通信5社、5Gネットワーク運営のDNBと回線卸売契約を締結

【クアラルンプール】 国内通信会社5社は10月31日、政府系デジタル・ナショナル(DNB)から5Gネットワーク回線の卸売を受ける契約を締結した。テンク・ザフルル財務相が明らかにした。

5社は▽セルコム・アシアタ▽Digiドットコム▽テレコム・マレーシア▽ユーモバイル▽YTLコミュニケーションズーー。いずれも6月にDNBに均等出資しているが、同じく出資したマキシスは今回契約を締結していない。

ザフルル財務相は、DNBから回線の卸売を受けることで、5社の顧客は高速な5Gサービスを手頃な価格で享受できると言明。現在、5Gネットワークは全国で約1,100万人、人口密集地では33%をカバーしているが、DNBは2024年末までに人口密集地で約80%をカバーすることを目指すと述べた。また、5Gネットワーク構築費用は10年間で165億リンギに達しているが、政府は、DNBに対して5億リンギを出資した以外の資金提供はしていないとし、DNBが単独で所有・運営し、各通信会社に卸売する1社独占方式(SWN)のおかげで今後10年間でインフラ建設費の約300億リンギを節約できると述べた。

5GネットワークのSWNについては通信会社から不満の声が上がっていたが、政府が3月、5G導入の迅速化のためSWNを採用すると最終決定。6月にDNBの株式70%を通信会社6社に提供した。5Gサービス構築により、生産性、効率性、革新性が向上し、2030年までに75万人の高技能職の創出や国内総生産(GDP)への6,500億リンギの貢献が期待されるという。
(マレーシアン・リザーブ、11月2日)

UMWトヨタ、中高生対象の環境対策プログラム今年度版を開始

【クアラルンプール】 UMWトヨタ・モーター(UMWT)は、中高生を対象とした、持続可能なソリューション開発プログラム「トヨタ・エコ・ユース(TEY)」の2022/2023年版をスタートした。

TEYはトヨタの問題解決手法を用いて環境問題に取り組むプログラムで、2001年に開始。これまで約700万リンギを投じ、全国で274校、約3,000人の学生や教師が参加した。2022/2023年版では、トヨタが提唱する「Mobility for ALL(移動の可能性を、すべての人に)」に焦点を当て、16チームが、衣料、アプリ、スマートツール、エコカーの4分野で持続可能なソリューションを開発する。クアラルンプールのショッピングセンター「パブリカ」にある教育センター「メレカ(Me.reka)」でプロトタイプ開発の集中トレーニングを受け、ソリューションを開発し、モビリティに必要なスキルを学ぶ。参加者は最大7万1,500リンギの賞金を獲得できる機会も得られる。

ラビンドラン・クルサミー社長は、TEYは「2050年までに二酸化炭素の排出をゼロにする」という目標達成に向けた取り組みの一環であり、学生や教師を巻き込み、人間や地球について意識的に考えることができる若者を育成していくと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、11月2日)

中銀バンクネガラ、今年4度目の利上げで2.75%に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中央銀行バンク・ネガラは3日、定例金融政策会合(MPC)を開催し、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を0.25ポイント引き上げて2.75%とすることを決定した。中銀は2020年7月から1.75%で維持していたが、今年5月11日、7月6日、9月8日にそれぞれ0.25ポイント引き上げており、今回で4会合連続の利上げとなった。

中銀は声明の中で、国内経済の好調な成長が最新の統計で示されており、今後も成長維持が見込めるとして、4度目の利上げを決めたと説明。現在の金融政策のスタンスも緩和的であり、引き続き経済成長を支えることが可能だとした。

国内経済について中銀は、厳しい世界情勢にも関わらず、内需が引き続き経済成長を下支えするとの予想を示した。国境再開に伴い、外国人観光客数が増加しており、観光産業の成長を押し上げると予想。投資活動も複数年にわたって実施されている大型プロジェクトに支えられるとしたものの、外需は世界経済の成長鈍化を受ける見通しだとした。また、金融および為替市場のボラティリティー(変動性)の高まりも懸念されるものの、マレーシアの経済成長を阻害することはないと指摘。その上で、今後も、世界経済の回復が予想を下回る可能性、ロシアのウクライナ軍事侵攻の激化、サプライチェーンの混乱悪化が成長リスクとなり続けるとした。今年のコア・インフレ率の予想については、2.0ー3.0%で維持するとしたものの、2023年は引き続き上昇するとの見解を示した。

また中銀は世界経済について、コスト圧力の高まり、世界的な金融引き締め、中国の「ゼロコロナ」政策下で実施されるロックダウン、コスト圧力の上昇、欧州のエネルギー危機の可能性などが成長に影響を与えているとした。特に米国の積極的な金融緩和策が金融市場を変動させているとし、リンギなどの様々な国の通貨に影響を及ぼしていると指摘。今後も主要経済国のインフレ上昇や中国が抱える国内問題、地政学的緊張の高まりなどが下振れリスクとなるとした。

