【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中央銀行バンク・ネガラは3日、定例金融政策会合(MPC)を開催し、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を0.25ポイント引き上げて2.75%とすることを決定した。中銀は2020年7月から1.75%で維持していたが、今年5月11日、7月6日、9月8日にそれぞれ0.25ポイント引き上げており、今回で4会合連続の利上げとなった。

中銀は声明の中で、国内経済の好調な成長が最新の統計で示されており、今後も成長維持が見込めるとして、4度目の利上げを決めたと説明。現在の金融政策のスタンスも緩和的であり、引き続き経済成長を支えることが可能だとした。

国内経済について中銀は、厳しい世界情勢にも関わらず、内需が引き続き経済成長を下支えするとの予想を示した。国境再開に伴い、外国人観光客数が増加しており、観光産業の成長を押し上げると予想。投資活動も複数年にわたって実施されている大型プロジェクトに支えられるとしたものの、外需は世界経済の成長鈍化を受ける見通しだとした。また、金融および為替市場のボラティリティー(変動性)の高まりも懸念されるものの、マレーシアの経済成長を阻害することはないと指摘。その上で、今後も、世界経済の回復が予想を下回る可能性、ロシアのウクライナ軍事侵攻の激化、サプライチェーンの混乱悪化が成長リスクとなり続けるとした。今年のコア・インフレ率の予想については、2.0ー3.0%で維持するとしたものの、2023年は引き続き上昇するとの見解を示した。

また中銀は世界経済について、コスト圧力の高まり、世界的な金融引き締め、中国の「ゼロコロナ」政策下で実施されるロックダウン、コスト圧力の上昇、欧州のエネルギー危機の可能性などが成長に影響を与えているとした。特に米国の積極的な金融緩和策が金融市場を変動させているとし、リンギなどの様々な国の通貨に影響を及ぼしていると指摘。今後も主要経済国のインフレ上昇や中国が抱える国内問題、地政学的緊張の高まりなどが下振れリスクとなるとした。