昨年の大規模洪水による損害額は61億リンギ=統計局

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 統計局が発表した「環境統計概要2022」によると、2021年12月から2022年1月にかけて発生した大規模洪水による損害額は61億リンギだった。

モハマド・ウジル首席統計官によると、61億リンギは名目国内総生産(GDP)の0.4%に相当する。気候変動により自然災害の発生パターンが変化したことで、大規模な洪水が発生した。また昨年は、行動制限令(MCO)の緩和や国家復興計画(NRP)による環境への影響が見られた。

大気汚染物質排出量が減少したことで、大気汚染指数 (API) が改善した。汚染物質排出量が最も多かったのは自動車で前年から27.0%減少した。それに発電所(マイナス10.0%)、工業(マイナス20.8%)が続いた。2021年の平均気温は15.7ー33.2度で、前年の15.9ー33.5度より低下した。

一方で、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染拡大に伴い、医療廃棄物は2020年から43.9%増加し57.4万トンとなった。最多はセランゴール州(1.3万トン)、2番目がサラワク州(8.3万トン)、3番目がクアラルンプール(5.9万トン)だった。

首相任命受け株価とリンギが上昇、行き詰まり解消を好感

【クアラルンプール】アンワル・イブラヒム氏の首相就任を受け株価が上昇し、リンギも対米ドルで値上がりした。政治的行き詰まりの解消を市場は好感した。
代表的株価指数のFBM・KLCIは4.04%上昇し、約3カ月ぶりの高値を記録した。リンギは米ドルに対し1.8%上昇した。

金融大手RHBのアナリストは、株式市場は短期的には強気相場が続くが、投資家は浮かれすぎないことが肝心と警告。「新政権はチームとして機能することを証明する必要がある」とした。

ケナンガ投資銀行は、新政権は国内産業保護、現金給付、燃料・食料補助、公共工事による景気てこ入れなどこれまでの政策を継続するとみている。
大連立はマレーシアで初めての試みで、市場は新政権がどの程度機能するかを注視すると述べた。

リンギは上昇を続けるとの意見が多い。シンガポール系UOB銀行はその根拠の一つとしてリンギに影響を与える人民元の動きを挙げ、中国はコロナ封じ込め政策を緩和しており、経済回復が強まるため、リンギには追い風になるという。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月25日、マレーシアン・リザーブ、11月24日)

アンワル新政権をアナリストらが歓迎、安定政権に期待感

【クアラルンプール】 希望同盟(PH)のアンワル・イブラヒム会長(元副首相、人民正義党=PKR党首)がようやく第10代総理大臣に選出され、多数の党派による連立政権樹立の見通しがたったことに対し、アナリストらは好意的な反応を示している。

民主主義経済問題研究所(IDEAS)のトリシア・ヨー最高責任者(CEO)は、連立政権が5年の任期を全うし、政情を安定させることの重要性を強調。経済回復のためには政情不安の解消が必要だとし、連立政権が人種や宗教による分断を終わらせることを期待すると述べた。

経済面では、インフレ率の管理、リンギ強化、社会的セーフティネットの改善、低所得者層支援、各選挙マニフェストに沿った公的債務の管理などに取り組む必要があるとした。また、来年には世界的な不況が予想されていることから、政権は今後数カ月の経済ショックに耐えられるよう対処法を考えなくてはならないとし、まずは年内に2023年度予算を確定させる必要があると述べた。

プトラ・ビジネススクールのアマハド・ラズマン准教授は「ベルナマ通信」の取材に対し、連立政権はアブドラ国王の仲介によるものであり、他政党が打倒を試みる恐れはほぼないとし、アンワル氏の財務大臣としての経験は、2023年に向けて経済的逆風が予想される中、大きな武器になると述べた。アンワル氏は国内総生産(GDP)の平均成長率が9.23%だった1991ー1997年に財務大臣を務めていた。また、連立政権は安定性が見込まれることから、投資家からの信頼も高められるとし、財政再建戦略とともに、国民を中心とした施策の実施が期待されると述べた。

