の潮流などの監視、関連機関からの情報入手を行っており、遠隔地では、航空局と州政府によるドローン監視を行い、各州は対策室を設置し指揮システムを構築していると述べた。

イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は12日、北東モンスーンおよび洪水対策として地区レベルでの災害管理委員会を稼働させるよう指示。北東モンスーンが11月ー来年3月まで続くという気象庁の予測を受けたものであるとした。
(ザ・スター、9月24日)

新型コロナの感染者数は1608人、病床使用率は71%

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 新型コロナウイルス「Covid-19」感染症に関する情報提供サイト「コビドナウ(COVIDNOW)」によると、25日の新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数は1,608人となり、累計感染者数は483万1,822人となった。
新たに2,352人が回復し、累計治癒者は477万940人。死者数は2人で、累計は3万6,350となった。アクティブ感染者は、前日から746人減の2万4,532人。うち95.1%が自宅、4.7%が医療機関、0.2%が集中治療室(ICU)で療養中となっている。病床使用率は71.0%だった。
同日午後11時59分時点のワクチン接種完了者数は2,750万7,281人となり、接種率は84.2%。1回目のブースター接種完了者は1,623万3,870人で、接種率は49.7%、2回目が49万9,714人となり、1.5%だった。
新たに発生したクラスターはゼロで、感染者が出続けているアクティブなクラスター数は14件だった。