ツクリエとMRANTI、東京で企業や投資家との商談等を実施

【クアラルンプール =マレーシアBIZナビ】 ツクリエ(本社・東京都千代田区)は、マレーシア技術革新研究加速機関(MRANTI)との共催プログラム「グローバルマーケットフィットプログラム2022 イン・ジャパン(GMP)」の最終プログラムとして、マレーシア発イノベーション企業の検証セッションを10月17日ー21日に東京で実施した。

GMPは、MRANTIとツクリエが共催するアクセラレーションプログラムで、選考を通過したマレーシア企業10社が参加し、2022年7月から約4カ月間に渡り日本市場について学びながら、ローカライズ、ビジネスマッチングなどを実施。これまでにオンラインでのピッチやビジネスマッチングを経て、最終プログラムとして東京に来日し、日本の投資家、スタートアップ企業との商談、展示会視察などを行った。

参加したマレーシア企業のうち子ども向けの教育アニメーションを制作するカナロア・マレーシアが子供向けイベントキットを提供するピコトン(本社・東京都中野区)と覚書を締結。業務提携して教育アニメ事業を進める計画だ。フィンテック(ITを活用した金融サービス)事業を展開するシンギュラー・テクノロジーズは、日本の投資家と約3,500万円(10月末時点)の投資契約を締結、また日本企業とWeb3、フィンテックの戦略的パートナーシップや協業プロジェクトも進める。ハラル(イスラムの戒律に則った)認証のデジタルプラットフォームを提供するシンクソフトはハラル認証を行う日本の機関と覚書を締結し、DXへ向けた取り組みを行う予定だ。

ツクリエは、これらの成果は現時点での一例で、今後さらなるプログラム開催成果が見込まれるとしている。

新型コロナの感染者数は3969人、前日から約1000人増

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省の総合情報提供サイト「KKMNOW」によると、2日の新型コロナウイルス「Covid-19」感染症の新規感染者数は3,969人となり、累計感染者数は490万9,846人となった。
新たに2,696人が回復し、累計治癒者は484万348人。死者数は2人で、累計は3万6,480人となった。アクティブ感染者は、前日から1,271人増の3万3,018人。うち95.3%が自宅、4.5%が医療機関、0.1%が集中治療室(ICU)で療養中となっている。病床使用率は76.3%、ICU病床の使用率は61.8%、人工呼吸器の使用率は35.2%となった。
同日午後11時59分時点のワクチン接種完了者数は2,751万9,314人となり、接種率は84.3%。1回目のブースター接種完了者は1,625万2,067人で、接種率は49.8%、2回目が52万2,564人となり、1.6%だった。

パビリオン・ダマンサラハイツモール、来年5月にソフトオープン

【クアラルンプール】 クアラルンプールのダマンサラで建設中のショッピングモール「パビリオン・ダマンサラハイツ・モール」は来年5月にソフトオープンする予定だ。

同ショッピング・モールの運営会社、クアラルンプール・パビリオンのリテール部門のジョイス・ヤップ最高経営責任者(CEO)は1日に開催した発表会で、現時点のテナント入居率は70%以上となっていると言明。最終的には小売店舗約380店舗が入居予定で、多様なニーズに対応できると説明した。国境再開後に外国人観光客がマレーシアに戻ってきたことは良い兆候だとし、4,000人近い雇用を創出することで経済に相乗効果をもたらすことができると見込んでいるとした。

パビリオン・ダマンサラハイツは、富裕層が多く住む地域に位置する総合開発プロジェクト。ショッピング・モールのほか、5棟の高級住宅タワー、10棟のオフィスタワー、5つ星ホテルが建設される。推定総開発価値(GDV)は50億リンギ。SPRINT高速道路、連邦高速道路(フェデラル・ハイウェイ)、ダマンサラ—プチョン高速道路(LDP)の3つの主要高速道路からアクセスでき、約2,000台の駐車場を備える。
(ザ・スター、11月2日)

 

総選挙、与党連合BNがやや優勢か=各種世論調査

【クアラルンプール】 各種世論調査によると、11月19日に投開票が行われる第15回総選挙では、イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相率いる与党連合・国民戦線(BN)が多数派を占めるマレー有権者の多くの支持を得て、やや優勢に戦いを進めている模様だ。

選挙戦はBNとムヒディン ヤシン前首相が率いる国民同盟(PN)、アンワル・イブラヒム元副首相率いる野党連合・希望同盟(PH)の3政党連合が互いに候補者を出し合うと見られているが、トップ争いはBNとPHになる見通し。世論調査ではBNが優勢だが投票先を決めていない無党派層も多く、今後の行方次第では戦局が変わる可能性もある。