マレーシア科学技術大学のジェフリー・ウィリアムズ氏も、アンワル氏が国際的に有名で尊敬されていることから株式市場に対する不確定要素を一掃するとし、実際、連立政権誕生のニュースは投資家心理に良い影響を与え、リンギもすぐに上昇したと強調。今後、長期的かつ信頼できる経済政策が求められるが、アンワル氏には実現可能だと述べた。
(エッジ、ボルネオポスト、ベルナマ通信、11月24日)

全てのマレーシア人の権利を保証=アンワル新首相

【カジャン=マレーシアBIZナビ】 第10代首相に選出されたアンワル・イブラヒム首相は24日、就任後初の会見を開き、憲法に明記されている公的宗教としてのイスラム教の位置づけやマレー語の公用語としての特別な位置づけ、ブミプトラ(マレー人と先住民の総称)の地位、統治者の地位などを保証しつつ、民族や宗教に関係なくすべてのマレーシア国民の権利を保証することを約束した。

アンワル首相は、政策の焦点を経済に置いているとした上で、貧困者の福祉が守られるよう経済回復に必要な措置をとっていくと強調。大連立政権は、総選挙で82議席を獲得して首位となった自身が率いる与党・希望同盟(PH)と30議席を獲得し第三勢力となった国民戦線(BN)、23議席を獲得し第四勢力となったサラワク政党連合(GPS)で組織するが、他の政党もすでに協力する意思を示していると述べ、良好なガバナンスや反汚職、すべてのマレーシア人のためのマレーシアという原則に従うことを条件にすべての人々を受け入れると表明した。

■12月の初国会で自身への信任投票を実施■
また73議席を獲得し第二勢力となった国民同盟(PN)を率いるムヒディン・ヤシン元首相がアンワル政権の正統性に疑義を申し立てていることについて、12月19日の開会を予定している初国会で、自身に対する信任投票に応じる考えを表明。支持を表明している下院(定数222)議員が過半数を上回る130ー140人に上っていると自信をみせた。
ムヒディン氏は自身への支持がアブドラ国王が名簿提出期限を延長する前にすでに過半数を超える115人に上っていたと主張。改めて国会で信任投票に応じるようアンワル氏に求めていた。

■副首相2人、東マレーシアからも起用■
閣僚人事については、東マレーシアで最大のGPSの協力が欠かせないとして、副首相に半島部と東マレーシアから1人ずつ指名する考えを示した。
前イスマイル政権で国会に提出されたまま宙に浮いている来年度予算案については、新たな予算案もしくは修正した予算案を年明けにも再提出する考えを示した。
アンワル首相はこのほか、28日(月)を休日とすると発表した。

岸田文雄首相は25日、アンワル首相に対して祝意を表する書簡を発出した。

新型コロナの感染者数は2877人、病床使用率は76.6%

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省の総合情報提供サイト「KKMNOW」によると、24日の新型コロナウイルス「Covid-19」感染症の新規感染者数は2,877人となり、累計感染者数は497万8,350人となった。
新たに3,226人が回復し、累計治癒者は491万4,858人。死者数は2日連続の8人で、累計は3万6,636人となった。アクティブ感染者は、前日から357人減の2万6,856人。うち92.1%が自宅、7.5%が医療機関、0.3%が集中治療室(ICU)で療養中となっている。病床使用率は76.6%、ICU病床使用率は66.9%、人工呼吸器使用率は37.7%となった。
同日午後11時59分時点のワクチン接種完了者数は2,752万4,600人となり、接種率は84.3%。1回目のブースター接種完了者は1,626万2,805人で、接種率は49.8%、2回目が57万5,679人となり、1.8%だった。

エアアジア、ランサムウェア攻撃で500万人分の乗客データ漏洩

【クアラルンプール】 世界のデータ漏洩事件を報告するサイト「データブリーチーズ」によると、エアアジア・グループが11ー12日にかけて、米サイバー攻撃グループ「ダイシン・チーム」によるランサムウェア攻撃を受けた。

