通産省が新たな投資政策、革新的ハイテク投資を歓迎

【クアラルンプール】 アズミン・アリ上級相兼通産相は6日、国家投資大望(NIP)に基づき新たな投資政策に着手したと発表した。質の高い、ハイテク分野の雇用創出、さらには国民生活の向上を図る。

新政策は6つの戦略で構成されており、変化の速い世界がもたらす経済、投資面の課題に対処するという。

戦略の内容は▽NIPに基づく統一的投資戦略を策定する▽環境・社会・統治(ESG)面の課題に取り組む▽投資家のニーズを満たす、機敏な投資奨励措置を重視する▽革新的な、波及効果の高いハイテク投資を奨励する▽労働市場のニーズを満たすための人材集団を育成する▽全体的ビジネス生態系の流れをスムーズにし、ビジネスのしやすさ、国際競争力を向上させる▽複数ある投資推進機関の役割・責任を明確にし、スムーズな手続きを実現するーー。

アズミン氏は発表会見で「外国人労働力に依存する形態の外国投資を望まない」と語った。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、10月7日)

2023年度予算案発表、所得税減税など盛り込む

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 テンク・ザフルル財務相は7日、下院議会に2023年度(2023年1月1日—12月31日)予算案を提出した。
 予算規模は3,723億リンギで、昨年提出時の今年度の当初予算3,321億リンギから402億リンギの大幅増となった。国内総生産(GDP)の20.5%に相当する。ただし修正後の今年度予算の3,853億リンギは下回っている。
 73.1%を占める一般歳出は今年度当初予算の2,335億リンギから2,723億リンギに増加したが、修正後の2,857億リンギは下回った。25.5%を占める開発支出は同756億リンギから950億リンギに増額、新型コロナウイルス「Covid-19」基金の残りの支払いに50億リンギ割り当てる。
 分野別では予算全体の37.3%を社会関連に、19.5%を経済関連に、9.9%を安全保障関連に、5.5%を一般行政にそれぞれ充てる。
 歳入は今年の2,852億リンギから4.4%減の2,726億リンギに減少する見通し。財政健全化策により、2023年における財政赤字は前年の対GDP比5.8%から5.5%に下がると見込まれており、990.7億リンギと2022年の994億8,000万リンギを4億リンギ下回る見通しだ。
 中所得者層(M40)向け所得税減税が盛り込まれた。課税年収5万1リンギー7万リンギの場合は13%から11%に、同7万1リンギ―10万リンギは21%から19%にそれぞれ2ポイント引き下げる。
 地域開発予算として、サバ州に63億リンギ、サラワク州54億リンギをそれぞれ割り当てる。
 電気自動車(EV)普及に向けて、2023年まで輸入許可証(AP)を免除するほか、2023年から2032年まで充電器メーカーに対する所得税免除を行う。またEV完成車(CBU)に対する輸入税・物品税の免除措置を2024年末まで延長する。
 5Gネットワークを高人口密度地域の70%に普及させるため、デジタル・ナショナルが2023年度に13億リンギを割り当てる。
 キャッシュレス化促進のため、年収10万リンギ未満の中所得者層約800万人にeウォレットクレジットを100リンギ分支給する。
 大型インフラ計画に関しては、洪水対策に2030年までに150億リンギ、首都圏大量高速輸送3号線(MRT3)の建設推進に502億リンギそれぞれ割り当てる。


■来年のGDP成長、4ー5%に減速と予想■
 財務省は同日、「2022/23年経済リポート」を発表。 2022年の国内総生産(GDP)成長率についてプラス6.5-7%、2023年についてはインフレ圧力、金融情勢の引き締め、供給の逼迫、地政学的な分断化による世界経済の成長と貿易活動の軟化を背景にプラス4ー5%に減速すると予想とした。
 産業別の来年のGDP成長率については、サービス業が5.0%、製造業が3.9%、建設業が4.7%、農業が2.3%、鉱業が1.1%といずれもプラス成長が見込まれている。
 内需が引き続き成長を牽引し、2023年には民間支出が5.8%、民間消費が6.3%、民間投資は3.7%それぞれ増加、公共支出は2.0%、公共投資は2.1%増加すると予想。インフレ率については、今年は3.3%、2023年は2.8―3.3%の範囲になるとした。失業率は今年通年で3.8―4%、2023年には3.5―3.7%に低下すると予測。今年の就業者数は1,530万人、2023年には1.7%増加して1,556万人になるという。

