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2023年度予算案発表、所得税減税など盛り込む

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 テンク・ザフルル財務相は7日、下院議会に2023年度(2023年1月1日—12月31日)予算案を提出した。
 予算規模は3,723億リンギで、昨年提出時の今年度の当初予算3,321億リンギから402億リンギの大幅増となった。国内総生産(GDP)の20.5%に相当する。ただし修正後の今年度予算の3,853億リンギは下回っている。
 73.1%を占める一般歳出は今年度当初予算の2,335億リンギから2,723億リンギに増加したが、修正後の2,857億リンギは下回った。25.5%を占める開発支出は同756億リンギから950億リンギに増額、新型コロナウイルス「Covid-19」基金の残りの支払いに50億リンギ割り当てる。
 分野別では予算全体の37.3%を社会関連に、19.5%を経済関連に、9.9%を安全保障関連に、5.5%を一般行政にそれぞれ充てる。
 歳入は今年の2,852億リンギから4.4%減の2,726億リンギに減少する見通し。財政健全化策により、2023年における財政赤字は前年の対GDP比5.8%から5.5%に下がると見込まれており、990.7億リンギと2022年の994億8,000万リンギを4億リンギ下回る見通しだ。
 中所得者層(M40)向け所得税減税が盛り込まれた。課税年収5万1リンギー7万リンギの場合は13%から11%に、同7万1リンギ―10万リンギは21%から19%にそれぞれ2ポイント引き下げる。
 地域開発予算として、サバ州に63億リンギ、サラワク州54億リンギをそれぞれ割り当てる。
 電気自動車(EV)普及に向けて、2023年まで輸入許可証(AP)を免除するほか、2023年から2032年まで充電器メーカーに対する所得税免除を行う。またEV完成車(CBU)に対する輸入税・物品税の免除措置を2024年末まで延長する。
 5Gネットワークを高人口密度地域の70%に普及させるため、デジタル・ナショナルが2023年度に13億リンギを割り当てる。
 キャッシュレス化促進のため、年収10万リンギ未満の中所得者層約800万人にeウォレットクレジットを100リンギ分支給する。
 大型インフラ計画に関しては、洪水対策に2030年までに150億リンギ、首都圏大量高速輸送3号線(MRT3)の建設推進に502億リンギそれぞれ割り当てる。


■来年のGDP成長、4ー5%に減速と予想■
 財務省は同日、「2022/23年経済リポート」を発表。 2022年の国内総生産(GDP)成長率についてプラス6.5-7%、2023年についてはインフレ圧力、金融情勢の引き締め、供給の逼迫、地政学的な分断化による世界経済の成長と貿易活動の軟化を背景にプラス4ー5%に減速すると予想とした。
 産業別の来年のGDP成長率については、サービス業が5.0%、製造業が3.9%、建設業が4.7%、農業が2.3%、鉱業が1.1%といずれもプラス成長が見込まれている。
 内需が引き続き成長を牽引し、2023年には民間支出が5.8%、民間消費が6.3%、民間投資は3.7%それぞれ増加、公共支出は2.0%、公共投資は2.1%増加すると予想。インフレ率については、今年は3.3%、2023年は2.8―3.3%の範囲になるとした。失業率は今年通年で3.8―4%、2023年には3.5―3.7%に低下すると予測。今年の就業者数は1,530万人、2023年には1.7%増加して1,556万人になるという。

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