ランサムウェア攻撃は、悪意あるソフトウェアをインストールさせ、コンピュータに保存されたファイルを暗号化し開けなくした上で、元に戻すための身代金を要求するもの。ダイシン・チームはヘルスケア企業や公衆衛生機関などに対し、システムの脆弱性を突いたランサムウェア攻撃を繰り返している。

ダイシン・チームはエアアジアに対する攻撃を行い、乗客500万人と全従業員の個人データを入手したとデータブリーチーズに通知。データブリーチーズがダイシン・チームにチャットでコンタクトしたところ、証拠として乗客および従業員情報が含まれたサンプル2ファイルが送られてきた。ダイシン・チームは、身代金の金額やエアアジアからの支払いの有無、データの復元や流出データの削除、攻撃ポイントをエアアジアに知らせたかどうかなどについては明らかにしなかったという。

一方、データ漏洩のニュースが流れたにも関わらず、エアアジアの親会社であるキャピタルAの23日の株価は下落せず横ばいで取引を終えた。

オンライン証券の楽天トレードのビンセント・ラウ株式営業部長は、英字紙「ニュー・ストレーツ・タイムズ」の取材に対し、マレーシアの上場企業を巻き込んだサイバー攻撃は今回が初めてではなく、セキュリティ強化が必要ではあるものの、各国が国境を再開したことで航空会社の業績は回復傾向にあるため今回のデータ漏洩がキャピタルAの財政や経営に深刻な影響を与えることはないと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月24日、エッジ、11月23日)

イオン(M)、第3四半期は増収増益

【クアラルンプール】 イオン・カンパニー(M)は23日、第3四半期(7ー9月)決算で1,097万リンギの純利益を計上したと発表した。前年同期は新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大防止のための行動制限令(MCO)の影響で1,867万リンギの純損失を計上していた。

イオンがブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明によると、第3四半期の売上高は、前年同期比30.8%増の9億8,201万リンギ。そのうち小売事業が8億2,620万リンギで、経済活動の再開や国境再開の後押しを受け、前年同期から30.5%増となった。

年初9カ月の売上高は前年同期比16.7%増の30億7,030リンギ。純利益は6倍の8,632万リンギだった。

イオンは今後の見通しとして、消費者需要が増加する一方、グローバル・サプライチェーンの問題が複合的に発生し、インフレ圧力が高まっているとし、持続的な経営のため価格とサプライチェーン戦略を積極的に管理していくとコメント。「イオン・リビングゾーン」では、オンラインとオフラインのショッピング体験を統合し、健康に関する提案を進め、ポイントプログラムやモバイルアプリを通じて、顧客との関係を深めることに注力するとした。また、テナントやサプライヤー、グループ企業と協力し、顧客体験価値を最適化することでサプライチェーンリスクを軽減し世界的なインフレ圧力に対する緩衝材として活用していくという。
(エッジ、11月23日、イオン発表資料)

ニトリがマレーシア4号店、ワンウタマにオープン

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ニトリホールディングス(本社・北海道札幌市)は24日、マレーシア4号店をセランゴール州ペタリンジャヤの「ワンウタマ・ショッピングセンター」にオープンした。ニトリグループとしては866店舗目の出店となる。

店舗名は「ニトリ・ワンウタマ・ショッピングセンター店」で、売り場面積は約619坪。センターコートのレベル1に位置し、営業時間は日ー木曜日が午前10時から午後10時、金ー土曜日は午前10時から午後10時30分。

ニトリはマレーシア国内においてクアラルンプール(KL)の「ららぽーとブキ・ビンタンシティセンター(BBCC)」と「パビリオン・ブキジャリル」、セランゴール州プトラジャヤの「IOIシティモール」に出店しており、今後はジョホール州ジョホールバルで2店舗の出店を計画している