ユニチャームのマレーシア製造子会社、森林認証を取得

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ユニ・チャーム(本社・愛媛県四国中央市)は6日、マレーシアの現地法人製造子会社であるDSG(マレーシア)が、国際的な森林認証制度であるPEFC森林認証プログラムの「CoC認証」を取得したと発表した。

PEFCは持続可能な森林管理の促進を目指す森林認証制度で、「CoC認証」は認証された森林から産出された林産物の適切な加工・流通を認証するもの。マレーシアにおけるPEFC「CoC認証」の取得は、紙おむつや生理用ナプキンを製造するメーカーとしては初めてとなる。

認証取得に伴い、ユニ・チャーム・コーポレーションとディスポーサブル・ソフト・グッズ(マレーシア)が「CoC認証」を表記したベビー用紙おむつ「マミーポコ・パンツ」と「ペットペットパンツ」の発売を開始した。

ユニ・チャームは、2020年5月に自然環境保全に関する取り組み「環境目標2030」を公表。「CoC認証」の取得を各グループ法人で進めている。今後も商品やサービスの提供といった事業活動を通じて、環境問題や社会課題を解決し、SDGsの達成に貢献することを目指す方針だ。

新型コロナの感染者数は1794人、累計で485万人超える

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省の情報提供サイト「KKMNOW」によると、6日の新型コロナウイルス「Covid-19」感染症の新規感染者数は1,794人となり、累計感染者数は485万108人となった。
新たに1,227人が回復し、累計治癒者は479万116人。死者数は4人で、累計は3万6,391人となった。アクティブ感染者は、前日から563人増の2万3,601人。うち95.8%が自宅、4.0%が医療機関、0.2%が集中治療室(ICU)で療養中となっている。病床使用率は74.8%に上昇した。ICU病床の使用率は60.2%、人口呼吸器の使用率は38.2%となった。
同日午後11時59分時点のワクチン接種完了者数は2,751万1,410人となり、接種率は84.2%。1回目のブースター接種完了者は1,624万110人で、接種率は49.7%、2回目が50万8,530人となり、1.6%だった。

不動産開発のトロピカナ、ランカウイにシェラトンホテル建設へ

【クアラルンプール】 不動産開発・管理のトロピカナ・コーポレーション(TCB)は、ランカウイ島のトロピカナ・チェナンに5つ星ホテル「シェラトン・ランカウイ・リゾート・アンド・スパ」を建設する。

子会社チェナン・リゾートが、米マリオット・インターナショナルとの間で、マネジメント契約を交わした。トロピカナにとり、マリオットとのマネジメント契約は3件目となる。

受賞歴のある有名建築家やコンサルタントが設計するもので、推定総開発価値(GDV)は3.5億リンギ。客室数は270室。レストラン、バーなどの飲食施設、スパ、プール、フィットネスセンター、キッズクラブ、小ー中規模イベントに対応可能な宴会場、会議室、イベントスペースなども併設する。

TCBは、ランカウイ島は観光客や投資家からの関心を集めており、年間観光客数も年間400万人まで回復する可能性があることからシェラトンの建設を決定したとし、ランカウイにおけるTCBの拡大計画やホスピタリティ分野での存在感を強化するものだと述べた。

トロピカナ・チェナンは、TCBがパンタイ・チェナン・ビーチ沿いの5.3エーカーの敷地に総開発費14億リンギを投じ建設中の住宅、ホテル、商業施設から成る複合開発施設。
(ザ・スター、ザ・サン、10月7日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、10月6日)

JACTIM、マレーシア投資促進ウェビナーを開催

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア日本人商工会議所(JACTIM)は、17日10時(日本時間11時)より、日本からマレーシアへの投資に関する補助金やサポートを紹介する「JACTIM-MIDAウエビナー」を開催する。

ウェビナーは、マレーシア投資開発庁(MIDA)との共催で、在マレーシア日本国大使館認証の「マレーシア東方政策40周年記念事業」の一環として実施される。

当日はMIDAに加え、マレーシア政府人的資源省や同内務省入国管理局も参加する予定で、日系企業からの問い合わせに応じる。参加制限はなく、JACTIM会員企業以外の参加も可能で、料金は無料。使用言語は英語となっている。

参加申し込みや詳細は、https://jcci.com.my/jactim-mida-webinar-17-oct-2022/から。

ペトロナスのパイプラインでガス漏れ、日本などへの供給に影響

【シンガポール】国営石油会社ペトロナスは、サバ/サラワク・ガスパイプラインで9月下旬、ガス漏れが起こったことから、輸出拠点となっているLNG(液化天然ガス)プラント向けの天然ガス供給でフォースマジュール(不可抗力条項)を宣言した。

