【ニューヨーク=マレーシアBIZナビ】 就任後初めて国連総会に出席したイスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は23日、初めてマレー語による演説を行い、常任理事国による拒否権廃止を含む国連改革を提唱した。
黒いソンケットとバジュ・ムラユというマレー男性の正装を着用したイスマイル首相は22分間に及ぶ演説の中で、拒否権の廃止は一国一票の原則に沿ったものだと指摘。「今こそ拒否権を廃止すべき時だ。民主主義の精神と象徴を担う組織として、国連はその基本に戻らなければならない」と述べた。
イスマイル首相は、ウクライナ、パレスチナ、ミャンマーなどの国際紛争や危機がグローバル・ガバナンスや国連の弱さのために解決できないと指摘。「国連の最大の問題は安全保障理事会だ。拒否権は、それを持つ国が有利になるよう悪用されることがよくある」、「それ(拒否権)は非民主的であり、人権の原則に違反している。これにより常任理事国による紛争解決が不可能になっている」と述べた。
またイスマイル首相は、現在、世界が直面しているインフレ対策で一部の国の金融政策と金利の決定が他の国に影響を与えていることを例示し、国際通貨協力メカニズムの創設を提案。「国際金融および通貨構造は依然としていくつかの大国によって支配されているが、国内通貨政策は発展途上国の現実とニーズを考慮して調整されなければならない」と指摘し、「マレーシアは加盟国に対し、国際的な通貨協力メカニズムを確立して、世界の発展のニーズのバランスをとることができる、より効果的で公正なシステムの構築を求める」と述べた。