ニトリは、「住まいの豊かさを世界の人々に提供する」というロマンを実現するため、今後も積極的に海外展開を進めていく方針だ。

アンワル氏が第10代目首相に就任、大連立政権を樹立へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 第10代総理大臣に先の総選挙で最大の政党連合となった希望同盟(PH)のアンワル・イブラヒム会長(元副首相、人民正義党=PKR党首)が選出され、24日、王宮で就任宣誓を行った。

PHを含めた連立政権には第三の政党連合、国民戦線(BN)のほか、第四の政党連合、サラワク政党連合(GPS)やサバ国民連合(GRS)、そして最後までPH主導の連立政権への参加に抵抗していた第二勢力の国民同盟(PN)も合流する意向を示しており、最終的にこれらを糾合した大連立政権を樹立することになる見通しだ。大連立の大所帯を運営するにあたって、アンワル新首相は閣僚ポストを各勢力にどのように配分するか早速手腕が試されることとなる。

19日に行われた総選挙では下院(定数222)でPHが82議席、PNが73議席を獲得したが、いずれも過半数に届かなかった。このため両勢力は過半数掌握に向け、30議席を獲得したBNやサバ・サラワク州の地方政党と水面下での連立交渉を進めていたが、カギを握るBNがいずれの勢力とも連携しないと宣言したため両勢力共に決め手を欠き膠着状態に陥っていた。

打開に向けて仲介に乗り出したアブドラ国王が、各勢力の代表と面会して大連立を持ち掛けたことで事態が動き、方針を巡って内部対立が起きていたBNがPH支持に方向転換したことで過半数獲得のメドがたった。

アンワル氏は1947年8月10日生まれの75歳。イスラム青年組織のリーダーを経て1981年にBNを率いる統一マレー国民組織(UMNO)に入党。すぐに頭角を現して、当時のマハティール・モハマド内閣で文化青年スポーツ相、農業相、教育相などを歴任し、1991年に財務相、1993年には副首相に就任した。しかし1997年に打ち出した縁故主義打破などを謳った改革がマハティール首相の逆鱗に触れ、1998年9月に解任され、同性愛容疑で逮捕・投獄されるという政治的弾圧を受けた。

アンワル氏不在の間は、妻のワン・アジザ氏ら支持者が人民正義党(KEADILAN、後のPKR)を結成。華人系野党・民主行動党(DAP)などと野党連合PHを結成し勢力を拡大し、さらには打倒BNを掲げて仇敵のマハティール氏とも和解を実現し、2018年の総選挙ではついに政権奪取に成功した。アンワル氏はこれに合わせて国王から恩赦を受けて出獄し、PKR党首となってPH政権を支えた。

PH政権で首相となったマハティール氏とは総選挙前に1年後に政権を譲るとの密約があったが、マハティール氏が約束を先延ばししたことで両者の溝が深まり、マハティール氏支持者らがアンワル氏とDAPの排除を目指して野党となったUMNOや汎マレーシア・イスラム党(PAS)を取り込んで政変を起こし(2020年のシェラトン・ムーブ)、アンワル氏は首相になれないまま再び野党の身となっていた。

新型コロナの感染者数は3537人、5日ぶりに3千人上回る

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省の総合情報提供サイト「KKMNOW」によると、23日の新型コロナウイルス「Covid-19」感染症の新規感染者数は3,537人となり、累計感染者数は497万5,473人となった。
新たに3,319人が回復し、累計治癒者は491万1,632人。死者数は8人で、累計は3万6,628人となった。アクティブ感染者は、前日から210人増の2万7,213人。うち92.3%が自宅、7.3%が医療機関、0.3%が集中治療室(ICU)で療養中となっている。病床使用率は76.3%、ICU病床の使用率は66.7%、人工呼吸器の使用率は39.1%となった。
同日午後11時59分時点のワクチン接種完了者数は2,752万4,313人となり、接種率は84.3%。1回目のブースター接種完了者は1,626万2,193人で、接種率は49.8%、2回目が57万2,723人となり、1.8%だった。