O2リサーチ・マレーシアのオンライン調査によると、1,105人の回答者のうち37%がBNの勝利を予想しており、PHが32%、PNが19%にとどまった。ただ「分からない」との解答も全体で12%に上り、BNが頼みとするマレー系有権者も19%が「分からない」と答えるなど不透明だ。

イルハム・センターの調査によると、1,622人の回答者のうちBNを選ぶとの回答は35%で最も多く、PHは18%、PNは12%となった。マレー系の46%がBNを支持しており、PN支持は16%、PH支持は13%にとどまっている。インド系でもBN支持が35%でトップだったが、華人ではPH支持が38%で最も高かった。一方でその他が14%、まだ決めていないとの解答が21%に上るなど、無党派層の行方がカギを握りそうだ。

どの政党連合も過半数を取れない場合については、O2リサーチの調査によると、BN支持者の80%がBNがいったん決別したPNと再び連立を組むことを望んでおり、PN支持者の81%が同様にBNとの再連携を求めている。一方、PH支持者の52%がPNと組むべき、47%がBNと組むべきと意見が分かれた。

イスマイル首相は、過半数が取れない場合には他の党派とオープンに連立交渉を行う考えを示している。PHは新興野党のマレーシア統一民主同盟(MUDA)と連携することを決めたが、マハティール・モハマド元首相率いる新たな政治連合「祖国運動」(Gerakan Tanah Air)やPNとは連携しない方針を示している。
(ザ・スター、11月2日)

TM、データ無制限の5Gサービス第1期を開始

【クアラルンプール】 通信大手の政府系テレコム・マレーシア(TM)は1日、携帯接続サービス「ユニファイ・モバイル」で5Gサービス第1期の提供を開始した。データ量は無制限で、プリペイド(前払い)、ポストペイド(後払い)双方の顧客が対象となる。

イムリ・モクタル最高経営責任者(CEO)は声明で、5Gは一般消費者や中小企業(MSME)向けサービスにおけるTMの優位性を強化するものだとし、5Gは現在、全国の33%以上をカバーしているが、300万世帯およびMSME40万社という顧客基盤を活かし、さらなる展開を目指すと言明。国内の光ファイバーネットワークの近代化や、自動化、仮想化技術を統合し、5Gサービスを支えるインフラを強化するとした。

TMは最近、企業の5G変革を目指すプログラム「5Gスフィア」を立ち上げ、39社のパートナー企業が参加している。5Gスフィアは政府と協力の上で、スマートシティ、スマートインダストリー、5G対応アプリなどの利用を加速し、より持続可能で包括的なデジタル社会・経済を実現するものだという。
(ザ・スター、11月2日、エッジ、ベルナマ通信、11月1日)

ジェトロKL、イノベーション概況ウェブセミナーを開催へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール事務所は、マレーシア・デジタルエコノミー公社(MDEC)と共同で11月9日に「イノベーション概況ウェブセミナー」を開催すると発表した。

日本・マレーシア間のオープンイノベーション促進に向けたもので、マレーシアのスタートアップ関連政策の中心的役割を担う、政府系機関クレードル、マレーシア技術革新研究加速機関(MRANTI)、MDECの3組織が直近のマレーシアのスタートアップ分野・テック分野におけるエコシステム概況、政策、各政府系機関の役割・提供プログラム、日系企業が活用可能なサポートプログラムについて概説する。セミナー実施後、希望があれば後日登壇企業との面談機会をアレンジする。

マレーシア政府は、2021年2月にマレーシアのデジタル経済の促進に向けたブループリント「マイデジタル」を、2021年11月にスタートアップ育成促進に向けたロードマップ「マレーシア・スタートアップ・エコシステム・ロードマップ2021ー2030」を発表し、2025年までに5社のユニコーン企業を含む5,000社のスタートアップ企業の育成を目指す等、スタートアップ企業の育成に積極的に取り組んでいる。

新型コロナの感染者数は2913人、2日連続で3千人下回る

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省の総合情報提供サイト「KKMNOW」によると、1日の新型コロナウイルス「Covid-19」感染症の新規感染者数は2,913人となり、累計感染者数は490万5,877人となった。
新たに2,599人が回復し、累計治癒者は483万7,652人。死者数は3人で、累計は3万6,478人となった。アクティブ感染者は、前日から311人増の3万1,747人。うち95.3%が自宅、4.5%が医療機関、0.2%が集中治療室(ICU)で療養中となっている。病床使用率は74.9%、ICU病床の使用率は62.2%、人工呼吸器の使用率は34.8%となった。
同日午後11時59分時点のワクチン接種完了者数は2,751万9,123人となり、接種率は84.3%。1回目のブースター接種完了者は1,625万1,609人で、接種率は49.8%、2回目が52万1,124人となり、1.6%だった。