【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 JX石油開発(本社・神奈川県横浜市)は12日、マレーシアの国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)が100%出資する油田探査会社であるペトロナス・チャリガリと共同でマレー半島沖合の高濃度二酸化炭素(CO2)を含む既発見未開発ガス田群の開発技術提案をペトロナスに行うこと、および同ガス田群の権益取得の検討を進めることについて覚書を締結したと発表した。
同社は、2020年3月に石油天然ガス・金属鉱物資源機構(現・独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構)と共同でペトロナスとの間で締結した共同スタディ契約に基づき、ガス田開発に伴って産出されるCO2を分離回収し、二酸化炭素回収・貯留(CCS)技術を用いて枯渇した近隣ガス田に圧入することで、既発見未開発ガス田の低環境負荷での開発実現を目指す共同研究を2020年4月から2021年9月にかけて実施。その結果、研究対象のガス田群においてCCS 技術により環境負荷を低く抑えた形での天然ガス生産事業の実現可能性が高いと評価されたことから今回、チャリガリと共同で対象ガス田群の評価を行い、開発の技術提案を進めることとなった。
JX石油開発は、同案件が域内の天然ガスの安定供給に加え、JXが重点事業地域の一つと位置づけているマレーシアでの事業拡大に寄与する案件であり、低炭素・循環型社会実現への貢献というENEOSグループの目標に沿ったものと考えているとし、チャリガリとともに対象ガス田群の低環境負荷での開発の実現に向けて、鋭意検討を進めていく方針を明らかにした。
一方でペトロナス・チャリガリは、いくつかの企業から提案があったものの、JXの案件が最も質が高く価値を提供していたことから契約に至ったと説明。高濃度のCO2を含んでいるため開発が進んでいなかったブジャンやイナス、グリン、セパト、トゥジョーなどのガス田開発が促進されるとの期待を示した。