一般に、火事、自然災害など予測不能な出来事のため契約上の義務が果たせない場合、企業は不可抗力を宣言する。今回の場合、ペトロナスは同条項を根拠に、海外の顧客への供給をキャンセルできる可能性がある。

ブルームバーグによると、ペトロナスは長期契約に基づき電力会社など日本の需要家向けに供給しているLNGについて、年末にかけて出荷の削減を要請しているという。

LNGのアジア向け出荷が削減されると、需要家は代替供給先を確保する必要があり、アジアのスポット市場でLNG価格が上昇する可能性がある。

LNGをめぐってはロシア・ウクライナ戦争の勃発以来、アジアと欧州の間で争奪戦が激化している。
(ブルームバーグ、10月6日、エッジ、10月5日)

マレーシア、CPTPPを批准

【クアラルンプール】 マレーシアは5日、包括的及び先進的な環太平洋経済連携協定(CPTPP)を批准した。

通産省(MITI)の発表によると、マレーシアは9月30日に寄託国であるニュージーランドに批准書を提出。発効は60日後となる。費用便益分析(CBA)では、CPTPPへの加盟により2030年の貿易総額は6,559億ドル、輸出額は3,547億ドル、貿易収支は国内総生産(GDP)の8.5%に達すると予想されている。

MITIは、2033年1月までに全CPTPP加盟国への輸出免税が適用されるとし、加盟国の政府調達市場への参入が促進され、会計士、建築家、エンジニア、医師、看護師などの専門職の移動性も改善されるとした。

CPTPPは、加盟国に優遇措置を与える貿易協定であり、電子商取引、国有企業(SOE)、知的財産権(IP)や貿易の技術的障害に関する協定など、物品及びサービスの貿易および投資を含む貿易の全域を対象としている。11カ国が署名しており、批准済なのは、▽マレーシア▽オーストラリア▽カナダ▽日本▽メキシコ▽ニュージーランド▽シンガポール▽ベトナム▽ペルーーーの9カ国。署名国で批准していないのは、ブルネイとチリの2カ国。英国や中国、台湾も加盟を申請している。
(ザ・スター、10月6日、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、エッジ、10月5日)

ファンリードとサンウェイ大学、マングローブ保全で連携強化

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ファンリード(本社・東京都豊島区)は5日、サンウェイ大学の人間機械コラボレーション研究センター(HUMAC)との間で、マレーシアのマングローブ保全を目的とした実証実験のプロジェクトを契機に、情報通信技術(ICT)分野における幅広い連携を目指した研究協力に関する覚書(MOU)を締結し、8月に発効されたと発表した。

ファンリードとサンウェイ大学HUMACは、アジア・太平洋電気通信共同体(APT)の加盟国研究機関と日本企業で推進される「国際共同研究プログラム2021」に採択された「ドローンによる高分解能画像を用いたサラワク州のマングローブ分布・生育マップ作成技術の実証実験」に共同で取り組んでおり、マレーシアにおける環境課題への貢献を目指している。今後、ICT分野におけるより幅広い連携を図っていくにあたり、MOUを締結することとなった。今回のMOUは、ファンリードとしては大学との初めての締結であり、サンウェイ大学HUMACとしては日本の民間企業との初めての締結となった。

MOU締結期間は2022年5月から2年間。ICT分野における学術および文化交流の推進や共同・協力研究プロジェクトや公募案件対応を通じた産学連携の推進で協力する。

新型コロナの感染者数は1722人、病床使用率は74.3%

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 新型コロナウイルス「Covid-19」感染症に関する情報提供サイト「コビドナウ(COVIDNOW)」によると、5日の新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数は1,722人となり、累計感染者数は484万8,314人となった。
新たに1,639人が回復し、累計治癒者は478万8,889人。死者数は2人で、累計は3万6,387人となった。アクティブ感染者は、前日から81人増の2万3,038人。うち95.5%が自宅、4.2%が医療機関、0.2%が集中治療室(ICU)で療養中となっている。病床使用率は74.3%に上昇した。
同日午後11時59分時点のワクチン接種完了者数は2,751万1,075人となり、接種率は84.2%。1回目のブースター接種完了者は1,623万9,413人で、接種率は49.7%、2回目が50万7,637人となり、1.6%だった。
新たに発生したクラスターはゼロ。感染者が出続けているアクティブなクラスター数は13件に減少した。